2013年09月20日

任天堂育ての親逝く 激変するゲーム業界

テーマ:文化

ニュースのポイント

 任天堂前社長の山内溥(ひろし)さんが19日、85歳で亡くなりました。ゲームを世界的な産業にした立役者です。おりしも世界最大級のゲーム見本市「東京ゲームショウ」の開幕日。スマートフォン(スマホ)向けなどのオンラインゲーム(ソーシャルゲーム)が主流になるなどゲーム業界が激変するなか、時代の変わり目とも言えそうです。

 今日取り上げるのは、1面の「任天堂育ての親 ファミコン発売/山内溥さん死去」と経済面(8面)の「花札からTVゲームへ/『私は娯楽屋』」です。
 記事の内容は――世界的なゲーム機メーカー、任天堂の前社長の山内溥さんが85歳で死去した。家業の花札、かるたの製造・販売業の3代目経営者に就き、家庭用ゲーム機ファミリーコンピュータ(ファミコン)で任天堂の礎を築くとともに、テレビゲームを世界的な産業に押し上げた。社長退任後も、ニンテンドーDSの2画面という基本仕様を示し大ヒットにつなげた。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 ゲーム産業は、日本が世界に誇る一大エンターテインメント事業です。いつでもスマホでゲームができ、買い物や学習もゲームを応用して楽しめる今の社会は、ファミコンの世界的ヒットがあったからこそ実現したもの。山内さんは「ゲームで世界を変えた人」とも言われます。ファミコンは世界で累計6191万台、ソフトは5億本も売れ、米国では今も「ニンテンドー」がゲームの代名詞です。世界のゲーム市場(ゲーム機、ソフト全体)は、いま6兆円規模に育ったと言われます。

 記事で取り上げた山内さんの「ゲームはしょせん娯楽。必需品ではないから、おもしろくないと売れない」「人と同じことをしてたらあかん」という言葉に、自称「娯楽屋」としての誇りと、京都に根付く任天堂という会社のDNAを感じます。

 22日まで千葉市の幕張メッセで開催中の「東京ゲームショウ」には、33カ国・地域からゲーム機やソフトのメーカーなど300社超が出展。昨年の209社を大きく上回り、過去最大規模です。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が「プレイステーション4(PS4)」を、マイクロソフトが「Xbox One(エックスボックス ワン)」を国内で初めて公開。SCEのアンドリュー・ハウス社長が基調講演で、PS4の今年度の販売目標を「全世界で500万台」と表明するなど、盛り上がっています。

 ただ、ゲームショウの主役はスマホ向けオンラインゲームに移ったようです。国内のゲーム市場の規模は、1兆円に迫るまでに大きくなりましたが、昨年、オンラインゲームの販売額が全体の5割を初めて超え、ハードとソフトを含めた家庭用ゲーム専用機を上回りました。オンラインゲームでは、「パズドラ」が大ヒットした「ガンホー・オンライン・エンターテイメント」「ディー・エヌ・エー(DeNA)」「グリー」が有名ですが、今回は個人や少人数の新興ソフトメーカーのための「インディーズゲームコーナー」も設けています。パズドラのように、1本大ヒットが出れば一躍有名企業になる世界です。1年後には、この中からヒット作が出て勢力図がガラッと変わっているかもしれません。

 こうした展示会には、業界の企業が一同に集まります。ゲーム業界に興味がある人にとっては、業界研究のためのまたとない機会です。各社のブースを見て回るだけでも業界の現状、各社の勢いなどを肌で感じることができるでしょう(ただし有料、一般入場料は1200円です)。志望動機が「ゲームが好き」だけでは通用しません。ユーザー目線ではなく、各社の特徴、得意分野、同業他社の動向を知り、ブースにいる社員に話を聞いてみましょう。さらに新しいエンターテインメントの提案を考えるなど、一歩先をいく企業研究をしてください。この業界は浮き沈みが激しいという覚悟も必要です。

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