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自動車保険金の不正受給問題に揺れている中古車販売大手のビッグモーターが、2024年卒、2025年卒の新卒採用活動を停止しました。同社はもともと2024年卒採用で600人を予定、翌年もそれ以上の人材確保を明言。採用サイトでは「スピード採用」をうたい、「人物重視の採用!書類選考・適性検査一切なし!」とも記載して、選考ハードルの低さをアピールしていました。新卒採用600人というと、例えば、電機大手の日立製作所の2024年度の採用予定と同規模です。ただ、社員数はビッグモーター6000人(公式サイトより)に対して、日立は約3万人。単純比較はできませんが、ビッグモーターは会社の規模にくらべて相当に多く新卒を採用しているといえそうです。
このように新卒の大量採用をしている企業は当然、就活生の目に触れる機会も多くなります。大量採用=入社しやすいからという理由だけで、企業を選んでいいのかどうか。「企業の採用活動から企業の体質、課題が見える」と語る働き方評論家の常見陽平・千葉商科大学准教授(写真)に、就活生が企業のどこをチェックするべきなのか、企業の本質を見抜くポイントを教えてもらいました。(編集部・福井洋平)
【プロフィール】つねみ・ようへい=千葉商科大学国際教養学部准教授(労働社会学)/働き方評論家。リクルート、バンダイ、ベンチャー企業、フリーランス活動を経て2015年から千葉商科大専任講師、2020年から現職。働き方や就活に関する著書など多数。
このように新卒の大量採用をしている企業は当然、就活生の目に触れる機会も多くなります。大量採用=入社しやすいからという理由だけで、企業を選んでいいのかどうか。「企業の採用活動から企業の体質、課題が見える」と語る働き方評論家の常見陽平・千葉商科大学准教授(写真)に、就活生が企業のどこをチェックするべきなのか、企業の本質を見抜くポイントを教えてもらいました。(編集部・福井洋平)
【プロフィール】つねみ・ようへい=千葉商科大学国際教養学部准教授(労働社会学)/働き方評論家。リクルート、バンダイ、ベンチャー企業、フリーランス活動を経て2015年から千葉商科大専任講師、2020年から現職。働き方や就活に関する著書など多数。
大量採用企業は「育成力不足」の可能性も
――大量採用企業の、どこをチェックするべきなのでしょうか。大量に新卒採用をしている企業は、ポジティブに考えれば成長をしている会社です。ですが特にビッグモーターのように全従業員の1~2割くらい新卒を採用したり、過去の採用人数に比べて一気に採用人数を増やしたりしている会社を志望する場合は、大量に採用をしている背景と企業の現状を確認することがとても大切です。
ビジネスモデルを大きく変えるために人材が必要だったり、ドラッグストアなどで強気の出店計画を立てているため採用を増やしたりというケースもあります。私の古巣でもあるリクルートは、リクルート事件(1988年)の前に1100人を新卒採用したことがあります。当時、リクルートは人材サービス業から通信サービス業に事業の軸をシフトしようとしていて、そのために技術職や営業職を大量に採用していたのです。採用活動からは、企業が何を生命線としているかが見えてくるのです。
ただ、たとえば大量に社員が辞めるためそこを埋めるために採用しているようでしたら、職場環境が悪い可能性も高く、気をつける必要があるでしょう。離職率などをチェックすることが大切です。
またこれは一般論ですが、急成長している企業が大量採用をしたとき、新卒社員を指導、マネジメントする係長、課長クラスが育っておらず、社内が混乱するということもあります。数百人の新卒社員を採用したIT企業では、育成が追いつかなくて客先からのクレームが大量に発生し、結局辞めてしまうということもありました。
(写真・朝日新聞社)
「採用の背景は?」とずばり聞く
――新入社員がすぐに辞めてしまうような企業を見抜くコツはありますか。「今回の採用の背景を教えてください」「どのような分野を強化しようとしていますか」という質問を投げかけてみるといいと思います。個人向け営業を強くしようとしているとか、訪日観光客への対応をしようとしているとか、そういった企業の方針がしっかりあるのかをチェックするべきです。会社が強化すべきと考えている点は公式サイトやIR情報にも出ていたりするので、それらの情報と組み合わせて理解するといいでしょう。
また、新卒の社員を「育てる仕組みはあるのか」ということも確認したほうがいい。「自分で育つ気はないのか」という人事もいまだにいるので、聞き方に気をつける必要はありますが、どれだけ真剣に新卒社員を戦力にしようとしているかは聞いて確認したほうがいいと思います。
――ほかには、どういった企業研究をしたほうがいいでしょうか。
自分がどこの現場で働くかはとても大切です。採用数だけでなく、その会社が「誰」に「何」を売って「どうやって」儲けているのかというビジネスモデルをちゃんと理解することで、自分がそこでどんな仕事をすることになるかが見えてくるはずです。一般消費者を相手にするBtoCの仕事がメインなのか、企業を相手にするBtoBの仕事がメインなのかでも、仕事の内容はかなり変わってきます。
(写真・PIXTA)
「出社から退勤まで」を具体的にイメージしよう
その会社に入って自分が出社してから退勤するまで、具体的にどんなことをしているかをイメージできるようにしましょう。そのために、現役社員をふくめて複数の情報源にあたってください。ブラック企業はそこがイメージしづらいようになっていることも多く、注意が必要です。また、よく「配属ガチャ」という言葉も聞きますが、配属に関しては一番自分にとって最悪のパターンを想像し、それでも耐えられるかどうかを考えてみるとよいでしょう。一見地味そうですがやりがいがあって大切な仕事もありますし、華やかに見えても泥臭くきつい仕事の積み重ねだったりすることもあります。いろいろな情報を得てシミュレーションできるようになれば、自分にとっていい企業が見つけやすくなると思います。
(写真・PIXTA)
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