(写真は、米国のトランプ大統領〈左〉と中国の習近平国家主席〈右〉)
(写真は、米国のトランプ大統領〈左〉と中国の習近平国家主席〈右〉)
何が起きてるの?
問題にしているのは、中国が米企業の知的財産権を侵害している、国有企業への補助金は不公正、外国企業に技術移転を強制している――といった点です。まず2018年7月、中国のハイテク製品、電子部品を米国に輸入する際に25%の高い関税をかけました。品目を広げ、今月になって第3弾を発動。6月に第4弾を発動すれば、中国からの輸入品のほぼすべてに高関税がかかるようになります。この制裁に対し、中国も米国からの輸入品に報復関税をかけて「戦争」状態に陥っているのです。
米中の「覇権争い」
(写真は、ファーウェイのロゴ=中国広東省東莞市)
日本の部品→中国でスマホに→米国へ
中でも「世界の工場」に多くの部品を供給しているのが日本の企業です。中でも、米国の制裁第4弾に盛り込まれたスマートフォン(スマホ)にたくさん部品を供給。中国でつくられる米アップルのiPhone(アイフォーン)に関わる日本企業は数百社にのぼります。パナソニック、シャープ、TDK、村田製作所、日東電工など多くの企業が売り上げを減らしたり、今年度の売り上げ予想を引き下げたりしています。大和総研は、米国の関税制裁で中国経済が減速すれば、日本の輸出を最大で年間1%近く押し下げる恐れがあると試算しています。
ファーウェイのスマホ向け部品の納入額も年々増え、2018年は約7000億円、2019年は8000億円超との見方もあるほどです。米国のファーウェイ制裁では、日本企業が米国から部品を輸入し加工して中国に輸出する場合にも適用されるかもしれません。大手総合商社、双日の藤本昌義社長は「今後、日本から中国に出す半導体技術を含む機器の輸出に(米国が)どういう網をかぶせてくるのかを非常に懸念している」と語りました。液晶大手のジャパンディスプレイ、素材大手の住友電工、半導体メモリーの東芝メモリ、NTTドコモなども影響を心配しています。
(写真は、ファーウェイが発表した折りたたみスマホ「Mate X(メイト・エックス)」=2月27日、バルセロナ)
すでに影響が
中国を「生産拠点」としてきた長期戦略を見直す動きも出始めました。複写機大手のリコーは米国向けの生産拠点を中国からタイに移す用意をしています。三菱電機は米国向けのレーザー加工機の生産を中国から名古屋市内の工場に移し始めています。グループ会社が中国で生産した油圧ショベルを北米に輸出している神戸製鋼所は、日本などでの生産に切り替える方針です。
さあ、もう分かったと思います。この数年、学生優位の「売り手市場」が続き、過去最高水準の就職率を記録してきた就職戦線に陰りがでる可能性が出てきました。米中の対立は対岸の火事ではありません。世界はつながっています。今後注目してほしいのは、6月末に大阪で開かれる主要20カ国・地域(G20G20)サミットです。トランプ大統領と中国の習近平(シーチンピン)国家主席の首脳会談が実現するのか、そこで対立解消への道筋をつけられるのか。「自分ごと」としてニュースをチェックしてください。志望企業の中国との関わりについても調べてみましょう。
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2023/05/30 更新
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