ニュースのポイント
内戦が続く中東のシリア。化学兵器で市民に大勢の犠牲者が出た疑惑をきっかけに、国際社会の中東への関心が高まっています。イスラム教の宗派対立、イスラエルとアラブ諸国の対立、パレスチナ問題、米ロの勢力争い……。いくつもの問題、対立が絡み合っています。シリアで起きている惨劇も、中東の歴史を知らなければ理解できません。今日の紙面で中東の現代史を勉強しましょう。
今日取り上げるのは、国際面(12面)の「中東 絡み合う確執」です。記事のポイントを整理すると――。
【シリア内戦】
◇「アラブの春」と呼ばれる中東各国での民主化を受け、シリアでも2011年3月以降にデモが激化。政権軍を離反した兵士らが「自由シリア軍」を結成し、武力弾圧を続けるアサド政権と反体制派の間で内戦に
【中東の歴史的経緯】
◇オスマン帝国の崩壊(1922年)→英仏の分割支配→多くの国が第2次大戦後に独立、近代国家としての歴史は浅く、社会基盤の整備が不十分(貧富の差が大きく、政治活動や言論の自由に乏しい)
◇欧州などからユダヤ人移民がイスラエルを建国(1948年)。もともと住んでいたパレスチナ人や周辺アラブ諸国とイスラエルの争いが始まる(4次にわたる中東戦争)→パレスチナ問題
【米ロの対立】
◇米国内ではユダヤ人の政治的影響力が強く、米国はイスラエルを全面的に支持してきた
◇冷戦時代に米国と対立していた旧ソ連(ロシア)は、イスラエルの「敵」であるシリアやイランを支援
【イスラム教の宗派争い】
◇イスラム教には多くの宗派があり対立してきた。8~9割はスンニ派で、残りはシーア派や、その分派のドルーズ派、アラウィ派など
◇シーア派国家イランは、アサド大統領がアラウィ派のため、シリアを「非スンニ」の貴重なパートナーとみて支援
◇スンニ派が主流のサウジアラビアなど周辺アラブ諸国は、シリア国内の反体制派を支援
【パレスチナ問題】
◇1993年、領土を分け合ってイスラエルとパレスチナの「2国家共存」をめざす「オスロ合意」ができたが、その後進展していない