(写真は、献花台最終日に手を合わせる人たち=8月25日、京都市伏見区)
- トップ >
- 就職最新情報を知る >
- 就活イチ押しニュース >
- 記事一覧 >
- 記事詳細
(写真は、献花台最終日に手を合わせる人たち=8月25日、京都市伏見区)
「匿名だと臆測広がる」
朝日新聞は、事実を歴史に記録するメディアの役割などから実名報道を原則としていて、被害者について匿名で報じるのは性犯罪の被害者らに限っています。
(写真は、京都府警本部=京都市上京区)
事実検証と権力チェック
被害者の実名公表については、政府が2005年に閣議決定した犯罪被害者等基本計画で「総合的に勘案しつつ、個別具体的な案件ごとに適切な発表内容となるよう配慮する」と規定され、事実上、警察の判断に委ねられています。今回、京都府警は「ご遺族と会社側の意向を丁寧に聞き取りつつ、慎重に検討を進めた」結果、全員分を公表しました。ただ、場合によっては、警察が不都合な情報を隠す可能性だってゼロではありません。そうなると、発表が事実かどうか検証できず、権力のチェックができなくなってしまいます。このためメディア側は、警察は原則としてすべて公表し、報じるかどうかは報道機関が判断するようにすべきだと主張しています。
■メディアスクラムとネット被害
今回の遺族取材では、京都に拠点を置く報道各社は、ご遺族の心理的な負担を軽減するため、事前に発表時の取材について協議。メディアスクラムを避けるため、新聞・通信社とテレビの各1社が代表して遺族に取材の意向を尋ねる取り組みをしました。被害者のプライバシーに配慮しながら、事実を伝えるという報道の使命を果たしていくため、メディアは今後も模索を続けます。
(写真は、事件現場を訪れた中国の大学生ら=8月27日、京都市伏見区)
「広島の小1女児」ではない
実名報道をめぐって忘れられない事件があります。広島市で2005年11月、小学1年生の木下あいりさん(当時7)が下校途中に外国人に殺害された事件です。性的暴行を加えられていたことがわかり、報道各社は被害者のプライバシーに配慮して途中から匿名報道に切り替えました。
被害者の父親の建一さんは事件直後、家族や関係者への取材を控えてほしいというメッセージを報道機関に送りました。1カ月後には、「淋しさと悲しみが募るばかりです」と心情をつづったコメントを発表。この中で、引き続き取材を控えてほしいとしつつ、「木下あいり」「あいり」と娘の名にカギカッコを付けていました。その半年後、建一さんは朝日新聞の取材に応じてこう語りました。
「あえて強調しました。娘は『広島の小1女児』ではなく、世界に1人しかいない『木下あいり』なんです」「(事件の)判決の報道では、あいりの写真を掲載してほしい。私の転勤であちこち住んだあいり。各地の人たちに、もう一度あいりのことを思い出してほしいんです」
「どうか忘れないで」
全員の実名が公表されたことで、一人ひとりの人生や作品への関わりが報じられ、多くの人が事件への怒りや悲しみをより強く共有したと思います。二度と起こしてはいけないという思いとともに、事件は人々の記憶に長くとどまることでしょう。それぞれの遺族の思いをくみながら犠牲者の生きた証しを伝えるのも、メディアの大切な役割なのです。
(写真は、会見する石田基志さん=8月27日、京都市伏見区)
◆人気企業に勤める女性社員のインタビューなど、「なりたい自分」になるための情報満載。私らしさを探す女子就活サイト「Will活」はこちらから。
※「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。お申し込みはこちらから。
2025/04/01 更新
- 爆発事故の中央発条、生産を全面再開 自動車メーカーの影響は解消へ(20:56)
- 止まらぬ値上げラッシュ、さらに夏まで? 「日常は削れない」嘆く声(20:30)
- 三菱UFJ銀、貸金庫を継続へ 半沢頭取「ニーズが相応にある」(20:16)
- 製造業、トランプ関税に「漠たる不安」 小売りは個人消費の冷え懸念(20:09)
- ソフトバンクG、オープンAIに最大6兆円を追加出資、支援を強化(19:30)
※就活割に申し込むと、月額2000円(通常3800円)で朝日新聞デジタルが読めます。
就職最新情報を知る
企業と業界を知る
ニュースで就活力を高める
-
1
就活イチ押しニュース米アマゾンが在宅勤務を廃止へ 「脱・テレワーク」日本でも広がるか?【就活イ...
-
2
就活イチ押しニュース就活「解禁」でエントリー再開、会社は絞り込む【26卒学生の就活ルポ28】
-
3
就活イチ押しニュース初任給アップ、そのお金はどこから出ている?「原資」という言葉を知ろう【就活...
-
4
就活イチ押しニュース日本郵政、強まる官僚色 20年前の盛り上がりは何だったのか【週間ニュースま...
-
5
就活イチ押しニュース商品券問題、インフレ進行……時代の変わり目感じ取るようにしよう【週間ニュー...
-
6
就活イチ押しニュース新卒エージェントの強引な仕事に困る【26卒学生の就活ルポ27】
-
7
就活イチ押しニュース春闘好調、人への投資意欲明らかに でも先行きは?【週間ニュースまとめ3月1...
-
8
就活イチ押しニューススーパーの経営関連ニュース続く 長く栄える小売り業の条件とは【週間ニュース...
-
9
就活イチ押しニュース3月就活「解禁」 内々定率過半数も焦りは禁物、自分らしいキャリアの実現を【...
-
10
就活イチ押しニュース金利上昇、今後も続く予感 お金にまつわる動きにも注意を【週間ニュースまとめ...