ニュースのポイント
ソニーとシャープの業績が回復しています。両社は、テレビ事業の失敗などから苦境が続いてきましたが、円安やコスト削減策などの効果で急回復しつつあります。日本を代表するブランドだけに、両社の「復活」は日本経済にとって明るいニュースです。決算記事から最新の企業動向を読み取りましょう。
今日取り上げるのは、経済面(11面)の「ソニー増益 スマホ後押し/4~6月期決算 営業益364億円」と「シャープ黒字回復/円安、液晶パネル追い風」です。
記事の内容は――ソニーが発表した2013年4~6月期決算は、売上高が前年同期比13%増の1兆7127億円、営業利益は4.8倍の364億円だった。スマートフォンの販売台数が3割増になったほか、テレビ事業も3年ぶりに営業黒字に転換した。シャープの決算では、営業損益は当初の赤字予想から一転、30億円の黒字に回復。円安で競争力のついた液晶パネルの売上高が前年同期比3割増となり、自然エネルギー固定価格買い取り制度で太陽電池の売上高も倍増した。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
ソニーの業績を押し上げたのはスマホとテレビ事業です。NTTドコモは5月から、ソニーと韓国サムスンの2社のスマホだけを「重点機種」として広告や販売促進費を集中させ、値引きも大きくした「ツートップ戦略」をとりました。その効果で前年同期に赤字だったソニーの携帯事業の営業損益は一転、黒字に。テレビ事業もコスト削減策に円安が加わり黒字に転じました。今後は高精細な「4Kテレビ」などで、年間を通して10年ぶりの黒字を見込んでおり、今年初めに平井一夫社長が「テレビもスマホも力を入れる」と語った戦略が順調に進んでいるようです。
記事の表「主な携帯電話メーカーの今年4~6月の販売実績」を見ると、ソニーの960万台が他社を引き離しており、国内では一人勝ちの様相です。ツートップから外れた他社は厳しく、2000年代前半に国内の携帯出荷台数1位だったNECはスマホ事業からの撤退を発表しました。そんな中でも、シャープの4~6月の携帯販売台数は131万台で前年同期比69%増と高い伸び率を確保しました。
今日の3面には、東京証券取引所第1部上場の596社(集計対象の45%)の4~6月期決算のまとめ記事が載っています。本業の利益を示す営業利益の合計は前年同期より33.7%増え、最終的に企業が手にする純利益は2.1倍でした。昨年末からの円安・株高の影響で、特に鉄鋼、小売り、自動車の伸びが目立っています。
今の時期は、各企業が4~6月期決算を順次発表しています。就活では、短期的な決算の数字に惑わされる必要はありませんが、各企業の取り組みの成果や課題、業界の動向をまとめた記事が多く載ります。志望業界の企業の決算記事は必ず読んで、最新の動向を把握するようにしましょう。
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