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「あさがくナビ」の発足と、「就活ニュースペーパー」創刊から今日で丸10年になりました。これを機に私は朝日新聞社を退社し、明日からは学情のエグゼクティブアドバイザーに転じます。立場は変わりますが、引き続きみなさんの就活支援に全力で取り組んでいきます。就活ニュースペーパーは福井洋平・新編集長のもと、就活に役立つ情報を発信し続けます。これからもご愛読いただくようお願いいたします。(編集長・木之本敬介)
(写真・今年の就活解禁日に開かれた合同企業説明会=2023年3月1日、東京・江東区)
大卒就職率97.3%だが…
今春卒業した大学生の就職率(4月1日時点)は97.3%で、前年同期より1.5ポイント増えました。改善は3年ぶり。過去最高だった2020年3月卒の98.0%には及ばないものの、コロナ禍からの経済の回復を受けて企業の採用意欲は高まっています。厚生労働省と文部科学省が国公立大24校と私立大38校の計4770人を抽出し、そのうち就職を希望する人(75.1%)について実際に就職した割合を調べました。●「令和5年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)」はこちら
ただ、この調査は対象が国公立大が中心のうえ、調査時点で「就職を希望する人」なので就活がうまくいかずに先送りした人などは除外されており、必ずしも大卒生全体の状況を反映しているわけではない点には留意が必要です。
(写真・日本航空グループの入社式では新入社員らが紙飛行機を飛ばした=2023年4月3日、羽田空港)
大卒求人倍率1.71倍にアップ
一方、リクルートワークスが4月26日に発表した2024年3月卒予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は1.71倍で、2023年卒の1.58倍より0.13ポイントアップしました。大卒求人倍率は学生1人あたり何社から求人があるかを示すもので、数字が大きいほど就職しやすいことを表します。椅子取りゲームにたとえると1人に1.71個の椅子があることになります。この10年では、2019年卒で1.88倍まで上がりましたが、新型コロナの影響で急落し2022年卒は1.50倍まで落ちていました。一般的に「1.6倍」程度が「売り手市場」の目安とされていることから、「売り手市場」が復活したと言ってよさそうです。
全体の数字はかなり良くなりましたが、企業の規模と業界別に見ると、別の景色が見えてきます。従業員規模1000人未満の中堅・中小企業の大卒求人倍率は2.91倍ですから、1人あたり椅子が3個近くあります。これに対し1000人以上の大企業は0.78倍。1人に椅子1個もないのです! 人気の大企業にエントリーが集中するからです。大企業ばかりに目が向いていると、どういうことになるかは分かりますよね。
次に業種別を見ると、建設業13.74倍(前年7.70倍)、製造業2.19倍(1.81倍)、流通業10.49倍(7.77倍)、金融業0.21倍(0.22倍)、サービス・情報業0.36倍(0.33倍)でした。金融業を除き前年よりアップしています。建設業や流通業は10倍以上ですから、人手不足が深刻なことがわかります。製造業はまずまずですが、金融業とサービス・情報業は厳しく、「売り手市場」でも狭き門なのです。
●第40回 ワークス大卒求人倍率調査(2024年卒)はこちら
4月末の内々定率もう64%に
内々定率も高くなっています。あさがくナビ登録学生を対象にした調査では、4月末段階で64.3%(文系57.1%、理系78.4%)と早くも半数を大きく上回りました。1カ月で15.0ポイント増え、昨年の5月末段階の67.8%に迫るハイペースです。1人あたりの内々定獲得数は2.07社となり、今年度調査で初めて2社を超えました。それでもこの4月末時点では72.0%の学生が就活を続けていましたが、6月に入ると内々定を出す企業が一気に増えるため、6月早々で就活を終える学生もかなり多くなりそうです。内々定を得た企業を業種別に見ると、「IT・ソフトウェア・インターネット」が21.5%でトップ。「教育・福祉・その他サービス」11.3%、「情報・調査・コンサルティング」9.3%と続きますが、まだあまり出ていない業種も多く、まちまちです。
そんな中で各大学のキャリアセンターが心配しているのは、早く決まる学生となかなか内々定が取れない学生の「二極化」です。早めに内々定が出た学生からは、他社の就活をやめるよう迫られる「オワハラ」の相談が多くなっている一方で、なかなか面接にも進めない学生もまだまだいるからです。
●あさがくナビ2024年卒 内々定率調査(2023年5月度)はこちら
4年生は業界広げて 3年生は夏インターンで第一歩を
では、まだ内々定がない4年生はこれからどんな就活をすればいいのでしょうか。大卒求人倍率と内々定率を受けて考えてみましょう。大手を中心に人気企業はすでに採用予定数を満たした企業も多い状況ですが、就活戦線の全体状況を見れば基本的に「深刻な人手不足」だという点に注目してください。採用予定数を採りきれない企業が多く、みなさんに来てほしい企業はたくさんあるのです。視野を広げて、違う業界も考えてみませんか。きっと可能性は大きく広がります。3年生のみなさんはどうするか。今年の夏から、一定の条件を満たせば採用直結のインターンシップ(就業体験)が解禁されます。人気企業ほど熱心ですし、人材獲得競争が激しくなっていて就活の早期化がさらに進むのは間違いありません。学業やサークル活動など学生時代にしかできないことに取り組む時期だとは思いますが、それと並行して就活にも早めに目を向け、まずは夏インターンに積極的に参加することです。インターンの説明会に出て応募すると、自然と就活の第一歩を踏み出せます。明日6月1日から、「あさがくナビ2025」のインターンシップサイトも本格オープンします。ぜひ、活用してください。
(グラフ・経団連が今年1~2月に行った調査では、会員企業の約6割が採用直結インターンを今年度行う予定と回答。従業員数が多い企業ほど意欲が高かった)
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