2013年06月25日

進化するQRコードで世界と戦う

テーマ:経済

ニュースのポイント

 日々どこかで目にするQRコード。トヨタ自動車の部品データ管理のために自動車部品大手のデンソーが生み出して来年で20年になります。小さな四角形は、さまざまな進化を遂げ、流通、運輸、印刷など、他の業界も巻き込みながら世界を舞台に戦っています。

 今日取り上げるのは、経済面(8面)の「地域発企業発/QRコード進化中」です。
 記事の内容は――劇団四季の劇場入り口で来場者が携帯電話画面のQRコードをかざすと、「入場OK」の文字と座席位置が表示される。劇場の専用端末でしか読み取れないこのコードを開発したのはデンソー子会社のデンソーウェーブ。コピー防止対策として特殊インクでかかれた「見えない」QRコードの開発にも成功した。世界では、米シンボルテクノロジー(現モトローラ)の「PDF417」という2次元バーコードが、米国の自動車免許証などで普及するほか、多くの国際線の紙のチケットで使われており、QRコードは劣勢だ。デンソーは昨年から各国の印刷業界との提携を広げ、来年度までに欧米、アジアなど約20社に広げる計画。提携企業は各国の現地企業にQRコードを売り、売り上げの一部がライセンス料としてデンソーに入る。同社は「QRコードをもっと進化させたい」と意気込む。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 飛行機に乗るとき、登場ゲートでチケットのコードを機械にかざすと座席番号を記した紙が出てきます。全日本空輸や日本航空は国内線ではQRコード方式ですが、国際線では国際航空運送協会(IATA)の求めによりPDF417を使っています。小さな四角形をめぐって、激しい国際競争が繰り広げられているのですね。

 この記事からは、さまざまな情報が詰まっている数センチ四方の小さな四角形が、多くの独自技術の集合体だということがわかります。新たな技術開発に加えて大事なのは、その技術をいかに「世界標準」にするかの戦略です。QRコードはスマホを介せば動画など大容量の情報に簡単に接続できるため、広告を中心に使い道が広がるとみられ、世界中でスマホが普及する今はチャンスだといいます。

 自動車部品管理にはじまったQRコードは、通信、印刷、広告、流通、運輸、エンターテインメントなどさまざまな業界を巻き込みながら普及しています。チケットやコンビニのレシートなどバーコードを目にしたら、デンソーの世界戦略、多様な業界の関わりやQRコードの今後の可能性に思いを馳せてみましょう。

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