2018年08月24日

地銀の新事業に注目!証券、コンサル、信託も【今週のイチ押しニュース】

テーマ:経済

 人口減少とマイナス金利で経営が厳しくなっている地方銀行が、新たな業務で収益を上げようとしています。地銀は地元で「一番の就職先は、県庁か○○銀行」と言われてきました。安定感や人気に陰りは出ているものの、地銀104行の預金額は約327兆円で、大手銀行5行の約363兆円に匹敵します。地銀なしに地域経済は回りません。これからの地銀のあり方は「地方創生」のカギを握っています。金融機関をめざす人、地元就職を狙う人は、地銀の最新の動向に注目してみましょう。(編集長・木之本敬介)

(写真は、東京が地盤の東京都民、八千代、新銀行東京の3銀行が合併して5月1日に発足した「きらぼし銀行」本店=東京・南青山)

マイナス金利が地銀直撃

 地銀の多くは地方自治体の指定金融機関で、地元有力企業のメインバンクです。多くが安定した経営を続けてきました。ところが、その経営基盤が揺らいでいます。原因の一つは人口減少。日本全体の人口が減っていることに加え、地方から首都圏など都会への流出も続いています。お客さんが減るのですから、同じようにやっていたら経営が厳しくなるのは必然です。

 もうひとつ、銀行を直撃しているのが「マイナス金利」です。詳しくは、
面接で聞かれる!就活生のための時事まとめ 日銀の「異次元の金融緩和」と「マイナス金利」
を読んでほしいのですが、その副作用で銀行の経営が厳しくなっています。預かったお金に利子をつけて貸し出し、その利ざや(金利収入)で稼ぐのが銀行業の柱ですが、ここでもうけられなくなったのですから大変です。

(写真は、日銀の黒田東彦総裁=2018年7月31日、東京都中央区の日銀本店)

半数超が本業で赤字

 上場する全国の地方銀行や地銀グループ80社の2018年3月期決算は、純利益の合計が9824億円と前年より8.4%減り、5年ぶりに1兆円を割りました。金融庁によると、半数超の54行が貸し出しなどの本業で赤字でした。長年のビジネスモデルが崩れているのです。

 全国の地銀を対象にした朝日新聞のアンケート(地銀104行中90行が回答)でも、今後の経営の懸念材料(複数回答)について、「日銀の金融緩和の長期化」(75行)、「地域の人口減少」(73行)との回答が8割を超えました(グラフ)。売り上げの半分を海外で稼いでいるメガバンクは、海外事業をさらに拡大することでカバーできますが、地銀はそうはいきません。

新たな動き続々

 そんな中、新たな業務で収益を上げようとする動きが出ています。朝日新聞の記事から三つのパターンと具体例を紹介します。
①証券子会社設立
 銀行は投資信託や保険など扱える金融商品が法律で限定されていますが、証券会社は株式など幅広い金融商品を販売できます。グループに証券子会社を持つことで販売手数料収入の拡大を目指します。
・鹿児島銀行と肥後銀行(熊本市)を傘下に持つ九州フィナンシャルグループ(FG)が4月に証券子会社を本格開業
・北洋銀行(札幌市)は10月に地場証券を完全子会社化
・包括的業務提携を交わしている十六銀行(岐阜市)と東海東京フィナンシャル・ホールディングス(東京)が2019年度に証券子会社開業めざす

②コンサル
 経営計画の策定やM&A(合併・買収)の助言業務に力を入れる銀行もあります。
・七十七銀行(仙台市)は7月、企業へのコンサルティング機能を備えた子会社を開業

③信託
 銀行と信託業務の兼営許可をとる動き。信託商品を自ら売り、人口減少や相続による預金流出を防ぐ狙いです。
・南都銀行(奈良市)が昨年、地銀として約10年ぶりに信託業務を開始
・今年は、きらぼし銀行(東京)、京都銀行が許可を得た。鹿児島銀行も年内に許可を受ける見通し

(写真は、金融庁が入る庁舎=東京・霞が関)

不正も相次ぐ

 一方、低金利下で無理な事業拡大を迫られているのか、最近、地銀で不祥事が目立ちます。
・東日本銀行(東京) 融資先から根拠がない手数料を取る、成績を上げるため実態がない取引先に貸すなどの不正が発覚、金融庁が業務改善命令
・スルガ銀行(静岡県沼津市) シェアハウス投資向け融資で資料改ざんなどの不正発覚
・みちのく銀行(青森市) 複数の行員が融資関係書類を改ざんしていたことが発覚

 こうした業界関連の「マイナス情報」も押さえておくと、面接などでの会話の幅がグッと広がりますよ。

(写真は、融資業務での不正を受け、金融庁に業務改善計画を提出後、会見で謝罪する東日本銀行の大神田智男頭取(左)と持ち株会社コンコルディア・フィナンシャルグループの川村健一社長=2018年8月10日、東京都中央区)

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