
2022年卒生による学情の就職人気ランキングが発表されました。総合トップは3年連続で
伊藤忠商事。続いて、前年より順位を上げた
味の素と
アサヒ飲料が2位、3位。業界別でも食品が断トツで人気を集める一方、新型コロナショックで順位が大きく変動し、航空、旅行などがダウンしました。最新のランキングを読み解き、来年の就活に向けた業界・企業研究についてアドバイスを送ります。(21日の朝日新聞の広告面に載ったランキング分析に加筆しました。編集長・木之本敬介)
「就活ニュースペーパー」は明日から冬休みに入り、1月4日に再開します。
伊藤忠は3年連続1位、「巣ごもり」で食品人気

新型コロナの影響はあらゆる業界に及び、多くの企業の業績が悪化しました。
総合商社もダメージを受けましたが、暮らしに欠かせない「エッセンシャルビジネス」に強く、資源分野に頼る他の商社ほど落ち込まなかったのが伊藤忠です。2020年4~9月期の
純利益で5大商社のトップに立ち、人気を保ちました。他の4社は、13位に上がった
三菱商事以外は
丸紅が43位、
住友商事は60位と順位を下げ、
三井物産は100位圏外でした。
食品メーカーは今年も強く、味の素、アサヒ飲料に加え、
ロッテがトップ10入り。
サントリーグループ、
日清食品なども順位を上げました。コロナ禍の「
巣ごもり需要」で業績を伸ばした企業も多く、前年と同じくトップ50のうち13社を食品が占め、業界別で最多でした。食品スーパーが好調だった
イオングループはジャンプアップして10位に。少し前まで各社2000人規模で採用していた
メガバンクが数百人に減らすなど採用数を絞る企業が多い中、イオンは2000人超の大量採用を続けており、新卒採用市場における存在感の大きさは群を抜いています。
出版が軒並みアップ、任天堂、ニトリも

今回、ランクアップが目立ったのが出版社。「ステイホーム」で本が見直された面もあるが、より大きいのは
電子出版がコミックを中心に本格的に伸び、1996年をピークに長年続いた市場縮小が底を打ち、反転攻勢の兆しが見えてきたことです。4位に食い込んだ
講談社に加え、「
鬼滅の刃」が大ヒットした
集英社が11位、デジタルに強い
KADOKAWAが16位にアップ。
新潮社、
小学館も含め5社が100位内に顔をそろえました。出版も担う
ベネッセコーポレーションも15位に入りました。
資生堂は化粧品の売り上げが落ちる中でも二つ順位を上げて5位と根強い人気を示しました。ゲーム業界では「
あつまれ どうぶつの森」がブームとなった6位の
任天堂が一人勝ち。新技術に強い
大日本印刷(DNP)も7位に上がりました。さらに巣ごもり関連では、最高益を記録した
ニトリが上昇。住宅、不動産も注目され、
積水ハウス、
大東建託グループ、
三井不動産、
住友不動産、
NTT都市開発がランクを上げました。IT、通信は堅調でした。
航空・旅行はダウン

一方、2021年卒採用を中止したANA(
全日本空輸)、JAL(
日本航空)、
エイチ・アイ・エス(HIS)など航空、旅行業界は軒並み順位を下げました。
JTBグループはトップ10に踏みとどまりましたが、11月下旬に2022年卒採用を「見合わせる」と発表。志望者にショックが広がりました。トップ10の常連だった
オリエンタルランドも54位に下げました。
広告は、
博報堂/博報堂DYメディアパートナーズが19位に上がったのに対し、
電通は100位内から外れ、明暗が分かれた形です。男女別では、男性の5位に
アシックスグループ、7位にアディダスジャパンが入り、
ミズノも12位と、東京五輪・パラリンピックを前にスポーツ用品メーカー人気が目立ちました。文理別では
ソニーが理系4位に浮上。電機メーカー唯一の上位で復活を印象づけました。
◆ランキングの詳細は
こちらから
ランク外のBtoBに注目

人気ランキングで注目してほしいことの一つが、
BtoC(消費者向けビジネス)企業と
BtoB(企業間取引)企業の数です。トップ10のうちBtoBは、伊藤忠、大日本印刷の2社だけ。トップ50に広げても、三菱商事、Sky、
DMG森精機、丸紅、
凸版印刷を加え、たったの7社です。人気企業の大半はBtoCで占められていることが分かります。「人気企業=有名企業」なので当然なのですが、ランキングに名を連ねている企業には応募が殺到します。必然的に競争率が高く狭き門となります。エントリー数を増やすことは大切ですが、いくら増やしても有名なBtoC企業ばかりだと、4月や5月になって「全滅」なんてことになりかねません。そこから慌てて業界を広げても、企業研究が浅くてなかなか通らない、という悪循環に陥りかねません。
学情の人気ランキングは200位まで発表されていますが、そのほとんどはみなさんが知っている企業だと思います。有名BtoC企業と人気のある一部のBtoB企業だからです。逆説的ですが、ここに載っていない企業にも注目してほしいのです。実は、BtoCよりBtoBのほうが市場規模が大きく、企業数も多いといわれています。日本には、一般的にはさほど知られていない優良BtoB企業がたくさんあります。
冬休みにやるべきこと

一般的に有名ではない優良BtoB企業をどうやって探せばいいのか。ぜひ市販の「業界地図」を活用してください。あらゆる業界の4000社もの企業が載っています。索引を見てください。大半が知らない企業だと思います。日本の株式市場に上場している企業数が約4000社です。
上場企業は日本を代表する企業です。その中にみなさんにマッチする会社がきっとあります。業界・企業研究が進んでいない人は、冬休みの間に「業界地図」のページをめくってみましょう。その際、付せんを用意して、すべての業界に目を通し、思ったこと、感じたことを書き込んでペタペタ貼ってください。興味を持った業界・会社だけでなく、「興味がない」「行きたくない」と思った業界にもコメントを書き込むことをお勧めします。裏を返すと「やりたいこと」「自分の興味」が見えてくるからです。
もう一つ、冬休み中にやってほしいのが、
SPIなどの
適性検査対策です。これについては、
◆編集長動画 就活ポイント講座④「コロナで適性検査がより重要に 今こそ対策を!」をご覧下さい。
・
前編はこちら
・
後編はこちら
では、よいお年を!
◆人気企業に勤める女性社員のインタビューなど、「なりたい自分」になるための情報満載。私らしさを探す就活サイト「Will活」は
こちらから。
※「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。お申し込みは
こちらから。