2013年08月27日

製紙会社が発電、郵便局は高齢者見守り…新規事業に注目

テーマ:経済

ニュースのポイント

 製紙会社が木材チップを燃やすバイオマス発電に乗り出し、郵便局は高齢者の見守り事業を始めます。製紙業も郵便事業も、ネットの普及などで本業の売り上げが落ち込んでおり、関連事業でカバーする戦略です。ほかの業界でも思いもよらない新たな事業展開があるかもしれません。企業研究をするときに新規事業にも注目してみてください。

 今日取り上げるのは、経済面(8面)の「製紙からバイオ発電へ/買い取り制度 後押し/紙販売減り 収益源探る」「日本郵便、高齢者見守り事業/月1回様子確認 家族に報告/10月スタート 月1050円」です。
 記事の内容は――木材チップを燃やして電気をつくるバイオマス発電に、王子ホールディングスグループと日本製紙が本格的に乗り出す。自然エネルギーで発電した電気が固定価格買い取り制度の対象となり、長期的に安定した収益を見込めるようになったからだ。紙販売の落ち込みを補う新たな事業の一つに育てるねらいがある。
日本郵便は高齢者の暮らしぶりや健康状態を確認して家族などに伝える「郵便局のみまもりサービス」を10月から有料で始める。基本料金は月1050円。月1回、郵便局員が高齢者の自宅を訪ねたり、食事会に招いたりして高齢者の様子を確認し、報告書を利用者に送る。同社の郵便事業は、郵便物の減少などで減収傾向が続いている。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 製紙会社が発電事業、郵便局が高齢者見守り……。一見、無関係な事業ですよね。「どうして?」と疑問に思う人も多いでしょう。

 製紙大手は社有林を持ち、切り出した木のチップから紙をつくっています。紙に使わない間伐材はこれまで無駄になっていました。バイオマス発電はこの余った木材を有効活用するものです。郵便局は全国に24000局以上。網の目のようなネットワークを張り巡らせ、地域に密着しています。「みまもりサービス」は、まずは北海道と宮城、山梨、石川、岡山、長崎各県内で、高齢者の割合が高くコンビニなどが近くにない計103局を選んで導入。2015年度から全国に広げる計画です。

 製紙も郵便も、ネットやメールなどIT普及の影響をもろに受け、売り上げが落ち込んでいる業界です。そこでこれを補う事業を模索。余剰材や既存の地域ネットワークといった企業の資産を活用できる新規事業を始めることにしたわけです。いずれも本業に比べれば小さな事業ですが、いつか大きく売り上げを伸ばすかもしれません。もともと持っている強みを生かして新規事業に取り組もうとしている企業は、ほかにもたくさんあります。こうした新たな動きは経済面に載ります。新聞記事から一歩進んだ企業研究をしてみましょう。新たなアイデアを思いついたら、「貴社の強みを生かしてこんな事業が考えられます」とエントリーシートに書き込めるかもしれませんよ。

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