2013年08月22日

大学で学んだこと、面接で語れますか?

テーマ:就活

ニュースのポイント

 エントリーシート(ES)や面接の自己アピールで多いのは「アルバイト経験」。大学で学んだことを積極的にアピールする学生は多くありません。でも実は、ゼミ活動なども立派なアピールポイントになります。大学で何をどう学び、課題を解決する力を身につけたのかが問われます。

 今日取り上げるのは、17面の「進む大学改革/自ら学ぶ 原点へ」です。
 記事の内容は――大学の改革が進んでいる。少子化による競争激化、グローバル人材の必要性などから、大学は根本的な変化を求められているためだ。玉川大は、一定期間に履修できる単位数を制限する「キャップ制」、欧米型の成績評価法などを導入し、学生の学びの質を高めるための改革を進めている。政府は大学改革を課題に掲げており、内閣の諮問機関「教育再生実行会議」は、国際化に対応した人材育成や革新的な技術を創出するための環境づくりを柱とする提言をまとめた。経済界からも大学生の教育成果を評価する制度が必要との声が出るなど、産官学で議論が進んでいる。企業の採用面接で在学中の学習成果を語れる学生は少なく、多いのはアルバイトの経験談。しかし、企業が本当に求めているのは「自ら現場に飛び込んで意見を述べ、課題を解決できる力」だ。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 みなさんは、大学でさまざまな専門分野について日々学んでいると思います。専門知識は大事ですが、就職してから仕事に直接生かせるケースはあまりないでしょう。専攻内容と業務内容が一致することはまれですし、仮に一致したとしても学問と仕事の現場は違います。先日インタビューしたテレビ朝日の採用担当者は「大学での舞台美術専攻でリードできたのは入社後の3カ月だけ。大学の勉強は1日の中の限られた時間ですが、仕事は1日中で、プロがそれだけを考えて取り組んでいる。内容、濃さがまったく別世界でした」と言っていました(近日中に「人事のホンネ」に掲載します)。

 では、大学で学んだ「成果」とは何なのでしょうか。慶応義塾の清家篤塾長は「仕事に必要な技能や技術、市場構造は刻々と変化し、今の即戦力はすぐに陳腐化してしまうかもしれない」としたうえで、こう語っています。「学生に身につけてほしいのは、どんなに技術や市場が変化してもそのもとで有能であり続ける力。課題を見極め、仮説を立て、客観的な方法で検証し、結論を導く。つまり、自分の頭で考えること」だと。直面した課題を解決するための手法やプロセスこそが大学での学びであり、将来生かせる力になるのです。

 僕が朝日新聞社の採用担当部長として接した中で印象に残っているのは、ゼミの研究などで経験したフィールドワーク(現地調査)を「学生時代に取り組んだこと」としてアピールした学生です。フィールドワークは書物や教室、研究室内で得る知識とは違います。研究テーマに関するデータを集めるため、ふさわしい場所を探し、観察、計測、アンケート、インタビューなど、さまざまな手法を駆使するわけですから、企画・発想力、行動力、創意工夫、熱意などが伝わります。新聞記者の取材と共通する面がありますし、自ら積極的に取り組んだフィールドワークなどの経験はどんな仕事でも生きるはずです。あなたが大学で取り組む調査や研究も、文系・理系を問わず、きっとアピールポイントになりますよ。

※朝日新聞デジタルの無料会員は1日3本の記事全文を、有料会員になればすべての記事を読むことができます。ぜひ登録してください。

アーカイブ

テーマ別

月別