2013年07月31日

総合商社マン、マグロ養殖に挑む

テーマ:経済

ニュースのポイント

 「海のダイヤ」と呼ばれるクロマグロの養殖が盛んです。マグロ養殖事業には、水産・食品会社だけでなく、総合商社も関わっています。総合商社は貿易にとどまらず、さまざまな製品の開発から製造、販売まで手がける総合プロデュース企業でもあります。マグロ養殖を例に、商社ビジネスの一端を見てみましょう。

 今日取り上げるのは、経済面(9面)の「けいざい新話/マグロ革命①/漁獲規制、養殖の輪広げる/大手参入、水揚げ5年で倍増」です。
 記事の内容は――長崎県北部の鷹島沖で、大手商社の双日がクロマグロの養殖を始めたのは2008年。関連会社「双日ツナファーム鷹島」の2013年の出荷は昨年の3倍の約6000匹、300トンと見込まれる。商社のマグロビジネスはもともと大西洋やインド洋からの輸入が中心で、漁業や養殖は自然環境のリスクが大きく乗り出さないのが鉄則とされていた。この常識を覆して双日が養殖を始めたのは、2000年代にクロマグロの漁獲規制が強まり漁獲量も落ち込んだため。ツナファーム前社長の宮崎誠尚さんは、双日の機械の営業マンだったが、もともと「魚が好きな水産マニア」で養殖事業の経営者公募に手を挙げた。マグロ問屋で実務を学んでから長崎に赴任。試行錯誤を重ね事業を軌道に乗せた。マグロ養殖には同時期、商社では三菱商事や豊田通商、水産の極洋、食品の日本ハムなどの大手企業が乗り出し、昨年の養殖量は9600トンと5年で倍増した。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 総合商社は昔も今も、就活生にはトップクラスの人気企業です。かつては、取り扱う製品の多さから「ラーメンからミサイルまで」をうたう貿易会社のイメージでした。1980~1990年代に直接取引の増加から商社不要論がささやかれた「冬の時代」もありました。今では投資や融資、資源開発、新エネルギー開発に乗り出したり、製品の開発から製造、販売までを一貫して手がけたりするなど業態を広げてきました。近年は資源価格の上昇や新興国での需要増などで、各社とも業績好調です。

 ビジネスチャンスがあるとみれば、人を送り込み、一からビジネスを立ち上げる――というのも総合商社の手法。大手企業がベンチャービジネスを手がけているようなものです。マグロの養殖もその一つ。ツナファーム前社長の宮崎さんは、自ら手を挙げ、水産事業をゼロから学び、試行錯誤を経て事業化に成功しました。最近は「安定しているから」と総合商社を志望する学生も多いそうですが、こんなチャレンジ精神や新しい発想力、企画力も商社マンに求められる資質なのですね。

 実際に企業で働いている人を取り上げた新聞記事は、具体的な仕事を理解するのに役立ちます。さらに夏休みには、OB・OG訪問をして社員に直接聞いてみることをお薦めします。

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