2013年06月19日

「国際連合」の謎

テーマ:国際

ニュースのポイント

 今日は国際連合(国連)に関するお勉強です。日々のニュースに登場し、誰でも知っている国連ですが、「United Nations」を直訳すれば「連合した国々」。なぜ「国際連合」と訳したのか。国連担当記者が、高校生時代からの疑問を解こうと取材しました。

 今日取り上げるのは、国際面(12面)の「『なぜ』を訪ねて/『国際連合』意訳の謎」です。
 記事の内容は――2013年の国連通常予算に対する加盟国の分担は、日本は約3億450万ドル(約290億円)で、米国の約6億1850万ドル(約590億円)に次ぐ2位。常任理事国である英仏中各国のほぼ倍、ロシアの4倍以上だ。この数字が大きいほど国連での発言力は強くなるそうだ。日本の国力を考えれば常任理事国に入ってもっと国際平和に貢献すべきだと主張すると、中国のジャーナリストに「日本の常任理事国入りはありえない。中国は拒否権を使う」「UN(国連)は第2次世界大戦の戦勝国がつくった組織。名称も『連合国』だ。戦勝国が常任理事国という構成は絶対に譲れない」と反論された。1945年の日本の降伏文書にも「米国、中華民国、英国、ソ連、そして日本と戦争中のその他の連合国(United Nations)の利益のため」と書かれている。外務省外交資料館の館長代理は「『連合国』という呼称には敗戦国の屈辱がついてまわる。知恵を絞り苦心して考え出したのが『国際連合』だったのでは」という。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

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 日々のニュースで接する「国連」という言葉ひとつにも、こんな歴史的な経緯と、当時の人の思いや思惑が込められているのですね。日本に戦争で勝った「United Nations(連合国)」の名称が、そのまま戦後の国際機構に引き継がれたため、日本では意訳を使うようになったわけです。歴史を知らなければ、今を理解することもできません。学校で歴史を勉強するのもこのためです。さらに、戦後68年が過ぎても、国連を中心とする現在の国際社会は、第2次世界大戦の結果による枠組みを基本としているという厳然たる事実を知っておかなければなりません。

 記事によれば、名称に「国際」がつく大学は31、学部は82、学科は193あるそうです(2012年度)。みなさんの中にも、国際関係の大学や学部に所属している人や、国際的に活躍したい、国際的な仕事に就きたいと思っている人も多いでしょう。グローバル化した時代ですから、商社や外資系企業に限らず、多くの企業が海外と無縁ではいられない時代です。国際的な仕事を意識するとき、国際社会の中での日本の立ち位置と、歴史的な経緯は常に頭の隅に置いておきたいものです。

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