ニュースのポイント
広島は今日、原爆投下から68年を迎えました。9日の長崎の日、15日の終戦記念日と続きます。ちょっとだけでも構いません。こうした節目の日には、戦争や原爆、核のことについて、一人ひとり考えてみてください。新聞を開くと、考えるための材料がたくさん載っています。
今日取り上げるのは、18、19面の「国際平和シンポジウム2013 核廃絶への道/非人道性 広がる非難/日学体験 つたえる使命」です。
記事の内容は――国際平和シンポジウム「核兵器廃絶への道~核兵器の非人道性と被爆体験の伝承」が広島市で開かれた。デジタルアーカイブで被爆体験を伝えるプロジェクトなど、若い世代に記憶を引き継いでいくための試みなどが紹介された。米ハーバード大歴史学部教授のアンドルー・ゴードンさんは「次世代に記憶を残し、受け継いでもらうためにもデジタル化は有用だ」、グーグルアースを用いた「ヒロシマ・アーカイブ」を公開した首都大学東京システムデザイン学部准教授の渡邊英徳さんは「地元の若者たちと東京の我々、語り部の被爆者の方々が手を取り合って、未来に記憶を紡いでいく」と語った。「被爆体験伝承者」養成事業に参加した保田麻友さんは「被爆者の声を直接聞けた最後の世代として、ヒロシマで起きたことを後生へ伝える使命がある」と話した。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
被爆者の高齢化が進んでいます。被爆者健康手帳を持っている人は、1980年度の約37万人をピークに減っており、2012年度は約20万人、平均年齢は12年度末で78.8歳でした。とうろう流しを通じて被爆者と交流するボランティア活動を続けている保田さんは、被爆者が高齢化する中、その体験を受け継ごうと被爆体験伝承者を養成する事業に参加しています。さらに広く若い世代に被爆体験を継承するために盛んになってきたのがデジタル化です。渡邊さんは広島の街を歩きながら、アイフォーンなどで閲覧し、被爆を追体験できるプロジェクトも進めています。
今日はほかにも、ヒロシマや核問題関連の記事が載っています。1面の「原爆症訴訟、控訴断念へ」は、安倍首相が被爆者の高齢化を踏まえ、救済を加速する必要があると判断したという大きなニュースです。原爆症の認定対象が事実上広がりそうです。19面の「80カ国が共同声明賛同/被爆国・日本、署名せず」では、「核兵器の非人道的影響に関する共同声明」に日本が署名しなかった事情が書かれています。米国の「核の傘」に頼る安全保障政策と矛盾するためです。社会面(34面)には、こうした矛盾に悩む日本の若者の姿も紹介されています。
今日の社説(12面)は、アラン・ロボック米ラトガーズ大教授らの最新研究を取り上げ「インドとパキスタンがそれぞれの保有量の約半分の広島型原爆50発を使う地域核戦争(世界の核兵器爆発力の0.03%)が起きると、すす・粉じんによる気温低下やオゾン層破壊による紫外線増加で、世界は『核の飢餓』に直面する恐れがあると指摘する」と紹介し、「私たちはいまも、核戦争による破滅の縁にいるのである」としています。
ヒロシマ、ナガサキ、核の傘、世界の核兵器の秩序を定めた核不拡散条約(NPT)、これに抗う北朝鮮の核問題、オバマ米大統領の「核なき世界」宣言、そして福島の原発事故……日々の新聞記事から、戦争や平和、核の問題について考えてみてください。
※朝日新聞デジタルの無料会員は1日3本の記事全文を、有料会員になればすべての記事を読むことができます。ぜひ登録してください。