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2018年に日本を訪れた外国人観光客数は前年比8.7%増の3119万2000人、消費額(速報値)は2.0%増の4兆5000億円で、いずれも過去最高を更新しました。ただ、政府が掲げる「東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年に4000万人、8兆円」の目標にはまだまだで、課題も見えてきました。訪日客を迎える企業もあの手この手を繰り出しています。(編集長・木之本敬介)
(写真は、訪日外国人客でにぎわう大阪・黒門市場=2018年1月16日)
(写真は、訪日外国人客でにぎわう大阪・黒門市場=2018年1月16日)
1人平均15万3000円
訪日客は6年連続、消費額は7年連続で増えました。ただ、台風による関西空港の被災や北海道地震があった9月が前年同月比マイナスになったこともあり、伸び率は鈍りました。とくに消費額は節目の5兆円に届かず、伸び悩みました。外国人観光客は日本でお金を使ってくれるため、日本の経済にとってプラスです。そこで政府は成長戦略の一つと位置づけ、入国ビザを緩和したり、消費税の免税制度消費税の免税制度を拡充したりして、訪日客を増やそうとしてきました。ただ、政府目標の「訪日客4000万人が8兆円消費」ということは、1人あたり20万円使う計算です。2018年は平均15万3000円でかなり足りません。
欧米豪からの呼び込みが課題
地域別に見ると、アジアでは「爆買い」が話題になった中国は1人22万4000円と多いものの、韓国の7万8000円など少額の国が多くあります。一方で欧米はスペイン23万7000円、イタリア22万4000円、アメリカ19万1000円と高く、オーストラリアも24万2000円です。観光庁の田端浩長官は「欧米豪地域の旅行客は滞在が長く、消費もする。日本の認知度を高めるため、キャンペーンを進めていきたい」と話しました。欧米やオーストラリアのから観光客呼び込みと、東京、京都、大阪など人気の大都市圏から地方への誘導、「モノ消費」から体験する「コト消費」への展開、が課題です。
1月7日から、新税の国際観光旅客税(出国税)の徴収が始まりました。飛行機や船で日本を出国する人から1回1000円を徴収する制度で、2歳以上であれば年齢や国籍にかかわらず対象となります。政府はこれも活用して、海外への訪日プロモーションを強化する予定です。
全国の「道の駅」にホテル
最近の朝日新聞の記事から、訪日客呼び込みのための各地の企業の取り組みをいくつか紹介します。まずは宿泊施設です。国内各地でホテルの建設ラッシュが続いています。不動産サービス大手CBREの1月調査では、東京23区や大阪、京都など主要8都市の2020年末時点のホテル客室数は約33万室で、2016年末から32%増えます。地方では、米ホテル大手マリオット・インターナショナルと積水ハウスが、道の駅に併設するホテルを各地につくります。訪日客の利用を見込んだ動きで、展開するブランド名は「フェアフィールド・バイ・マリオット」。積水ハウスが建設して、運営はマリオット社が担います。2年後をめどに全国5府県、計15カ所で約1000室をオープンする予定で、その後も各地に広げていく計画です。ホテルにはレストランや土産店を置かず、道の駅など地域の店の利用を促し、アウトドアなども楽しむ「体験型」の観光を提案するそうです。
(写真は、道の駅に隣接したホテルのイメージ=積水ハウス提供)
ハラール対応のお好み焼き
次は「食」。大阪では、千房ホールディングスがイスラム教徒(ムスリム)でも食べられるお好み焼き屋を開店しました。イスラム教で禁じられている豚肉を使わず、牛肉や海鮮を入れたお好み焼きを提供しています。最近は、ムスリムの多いマレーシアやインドネシアからの観光客も増えているためです。カレーチェーンの壱番屋は、イスラム教の戒律に従って調理するハラールに対応したメニューをそろえた店を東京に開きました。インドネシアの工場でつくったカレーソースを逆輸入しています。横浜市の横浜ロイヤルパークホテルは昨秋、レストランを改装し、ベジタリアンやビーガン(完全菜食主義者)などの志向に対応する態勢をとりました。訪日外国人の効果や課題については、
◆面接で聞かれる!就活生のための時事まとめ「インバウンド消費4兆円、航空・ホテル・百貨店…潤う業界は?」
も読んでください。
(写真は、ハラール対応のたこ焼きを食べる訪日客=2018年11月、大阪市福島区「日本食レストラン 祭」)
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