2019年05月27日

派手な「トランプ歓待」の底流で起きていること【週間ニュースまとめ 5月20日~26日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 アメリカのトランプ大統領が来日しました。日曜日には、午前中ゴルフを楽しみ、夕方には千秋楽の両国国技館に特設された椅子席で大相撲を観戦、夜は六本木の高級炉端焼き店で食事をしました。安倍首相夫妻がトランプ大統領夫妻を朝から晩まで手厚く接待しました。これだけもてなしたのだから日米関係は良好に進むだろうと思った人も多いと思いますが、楽観は許されません。安倍首相の接待へのお返しなのか、日米貿易交渉の合意は参議院選挙後の8月になりそうです。安倍首相にとっては選挙を戦いやすくなってうれしいかもしれませんが、国民にとってはたいした違いはありません。合意は、米国産牛肉の関税引き下げなど日本の農家が打撃を受ける内容になることは間違いないでしょう。いくら接待しても、「それはそれ、これはこれ」というのが国際政治です。日本との摩擦よりはるかに激しい米中貿易戦争の余波も日本に及び始めています。日本の景気の先行きには不安材料が増えています。景気が悪くなれば、売り手市場の就活戦線にも変化が出てくるかもしれません。トランプ大統領の派手なパフォーマンスを面白がっているだけでなく、底流の変化を見落とさないようにしましょう。(朝日新聞社教育コーディネーター・一色 清)

●「米中貿易戦争」で景気悪化…みんなの就活を直撃するかも!?(5月17日のイチ押しニュース)も読んで下さい。

(写真は、優勝した朝乃山関〈左〉に米国大統領杯を贈るトランプ米大統領。右は安倍晋三首相=26日、東京・両国の国技館)

週間ニュースまとめ

【経済】1~3月期GDP、年2.1%増 中国経済の減速が影響(5/20.Mon)

 内閣府が20日発表した今年1~3月期の国内総生産(GDP)の1次速報は、物価の変動を除いた実質(季節調整値)で前期(昨年10~12月期)より0.5%増えた。この状況が1年続いたと仮定した年率換算では2.1%増。プラス成長は2四半期連続だが、輸入が輸出を上回る規模で落ち込み、GDPを押し上げた面が大きい。企業の設備投資が小幅な減少になるなど、中国経済の減速の影響は国内にも広がっている。

【経済】携帯3社、華為製スマホの発売延期 米中摩擦が日本直撃(5/22.Wed)

 再燃した米中貿易摩擦が日本経済を直撃し始めた。携帯電話大手3社は22日、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の最新スマートフォンの発売延期や予約停止を表明。日本から中国向けの輸出は前年割れが続き、中国から生産拠点を移す動きも出ている。米トランプ政権による15日の華為への輸出規制を受け、華為製スマホを巡る環境は一変した。規制の一部には猶予期間が設けられたものの、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」のアフターサービスを受けられるかや、「Gメール」を使う人気アプリが搭載されるかなど、疑問が広がった。

【経済】金融庁、野村証券に業務改善命令へ 東証の情報を漏洩(5/23.Thu)

 東京証券取引所の市場区分見直しに関する有識者懇談会での議論の内容を外部に漏らしたとして、金融庁は、野村証券金融商品取引法に基づく業務改善命令を出す方針を固めた。同社の情報管理などに問題があると判断したとみられる。情報漏洩(ろうえい)は3月に発覚した。東証は現在四つある市場を再編するため、有識者による懇談会で、新しくつくる市場に企業が上場する際の基準などを議論。懇談会の委員だった大崎貞和・野村総合研究所フェローが、関係会社の野村証券の社員にこうした議論の内容を伝え、社員が投資家に漏らしたとされる。

【国際】英メイ首相、万策尽きて辞意 世論分断、民意見いだせず(5/24.Fri)

 欧州連合(EU)からの離脱をめぐり英国で混迷が深まる中、メイ首相が24日、辞意を表明した。与党・保守党の党首を6月7日に辞任し、翌週から党首選を始める。次の党首は7月中に選ばれる見通しで、その時点でメイ氏は首相の職を後任に譲る。EU離脱を決めた国民投票の後に就任して3年。離脱の道筋を付けられずに職を去ることになった。英国は当初3月末にEUを離脱する予定だったが、離脱に伴う条件をめぐる英議会の混乱で10月末まで延期された。状況を打開するため、メイ氏は野党が求める2回目の国民投票を条件つきで容認する方針を、今月21日に発表。これが与党内で強い反発を招き、政権の主要メンバーが辞任するなど、議会採決に持ち込むことさえできない状況に陥っていた。

【政治】トランプ氏、表彰状読み「レイワ・ワン」 特注杯を贈呈(5/26.Sun)

 来日中のトランプ米大統領夫妻が26日夕、東京・両国の国技館で、大相撲夏場所の千秋楽を安倍晋三首相夫妻と一緒に観戦した。表彰式ではトランプ氏が優勝した朝乃山関に新たに設けた「米国大統領杯」を贈呈した。日本側は会場の内外を多くのSPや警官に厳重に警戒させ、トランプ夫妻のために升席を取り払って特別にソファを設置。夏場所は異例の「トランプ接待場所」となった。



◆人気企業に勤める女性社員のインタビューなど、「なりたい自分」になるための情報満載。私らしさを探す女子就活サイト「Will活」はこちらから。

※「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。お申し込みはこちらから

アーカイブ

テーマ別

月別