ニュースのポイント
今日取り上げるのは、オピニオン面(12面)の「声・どう思いますか/なぜ面接官は名乗らないの?」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。
(写真は、採用面接を待つスーツ姿の学生たち=6月1日、東京・渋谷)
朝日新聞社の面接では、昔も今も、面接官の所属と名前を記したネームプレートを机上に置き、最初に名乗ってから面接を始めます。私が採用担当部長だった10年ほど前、内定者から「朝日新聞社の面接は面接官の名前がわかって印象が良かった」と聞き、名乗らない会社があるのかと驚いた記憶があります。
朝日新聞社人事部の高橋末菜採用担当課長に聞きました。
「就活生は、企業は学生を『選ぶ側』で強い力があると感じると思います。それは事実ですが、一方で私たち朝日新聞も就活生から『選ばれる側』です。だから受けに来てくれる学生さんたちと面接官は対等である、と面接を担当する社員に伝えています。その結果でしょうか、朝日新聞社の面接は『会話のキャッチボール』になることが多い。就活生は相手がどこの誰かがわかるので、やりとりが弾むのかもしれません。ときどき、面接官が自分の経験ばかり話してしまい、学生に多くしゃべらせず、人事部としては困ることもありますが……(笑)」
常見さんが言っているとおりですね。
会社の本当の姿や雰囲気は、採用情報サイトだけではわかりません。インターンシップ、会社説明会、OB・OG訪問などで社員にじかに会って話して、初めて肌で感じることができます。実は面接もその絶好の機会なんです。面接官の表情、態度、話し方は人それぞれでしょうが、何人かと話せば会社の雰囲気は伝わってきます。面接での質問からは、社としてどんな人物を採ろうとしているのかがわかるはずです。中には面接中にスマホを見る面接官もいるそうですが、それを許している会社だということですよね。面接時間以外にも、受付や案内、控室での対応にも社風が表れます。面接会場までに社内を通るなら、オフィスの雰囲気、すれ違う社員の様子、社員同士の会話の様子からも感じることがあるでしょう。
人事のホンネで味の素の採用担当者はこう話しました。
「内定者アンケートで当社に決めたポイントを聞くと、『面接で会った社員の魅力』という答えが非常に多い。『こんなに真摯に全部聞いてくれた会社はない』『ここまで自分を見てくれたところはない』とか。面接を通じて味の素グループの価値観に共感してもらうこともあります」
「(私自身も)当社に決めた理由は面接です。1対1の面接で7人の社員に会いましたが、真摯に自分の発言を深掘りしてくれた。自己分析を深めてくれる面接で、1回終わると『あれ、自分にはこんな思いがあったんだ』という発見があり、毎回の面接が『今度はどんな話をしてくれるのかな』と楽しみでした」
面接であなたに質問を浴びせている人は、入社したら一緒に働くかもしれない先輩社員です。多くの面接官が面接で重視するのは「一緒に働きたい人かどうか」です。みなさんも、面接で「一緒に働きたい社員かどうか」を見極めましょう。面接を受けている最中はそんな余裕はないかもしれませんが、面接の後、そして内々定の連絡を受けたら、思い起こして他社とも比べて考えましょう。
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2025/04/02 更新
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