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(写真はすべてiStock)
6割以上の学生が「生成AI使用したい」
学情が2026年卒の学生にアンケートをした結果によると、6割以上の学生が普段の生活で「ChatGPT」などの生成AIを「使用したことがある」と回答。また、同じく6割以上の学生が就職活動準備で「ChatGPT」などの生成AIを「使用したい」と答えています。
あさがくナビが2023年10月にリリースした「スマートESアシスタント」「スマートPRアシスタント」をはじめ、生成AIを利用してエントリーシート(ES)の作成やガクチカなどの自己PR作成を支援するさまざまなサービスが提供されています。「スマートESアシスタント」は、「学生時代に力を入れたこと」「アピールしたいエピソード」「アピールしたい長所」を入力すると、いわゆるガクチカをすぐに生成してくれるサービスです。これをもとにブラッシュアップすることで、ESに必要なガクチカを短時間で効率よくつくることができる、というわけです。
ES添削、敬語のチェックにも生成AI活用
生成AIの使い方はほかにもあります。このサイトで連載している「26卒学生の就活ルポ」でも紹介した例ですが、マスコミ業界を志望している都内私大3年の女子学生はChatGPTを使って自分が書いたESの誤字脱字をチェックしたり、ほかに改善点がないかを確認したりしています。
「個人的には、ESは生成AIにチェックしてもらうのが一番いいと思っています。就活生目線で書き換えてと指示すると、結構的確に修正してくれますね」
親にESを見せたこともあるが、褒めてくれるばかりなのであまり参考にはならなかったそうです。
また、地方国立大3年の男子学生は、海外企業にメールで問い合わせる際、ChatGPTをつかって文章を作成し、日本支社の社員との面談にこぎつけました。就活中に社会人にメールを送る際はまず文案を作成し、そこからChatGPTで敬語を整えてから出すようにしていた、ともいいます。まさに、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視した活用方法といえそうです。
この男子学生は、業界研究にもChatGPTを活用していました。たとえば海外で気になる企業をみつけたら、この企業と同じような分野で事業をしている日本の企業はあるか、ということをChatGPTでたずねたりしていたそうです。もちろんChatGPTの情報だけでは物足りないところもあるでしょうが、気になる企業を調べる端緒を探す方法としては効率がよさそうです。
生まれた時間をつかって企業探しを
生成AIを使った就活サービスを提供している会社の担当者は、「(このサービスを使って)学生のみなさんに楽をしてほしいわけではないです」
と語っています。生成AIを使うことによりESや志望動機の作成を効率的に行うことで、生まれた時間をつかって自分をしっかり見つめ、世間的に「いい」とされている会社ではなく、本当に自分にあった会社を探す努力をしてほしい、とこの担当者は語ります。AIをうまく使って時間をつくり、会社説明会やインターンシップに参加したり、OB・OG訪問で社員の雰囲気をつかんだりするなど、自分が本当にいいと思える会社を探すことに時間に振り分ける――これからの就活生に求められるスキルになってくるかもしれません。
欧州では採用に使われるAIは「ハイリスク」
今後広がることが予想されているのが、採用側のAI活用です。すでに、AIが学生を面接するサービスも登場しています。多くの企業が人手不足に悩んでいますが、AIによって応募者をある程度絞ることで、少人数でも効率的な採用活動ができるというメリットがあります。ESをAIによって作成することが一般化すれば書類による選考が難しくなることから、多くの学生を面接することができるAIサービスを導入するメリットは大きくなりそうです。AI面接サービスをリリースしている企業はウェブサイトで「通常の面接で課題になりやすい人による評価のムラ、それによる人材の質のバラつきが解消され、公正・公平な選考を実現します」とうたっています。
一方、AIが企業の過去の採用事例を学習した結果、偏った採用をすすめてしまうというリスクも指摘されています。かつてアメリカの大手IT企業がAIによる採用を試みたところ、過去の履歴書のパターンを学習したAIが女性の評価を下げる、という事態になりました。これは技術職に男性の応募が多かったためで、結局この企業は試みを中止しました。EUで2024年に発効したAI規制法では、企業の採用選考に用いられるAIは「ハイリスク」に分類され、サービスを提供する側にはさまざまな義務が科せられることになっています。
今後、AI規制の流れは日本にもやってくることが予想されます。それが採用活動にどういった影響を及ぼしていくか。自身の就活、今後の社会人生活を考えるうえでも注目したいトピックです。
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