2013年09月24日

ドイツ総選挙が就活を左右する?

テーマ:国際

ニュースのポイント

 ドイツの総選挙でメルケル首相の与党が大勝し、続投が確実になりました。今回の総選挙は日本でも大きく報道されました。欧州連合(EU)最大のドイツの政治のあり方は、日本の経済にも大きな影響を与えます。ひいては、みなさんの就活をも左右するかもしれません。

 今日取り上げるのは、2面の「ドイツ、大連立協議へ/総選挙 与党が大勝/メルケル氏3期目に/最大野党・社民党と接触/緊縮から成長へ 欧州期待」です。
 記事の内容は――ドイツの総選挙でメルケル首相率いるドイツ与党キリスト教民主・社会同盟(同盟)が大勝した。現在の連立相手、自由民主党(FDP)は議席を失ったため、同盟は最大野党・社会民主党(SPD)と「大連立」を組む可能性が高い。そうなれば、危機が続く欧州で存在感を増すドイツに強力な安定政権が生まれる。EUはこれまで、ギリシャなど財政難の南欧諸国に対し、メルケル政権主導による厳しい緊縮財政路線を敷いてきたが、社会民主党はやや寛容な支援策を掲げてきたため、成長路線への転換が進むとの期待も広がる。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 2009年秋以降のユーロ危機(欧州債務危機)を覚えていますか? まずギリシャで巨額の財政赤字が発覚したのが発端で、アイルランド、ポルトガル、キプロスなどに飛び火しました。財政破綻への懸念から、主に南欧諸国の国債が売られて価値が急落。欧州の景気は急速に冷え込み、2008年のリーマン・ショックによる世界同時不況後、新興国の成長で立ち直りつつあった世界経済を直撃しました。今はドイツを中心としたEUなどの金融支援策で一息ついている状況です。

 ドイツは欧州最大の8000万人超の人口を有し、国内総生産(GDP)でも、米国、中国、日本に次ぐ世界第4位の経済大国です。経済は比較的順調で着実に財政再建を進めていることもあり、EU内での存在感、発言力は際立っています。ギリシャなど南欧支援策を決める際にも、緊縮財政の厳しい条件を突きつけ、「メルケルが首を縦に振らなければ欧州は何も決められない」とも言われました。欧州経済は世界の経済に大きな影響を与えますが、中でももっとも発言力のあるドイツの総選挙が注目されたわけです。

 日本にとって注目すべきポイントはもう一つあります。中国とEUの深い経済関係です。中国の最大の輸入相手国はEUです。中国からの輸出も最大の相手国はEUでしたが、2012年はユーロ危機の影響でEUへの輸出が減り、首位を米国に譲りました。中国は欧州経済の影響を極めて強く受ける国なのです。その中国は、日本の最大の貿易相手国(輸出入とも)です。つまり、「欧州の経済の動向→中国に大きな影響→日本に波及」という図式です。「風が吹けば桶屋(おけや)がもうかる」的な話ですが、日本の経済は、直接的にも間接的にも欧州経済の影響を受け、日本の企業を直撃するわけです。その欧州経済の方向性を左右するドイツの政権の行方は、みなさんがこれから挑む就職戦線にも影響を及ぼすことがわかるでしょう。世界はつながっています。

 だから、みなさんがこれから出合う企業の人たちは、新聞を読んで世界の情勢に目をこらしているのです。こうした記事を読んでおけば、先輩社員との会話が広がりますよ。

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