ニュースのポイント
宇宙探査機「ボイジャー1号」が太陽系を完全に出たことがわかりました。人工物体が太陽系の外に出たのは初めてのことです。ときには、こんなニュースから、果てしない宇宙や悠久の時の流れに思いをはせてください。
今日取り上げるのは、1面トップの「ボイジャー 太陽系脱出/地球発35年 人工物で初」です。
記事の内容は――1977年に打ち上げられた米航空宇宙局(NASA)の探査機「ボイジャー1号」が人工物体として初めて太陽系を、2012年8月に完全に出ていたことが確認された。現在、太陽から約187億キロ付近を時速約6万キロの速度で飛行中。ボイジャーの電源はプルトニウムの崩壊熱を利用しており、太陽電池が使えない宇宙でも発電できる。寿命が尽きる2020年ごろまでデータを送信する。今後の関心は未踏の太陽系外の探査。ボイジャーには地球外の知的生命に向け、日本語を含む世界55カ国語でのあいさつや音楽、動物の声などを記録した銅製レコードも積まれている。ただ、次に恒星の近くを通過するのは約4万年後で、それまで人類が存続している保証はない。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
ボイジャー1号が打ち上げられたのは、みなさんが生まれる十数年前のことです。35年かかって太陽系の外に出たというのですから、宇宙探査や研究は息の長い仕事です。ボイジャーはこれまで、木星や土星の鮮明な写真のほか、冥王星の先、約60億キロのかなたから撮った地球の写真も送って来ました。1990年のことで、これまででもっとも遠くから撮った地球の姿です。計画を推進した天文学者、故カール・セーガン博士は「唯一のふるさとであるこの『ペール・ブルー・ドット』(淡く青い点)を守り育んでいくこと、それは私たちの責任であることを、この写真が強く訴えているように、私には思える」と言いました。
宇宙のことを考えていると、日常の悩みごとなど、ほんのちっぽけなことに思えてきます。ボイジャーに積まれたレコードも、いつか宇宙の誰かが見つけて聞くのだろうか、と想像するとなんだか気が大きくなります。明日14日には、先に延期された宇宙航空研究開発機構(JAXA)の新型固体燃料ロケット「イプシロン」の打ち上げが予定されています。この週末は宇宙に思いをはせてみましょう。
※朝日新聞デジタルの無料会員は1日3本の記事全文を、有料会員になればすべての記事を読むことができます。ぜひ登録してください。