
(写真は、求人広告を見つめるロスジェネ世代の男性=さいたま市)


朝日新聞の記事に登場した2人のケースを紹介します。
●東京近郊に住む41歳の男性:2001年に国立大学を卒業。就活は、志望職種を決められないまま3~4社しか受けず全敗。卒業後、電子機器販売のアルバイトを始め、当初は時給900円で手取り月15万円、繁忙期は残業で25万円を超すこともあったが、今は18万円に届けばいい。年下の正社員が増えて煙たがれるように。低賃金よりも仕事を評価してもらえないことがつらい。転職活動もしたが、履歴書にはアルバイトとしか書けず、採用面接では「なぜ新卒で就職しなかったのかと」問われる。今も70代の親と実家で同居。「40歳というラインを過ぎ、人生の半分近く、何もしてこなかったと評価されているかのようです。将来、不安しかありません」と語る。
●埼玉県に住む45歳の男性:20代でパチンコ店に勤めて主任になったが、店長と折り合いが悪く11年働いて退職。32歳ごろから太陽光発電パネルの工場で働き、半年でグループリーダーになったものの、リーマン・ショックで2009年に派遣切り(雇い止め)された。パチンコ店、バイク便、居酒屋など20社ほど受けたが全敗。ネットカフェに寝泊まりして職を探し、月400時間以上働かされるブラック企業、コンビニの深夜バイト、観光ホテルの住み込みバイトなどを転々。無理を重ねて糖尿病と白内障を患った。生活保護を受けながら、今も仕事を探している。

最近、経済界からは「新卒一括採用より通年採用」「もう終身雇用はもたない」といった声が上がるようになりました。転職市場が活性化して「転職は普通のこと」になりつつありますし、新卒で就職したものの数年で辞めた人や就職しなかった人を指す「第二新卒」の採用も増えています。会社を辞めて起業する若者も多くいます。新卒一括採用にうまく乗れずに失敗しても、挽回できるチャンスはかつてよりもずっと大きくなっています。
それでも、みなさんには「正社員」にこだわってほしいと思います。事情が許せば就職浪人して翌年の再挑戦はありですが、「就活がうまくいかないから、とりあえずアルバイトでいいや」とか「何をやりたいかわからないから、まず派遣社員で働いてみて考えよう」などと安易に流されてしまうのはリスク大です。これから雇用の流動化がどこまで進むのか、新卒一括採用がどの程度崩れるのはわかりません。まだまだ旧来型の日本的雇用を続ける会社は多く、アルバイトや派遣の経験は「職歴」として評価されません。「正社員→正社員」の転職は増えていても、「非正規→正社員」のハードルは高いのが現実です。今の売り手市場なら、当初の志望通りにいかなかったとしても、自分に合う働きがいのある会社がきっと見つかりますから。
●どうなる新卒一括採用!? 通年採用、ジョブ型採用って?(4月26日のイチ押しニュース)参照
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2025/11/02 更新
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