(写真は、衆院本会議で立憲民主党の枝野幸男代表〈手前〉の代表質問を聞く安倍晋三首相〈中央〉=1月30日)
(写真は、衆院本会議で立憲民主党の枝野幸男代表〈手前〉の代表質問を聞く安倍晋三首相〈中央〉=1月30日)
「いざなみ景気」抜いた?
そしてこの1月、リーマン・ショックがあった2008年まで6年1カ月続いた「いざなみ景気」を抜いたとみられる、というところまできました。ただ、物価の変動をのぞいた実質経済成長率は平均1.2%にとどまります。1990年前後のバブル景気の5.3%や、高度成長期の「いざなぎ景気」の11.5%には遠く及ばず、リーマン前までの「いざなみ景気」の1.6%も下回ります。売上高や利益が「過去最高」を記録する企業も多いのですが、社員の給料はそれほど上がっていないため、消費も停滞しています。専門家は「企業主導の回復で、家計に恩恵が行き渡っていない」と言います。景気拡大の期間を正式に認定するのは1年以上先で、「戦後最長」が幻に終わる可能性もあります。
国の統計が信用できない…
政府は56の基幹統計、233の一般統計を実施していますが、今回の問題をきっかけに調べたところ、毎月勤労統計以外にも不正や誤りが見つかっています。国の統計は、政策決定や行政の根幹となるデータですから、国の信用問題にも発展しかねません。
(写真は、衆院本会議中に根本匠厚労相〈左〉と言葉を交わす安倍晋三首相=1月31日)
実質賃金がポイント
ただ、2018年1~11月の「実質賃金」の増減率を実態に近い調査手法で計算し直すと、大半の9カ月分で前年に比べマイナスになると野党が試算(グラフ参照)し、厚生労働省がそうなる可能性を認めました。実質賃金は、給与や賞与の金額(名目賃金)から、物価変動の影響を引いた数値です。たとえば給与が1%増えても、世の中のモノやサービスの値段が2%上がったら購買力は下がります。このため、実質賃金はより生活の実感に近い数値とされています。アベノミクスで「戦後最長の景気拡大」と言われても、生活が良くなった実感が持てないのは、このあたりに原因がありそうです。アベノミクスは、積極的な財政出動や金融緩和で世の中に出回るお金の量を増やして物価を上昇させる一方、賃金もそれ以上に伸ばして消費を盛んにして経済の好循環をめざす政策。賃金上昇は「アベノミクス」の極めて大事なポイントだけに、野党が追及を強めているわけです。
企業の業績はとても良い状態が続いたため、採用数を増やす企業が多く、就活は学生優位の「売り手市場」が続いてきました。就活生にとってはとてもいい状況です。でも、米中貿易摩擦などから、世界の経済を引っ張ってきた中国の成長にブレーキがかかるなど海外の景気に影が差しています。中国への輸出が減って業績を落とす企業が増えています。これからの世界の経済情勢に注目してください。
2022/07/03 更新
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