2013年08月26日

「半沢直樹」で知る銀行の仕事も「人の物語」

テーマ:文化

ニュースのポイント

 TBSの大人気ドラマ「半沢直樹」の東京編が昨夜スタートしました。テレビですから面白くドラマチックに作られていますし、半沢のように「やられたらやり返す、倍返しだ!」と言える会社員はなかなかいないでしょう。とはいえ現実の仕事も、すべて人と人との関係で成り立っています。主演の堺雅人さんも「結局は人と人との物語」と語っています。

 今日取り上げるのは、1面のコラム「天声人語」です。  記事の内容は――TBSの「半沢直樹」の主人公は自分の失敗の責任を押しつけてくる上司と激しく戦う。半沢は、バブル期に銀行に入った中間管理職。現実にはなかなか刃向かえないが、半沢の目力と行動力に溜飲(りゅういん)を下げる思いの人も多いだろう。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 「半沢直樹」については、「一色清の世の中ウオッチ」でも以前「半沢直樹から考える同期論」で触れていますが、天声人語はバブル時代と今を対比しながら、現代の世相を象徴する現象の一つとして取り上げています。天声人語は毎日、旬なテーマを独自の視点でお伝えしています。ほとんどが時事問題をやわらかく切り取っていますから、世の中の動きを知るのに最適な教材です。1~2分で読めてしまいます。文章の勉強にもなります。毎日、目を通すことをおすすめします。

 さて、ドラマは銀行が舞台ですから、金融機関の業務内容、融資の実態、大企業、中小企業との取引、お役所との関係など、業界研究に絶好の内容です。金融が経済や企業を支えていることもよくわかります。ただ、なんといっても軸となるのは、上司や部下、役員、大企業幹部、中小企業の社長らとの人間関係です。金融の仕事も人と人の関係、コミュニケーションで成り立っていることを教えてくれます。

 ドラマのホームページにあるインタビューで堺さんはこう語っています。「銀行というところは、数字を扱うところですし無味乾燥なイメージがあったんです。でも、結局は人と人との物語なんだということが改めて分かりました。人が人を応援したい、そういう想いでお金を扱う仕事というのは、ある意味、人間を見据える仕事なんだという気がしています。これは池井戸さんの小説にある記述なんですが、お金って血液みたいなものだと。お金自体に価値があるのではなくて、お金が回ることで価値が出る。人の血液のように、会社や社会が生き生きと機能するためにお金という血が回らなければいけないのではないでしょうか」。まさに、金融、銀行の仕事の本質を言い当てているように思います。

 銀行に限らず、企業ドラマ、企業小説はたくさんあります。興味のある業界については、業界研究の一環として見たり読んだりしてみれば、いい面も悪い面も、会社のホームページからはわからないことが見えてくるはずです。

 今日の20、21面では、朝日新聞社が主催した講演会「朝日知と学びのサミット~新しい可能性への挑戦」を特集しています。理系の学生には企業の研究部門について知る情報が満載ですが、文系のみなさんにとっても働くということを考えるヒントが詰まっています。ここで私は、朝日学情ナビ編集長コラム「超・就活で成長しよう! 第2回」で親のための就活講座「親カツ!!セミナー」について書いています。また、学生・社会人向けの「新聞で鍛えるビジネス文章力」「メディアを使い分けるビジネス情報力」のお知らせも載っています。ご一読ください。

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