2013年09月10日

海外企業買収で成長めざすサントリー食品

テーマ:経済

ニュースのポイント

 サントリー食品インターナショナルが英国大手の飲料事業を買収すると発表しました。サントリー食品は2020年の売上高を2兆円に倍増する目標を掲げ、その半分を海外で稼ぐ考えです。人口が減っていく国内での伸びが見込めないため、海外の成長を取り込む戦略を加速させています。

 今日取り上げるのは、経済面(8面)の「英飲料事業を買収/サントリー食品、2100億円」です。
 記事の内容は――サントリーホールディングス(HD)中核子会社のサントリー食品インターナショナルは、英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)の飲料事業買収で合意した。買収金額は2100億円。欧州の有名飲料ブランドを傘下に収めることで海外戦略を加速させている。買収するのは、スポーツ飲料・栄養飲料で英国シェア1位の「ルコゼード」と果汁飲料4位の「ライビーナ」。サントリー食品は2009年にオレンジ炭酸飲料「オランジーナ」を展開する仏飲料大手オランジーナ・シュウェップス・グループを買収した。成長が期待できる東南アジア市場でも事業を拡大する考えだ。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 サントリー食品は7月に東京証券取引所第1部に株式を上場したばかり。上場で調達した約3700億円を活用して海外企業の合併・買収(M&A)を積極的に進める考えを示してきましたが、さっそく大型買収を成約させました。同社は2012年12月期の売上高9921億円を2020年に2兆円にし、「世界でトップ3に入る企業」をめざすとしています。そのために現在3割ほどの海外売上比率を20年に5割に引き上げる方針で、今回の買収はその一環です。

 各国の飲料市場で新しいブランドを浸透させるのは大変です。このため同社は、各地ですでに知名度のあるブランドを買収したり、現地企業に出資したりして事業を拡大する戦略をとっています。欧州ではシュウェップス・グループのブランドですでにフランス、スペインに展開。今回の二つのブランドは英国、アイルランドに強い基盤を持つほか、ナイジェリア、南アフリカなどのアフリカ諸国やマレーシアでも展開しており、約800億円の売り上げ(2012年)がサントリー食品に加わることになります。同社は東南アジアでも2007年以降、タイ、ベトナム、インドネシアの3カ国で現地企業を傘下におさめました。東南アジアでは米コカ・コーラや地元メーカーが圧倒的な知名度をもち、サントリーのブランドはほとんど知られていないためです。成長著しい東南アジアには、アサヒグループHD、キリンHDもM&Aを展開しており、競争が激しくなっています。

 グローバル化の時代、食品・飲料業界に限らずさまざまな企業が海外展開を活発化させていますが、業界によって事情や手法は異なります。興味のある業界について、新聞記事から学んでください。

 サントリー食品の上場については、この「就活ニュースペーパー」の「業界トピックス」で7月8日に書いています。読んでみてください。

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