2018年07月27日

なんと41.1度!最高気温更新…「猛暑は商機」の会社は?【今週のイチ押しニュース】

テーマ:経済

 埼玉県熊谷市で国内観測史上最高の41.1度、東京都内で観測史上初の40度以上を記録するなど、命にもかかわる「災害級」の猛暑が各地を襲っています。猛暑になると、暑さ対策の商品が爆発的に売れたり、新たな商品が開発されたり……。猛暑に商機を見いだしている業界・企業があります。地球温暖化の影響とも言われる異常気象とビジネスについて考えます。(編集長・木之本敬介)

(写真は、観測史上最高気温を掲示したボード=7月23日、埼玉県熊谷市)

温暖化の影響?

 最近、全国の最高気温の一覧表を見ると、35度以上がずらりと並び、一瞬、人の体温を表しているのではないかと錯覚するほどです。7月23日には、熊谷市で5年ぶりに国内最高を更新したほか、東京都青梅市で40.8度を記録。全国の観測地点の4分の1で最高気温が35度以上の猛暑日となりました。

 この猛暑は、日本付近の上空で太平洋高気圧チベット高気圧の二つが重なり合う状態が続いているためですが、気象庁は「温暖化の影響で顕著な高温の出現数は増えているし、将来も増える見通しだ」と、地球温暖化との関係について話しています。

ビジネスには明暗

 この猛暑で、ビジネスには明暗が出ています。最近の朝日新聞の記事からトピックを拾いました。
ダイキン工業は、家庭用エアコンの主力工場である滋賀製作所がほぼフル生産。5年前の酷暑で生産が追いつかなかった反省から、暑くなりそうな年は当初計画からすぐに2割増産出来る体制を整えた。三菱電機もフル操業で7月16日の出荷台数は前年比40%増。AI(人工知能)が住宅の性能や外気温を分析し快適な室温を自動的にコントロールする新機種が人気です。パナソニックは17日時点の出荷台数が前年比1.6倍に。日本冷凍空調工業会によると、今年度の家庭用エアコンの国内出荷台数が過去最高だった2013年度の942万台を超える勢い
キリンビールの試算では、気温が1度上がるとビール系飲料の売り上げが2.5%、大瓶換算で1日約80万本分増える。同社は7~8月の「一番搾り」の缶を前年より1割増産。サントリービールも7~8月に「ザ・プレミアム・モルツ」の缶を約15%増やす。
◆通販サイト「ヤフーショッピング」では、首にかける持ち運び式の扇風機が前年の38倍、ナイロン製で涼しく感じる抱き枕は2.4倍の売れ行き。
空調服(東京)が販売する扇風機付き作業着は「大手ゼネコンではほぼ利用いただいている」(広報担当)。個人での購入も増え、前年比5割増の売れ行きですでに品薄状態。
フジッコ(神戸市)の塩昆布は、汗で失われるミネラルの補給源として売れており、「減塩フジッコ」の売り上げが前年比十数%増えた。
◆アイスキャンディー「ガリガリ君」などを製造販売する赤城乳業(埼玉県深谷市)では7月16~18日、アイスクリーム全体の出荷量が前年より4割増えた。
井村屋グループは「あずきバ-の出荷量が7月中旬の3連休くらいからヒートアップしている」
東急ハンズ名古屋店では、首に巻いて冷やす商品「マジクール」が3連休で約1500個をほぼ完売。7月の半月で昨年の売り上げを超えた。
JR名古屋高島屋では、7月14~22日に日よけパラソルの売り上げが前年同期より7割増えた。


 一方で、紳士服ではジャケット、スーツの売り上げが落ち、屋外のレジャー施設は厳しい展開です。東京ディズニーランド・ディズニーシーでは14日から5日間、ステージショーやパレードの一部を中止しました。昨年中止したのは7月の1日間だけでしたから、今年の猛暑ぶりがわかります。

(写真は、エアコン生産でフル稼働状態のダイキン工業滋賀製作所=滋賀県草津市)

「猛暑対策展」も

 7月中旬には東京ビッグサイトで「猛暑対策展」が開かれました。工場、倉庫、商業施設、オフィス、建設現場などでの暑さ、熱中症、臭い、紫外線対策に取り組む企業向けの産業見本市で、今年で4年目です。巨大送風機、熱を遮るヘルメット、着脱可能な「着るエアコン」、バケツ型の小型エアコンなどユニークな商品が並びました。少し前には思いも寄らなかった商品が続々開発されています。

 企業は温暖化が進まないような努力をする一方で、猛暑や厳寒に対応する方策を練っています。みなさんも自分なりのアイデアを考えてみてください。これも立派な業界・企業研究です。

気温が1度上がると、消費は?

 暑いと、暑さ対策のモノが売れ、これらを運ぶ段ボールやエネルギーの需要も高まり、涼むために飲食店や映画館に入る人も増えます。一方で屋外の施設は敬遠され、モノを温めるガス代は減ります。猛暑は結局のところ、経済にどのくらい影響するのでしょう?

 第一生命経済研究所が約20年分の7~9月期の国内総生産(GDP)と、同じ時期の東京と大阪の平均気温の関係を分析したところ、気温が1度上がると、家計消費支出を0.5%押し上げる効果がありました。この夏を通じて、観測史上もっとも暑かった2010年と同じくらいの暑さになれば、家計消費支出が4900億円ほど増え、7~9月期のGDPの実質成長率を0.2%程度押し上げるそうです。ただ、反動で10~12月期の個人消費が鈍る可能性も。「暑いと夏場の景気が盛り上がるのは間違いない。ただ、使わなくてもよかったお金を前倒しして使ってしまっているという面もあり、浮かれてはいけない」(同研究所の永浜利広首席エコノミスト)そうですよ。

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