ニュースのポイント
今日取り上げるのは、総合面(1面)の「『残業代ゼロ』首相と会談 連合会長、容認へ修正案」、総合面(2面)の「連合『変節』調整後回し 執行部政府交渉を優先/過労死遺族ら『話が違う』/『実を取る』修正案 効果疑問」(いずれも東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版)です。
(写真は、安倍首相との会談後に記者の質問に答える神津連合会長)
この連合の修正案でも、まだ不十分だという労働組合も少なくありません。背景には、この法案は入り口に過ぎないのではないかという不安があるからです。つまり、最初は年収1075万円以上の高度な専門知識を持つ働き手に限定したとしても、だんだん年収レベルが下がり、働き方の幅も広がり、多くの労働者をカバーするようになるのではないかという不安です。経営者は、成果を出す人にはもっと報酬を払ってつなぎ留めたいと思うし、成果を出さない人にはやめてほしいと思っているはずです。でもこうしたむきだしの考え方が実行されるようになると、貧富の差が激しくなり、心身の健康を壊す人は増え、とても幸福な社会とは言えなくなります。
これから社会に出ようという皆さんはどう考えますか。「一部の高度な仕事をしている人は自由に時間を使えるようになっていい」と思う人もいるでしょう。ただ、こうした考え方が多くの働く人に適用されるようになると、成果ばかりを求められて息苦しくなりそうな気もしますよね。私は今の法案くらいなら問題は少ないでしょうが、対象が徐々に広がっていけば社会に与える影響は無視できなくなると思います。第2次世界大戦後、ヨーロッパや日本が比較的貧富の差が小さい安定した社会を作ることができたのは、労働法や労働組合が機能して、成果だけで報酬を払うことをしないで、労働時間や年功といった要素を大きく考えて報酬を払ってきたためだと思います。一方で、平等を強くうたった共産主義国家は失敗しました。自由の弊害もあれば、平等の弊害もあります。結局、この二つのいい頃合いを見つけていくのが、いい政治ではないかと思います。
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2025/04/02 更新
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