2023年12月13日

グループディスカッションで嫌われるのは「クラッシャー」 どう対策するか?【就活イチ押しニュース】

テーマ:就活

 選考の活動では定番ともいえる「グループディスカッション(GD)」。苦手意識を持っている方も多いかもしれません。自分の個性やグループの組み合わせに応じて、与えられたお題をクリアする方向に議論をすすめていく役割を果たすのがGDの基本。ある程度経験を積んで慣れていくことで、クリアできるようになるでしょう。

 そんな中でも、いくつかGDでやってはいけないことがあります。たとえば、緊張しすぎて一言もしゃべらなかった、というのは、選考する側も判断のしようがないのでこれはNGです。そしてもうひとつが「クラッシャー」になること。場の雰囲気を悪くし、流れを阻害してしまう人になることです。こういう人と一緒に働きたいということは誰も思わないですよね。

 クラッシャーは、能力が高い人でもなってしまう可能性があります。そしてクラッシャーはチームの能率を大きく下げることも知られるようになり、たとえ能力が高くてもチーム にとってはプラスにならないとうい考え方がトレンドとなっています。また、クラッシャーが上司になってしまったら、昨今たびたび問題になっている『パワハラ職場』をつくってしまい、会社も傾けてしまうことにもなりかねません。自分がクラッシャーにならないことは、今後社会人になっていくうえでもとても大切なポイントなのです。一方、GDで一緒になった人がクラッシャーだった場合、避けて通ることはできません。こういうときにどうしたらいいかも、今回考えてみましょう。(編集部・福井洋平)

(写真はすべてPIXTA)

「仕事はできるけれど」ダメな人の特徴

 朝日新聞には「耕論」という、ひとつのテーマについて2~3人の有識者にインタビューをする連載があります。11月21日の「耕論」は「『仕事はできる』けれど」というテーマで、アメリカでデザイン会社のCEOをしているブランドン・片山・ヒルさんのインタビューに興味深いエピソードがありました。

 重要なポジションについていて、仕事ができる従業員が数人いたそうです。しかし彼らは攻撃的で、自分が一番給料をもらうべきと主張したり、あの人は仕事ができないと周りを責めたりしていました。片山氏は半年悩んだすえ、彼らを解雇しました。すると、それまではギスギスした雰囲気だった会社が大きく変わり、業績も一時的に落ちましたがすぐいい人が採用できて影響は小さかったそうです。たとえ仕事ができても、周りの人を見下したり攻撃的にふるまったりする人は「クビにする 」ほうが会社にとってはいいのです。

相手に反論するときは「Say Yes」を心がけて

 オーストラリアでは、チームに悪影響を与える人が、どれだけチーム全体のパフォーマンスを落とすかという実験が行われました。悪影響を①相手に対して攻撃的、反抗的な態度をとる ②努力をしない、一所懸命やらない ③ネガティブで愚痴や文句ばかり言う という3タイプに分類し、そういう人を入れたチームの変化を調べたところ、3タイプとも生産性が30~40%落ちたというのです。大ダメージですね。こういうタイプの人はもちろん選考段階で落としたい、と選考する側は考えるはずです。②の「努力をしない」というのはもちろんのことですが、③のように議題や進行に対してただ文句を言ったり愚痴を並べたりするだけというのもGDではNGと考えてください。

 さすがにGDの場に臨んで愚痴を並べる人は少ないかもしれませんが、①の攻撃的、反抗的な態度というのは、場合によってはそうなってしまう人がいるかもしれません。相手の意見に納得ができない、議事の進め方に不満がある場合、つい「それは違うんじゃないですか」「その意見は間違っていると思います」とずばっと言いたくなってしまうことは十分考えられます。その思いが強くなってしまうと、もはやクラッシャーの仲間入りです。

 反論したい、意見を差し挟みたい場合は、基本的にまず相手の意見を受け入れることからスタートすることをおすすめします。「そうですよね」「そういう意見もありますよね」「なるほどですねー」と肯定的な一言を挟むだけで、場の雰囲気は格段にやわらかくなります。相手に反論したいときは、まず「Say Yes!」を心がけましょう。これは普段からのトレーニングが必要ですので、友達や家族と会話するときも意識してSay Yesしてみてください。

クラッシャーには「中和行動」を

 さて、GDの場にクラッシャーがいた場合はどうしたらいいでしょうか。無視できればいいのですがGDではそういうわけにもいきませんし、足をひっぱられてチーム全員低評価になるのは避けたいですね。

 さきほどのオーストラリアでの実験では、クラッシャーの行動を「中和」できる人がいるチームは、生産性が落ちないという結果が出ました。「中和」といっても、クラッシャーの行動に真っ向から反論や批判をするわけではありません。たとえばクラッシャーが暴言を吐いたり嫌みを言ったりすると、身を乗り出して笑顔になって場をなごませる。穏やかな態度で場の緊張をやわらげたあと、ほかの人の発言をうながしてそれを熱心に聞いたりするのです。そうすると、チームのメンバーはふたたび活発に議論ができるようになるそうです。

 大人でもなかなか難しいハイレベルなテクニックではありますが、GDの対策として覚えておいていいポイントだと思います。大切なのは、クラッシャーと正面から立ち向かわないこと。そしてクラッシャーのせいで萎縮しているほかのメンバーたちに、なごやかな雰囲気や「意見を自由に出してもいいんだよ」という空気を提供することです。笑顔で、相手に向き合って会話を聞き深くうなずくといったボディーランゲージを習得するだけでも、クラッシャー対策に役立ちそうです。会社に入ってからも、もちろん使えるテクニックです。


参考リンクはこちら
“難しい人”が1人入ると、チームの生産性は30~40%低下する 対抗せずに、場の「安心感」を作るための3つの条件

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