2024年04月10日

ライドシェア、大都市部でスタート 日本社会は変わるか?【イチ押しニュース】

テーマ:社会

 自家用車を使って客を運ぶ「ライドシェア」と呼ばれるサービスが4月8日、東京や京都で始まりました。スマホの配車アプリで予約し、事前に目的地や運賃を確定させ、原則的にキャッシュレスで支払いをすませる仕組みです。

 日本でもおなじみの「Uber」(ウーバー)など海外では普及しているライドシェアですが、日本ではまず地域や時間帯を区切っての解禁となり、運行の管理はタクシー会社が担い、運転手もタクシー会社と雇用契約を結ぶことが原則とされました。アメリカのように個人で始めることはできないなど、規制が多いのが実情です。しかし利用者が増えていけば、規制緩和は進んでいくことでしょう。日本社会の仕組みを大きく変えていくきっかけになるかもしれません。みなさんも今後利用する可能性の高い、身近なニュースです。現状の制度や今後の課題など、ぜひチェックしてみてください。(編集部・福井洋平)
(イラストはPIXTA)

4地区でライドシェア「解禁」

 日本版のライドシェアは、コロナ禍を経てインバウンド需要が戻り、タクシー運転手や車両数の不足がめだつようになってきたことを背景に、その対策として導入されました。これまで日本では一部の例外をのぞき、タクシー営業の許可を得ていない自家用車でお金をもらって客を運ぶ行為は「白タク行為」として禁止されてきました。また、タクシー運転手になるためには普通の運転免許ではなく、より高度な技術が求められる「二種免許」が必要でした。今回、国は地域や時間帯を限定してこの規制を見直しライドシェアを解禁。運転手についても二種免許は不要としました。

 いまタクシーはスマホの配車アプリで呼ぶことが一般的になっていますが、そのデータをもとに区域、時間ごとにどれだけタクシーが不足しているかを国土交通省が調査。不足数がはっきりした「東京」「京浜」「名古屋」「京都市域」の4地区でライドシェアの運行を8日からスタートさせました。今後は札幌や大阪など、8市を含む区域でもライドシェアを解禁する予定です。使う際にはアプリでの予約が必要で、客を探しながら走るいわゆる「流し」は行いません。急ぎの用事ができて急遽、道でライドシェアの車を拾うということはできないと覚えておきましょう。

日本版ライドシェアは規制強い

 海外では一般的になっているライドシェアですが、日本版のライドシェアは
・使える場所、時間帯が限られている
・運行を管理できるのがタクシー会社に限られている
・運転手は原則、タクシー会社と雇用契約を結ぶ

 といった制約があり、タクシー会社はライドシェアをする運転手に研修をおこなって質を確保しようとしています。ライドシェアというより「(タクシーの運転に必要な二種免許を持たない)『一種免許ドライバー』活用事業だ」という指摘もあり、空き時間を使って気軽に自分の車でライドシェアの運転手になる、といった時代がくるのはまだ遠そうです。

タクシー業界が全面解禁に反対

 このような仕組みになっているのはなぜでしょうか。ひとつは、タクシー業界からの反発です。ライドシェアが全面解禁になり、一般人がお金をもらって客を運ぶようになると、経営に大きな影響が出てしまいます。タクシー業界の強い反対のなか、日本版ライドシェアはタクシー会社が自分たちで運行管理を行い、運転手の研修も手がける形に落ち着きました。大手のタクシー会社は急ピッチで準備を進め、さっそく8日からライドシェアの運用を始めています。タクシー会社にとってみれば、自分たちが管理するライドシェアを普及させることで、「タクシー不足」を解消し、政府の規制改革推進会議が求めているタクシー会社以外の業者参入など、ライドシェアの全面解禁を防げるという期待もありそうです。

 二種免許を持たない人が運転するライドシェアの導入に対しては、利用者からも不安の声が上がっていました。タクシー会社がかかわることで、もし事故があっても運転手個人ではなくタクシー会社が保障してくれるわけで、ライドシェアを安心して利用できるようになることはメリットでもあります。

規制緩和で安全性は保てるか?

 急ぎのときにドアツードアで利用できるタクシーは、これまで公共交通機関としての役割を果たしてきました。ライドシェアに関しては強い規制が残ったままで、どこまで利用が広がるか見通せませんが、規制を急いでなくした結果、公共交通機関としての安全性や信頼性が損なわれては元も子もありません。

 利用者がドライバーを評価する仕組みをつくって信頼度を担保したり、タクシーが不足する時間帯は料金を高くできるようにして参入する運転手を増やしたり、よりよい仕組みに変えていく方法はまだまだありそうです。ITをつかってタクシーの配車を代行する「電脳交通」は昨年、二種免許をもっている人が空き時間に副業としてタクシー運転手をして収入を得られるようにする実証実験を行いました。二種免許を持っている人は約80万人いますが、タクシー運転手は約25万人しかいないといいます。ITを活用することで需要が高まる時間帯にピンポイントで二種免許保有者をタクシー運転手として稼働させることができれば、これもタクシー運転手不足解消につながりそうです。

●株式会社電脳交通 空いた時間に副業でタクシー乗務員ができる実証実験「スポドラ」を開始 (実証期間終了)

 規制を緩和して経済を活性化させるか、規制を保って安全性を保つのか。ライドシェアは、これまで日本でくりかえし議論されてきた規制緩和問題と密接にからんでいます。みなさんもこれから社会に出て、ライドシェアを活用する可能性が大いにあります。自分たちの移動を担う仕組みはどうなっていくのか、ぜひ関心をもってニュースをチェックしてみてください。
(写真はPIXTA)

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