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男女格差(ジェンダーギャップ指数)の国別ランキングで日本は144カ国中114位と、過去最低の順位を更新しました。政治家に加え、企業の経営層や管理職に女性が少ないことが原因です。そんな現状を変えていこうと、多くの企業が「女性が活躍できる会社」への改革を始めています。女性が活躍できる会社は男性にとっても働きやすいはずです。みずほフィナンシャルグループ、三井住友海上火災保険、全日本空輸(ANA)などの取り組みを紹介します。(編集長・木之本敬介)
(写真は、就活生も参加したシンポジウム「女性活躍を加速する経営者と大学の挑戦」=2月22日、東京都千代田区のサピアホール)
(写真は、就活生も参加したシンポジウム「女性活躍を加速する経営者と大学の挑戦」=2月22日、東京都千代田区のサピアホール)
女性管理職が少ない!
ランキングは毎年、世界経済フォーラムが発表しています。2017年は前年より三つ順位を下げて114位。主要7カ国(G7)で最下位でした。指数は「政治」「経済」「教育」「健康」の4分野14項目で男女平等の度合いを比べます。日本は健康は1位ですが、政治が123位、経済は114位、教育が74位です。経済は、前年の118位から少しだけ順位を上げました。項目別では「女性の労働力比率」(79位→ 79位)、「同種業務での給与格差」(58位→52位)、「勤労所得の男女比」(100位→100位)、「幹部・管理職での男女比」(113位→116位)、「専門職・技術職での男女比」(101位→101位)。管理職の少なさがとくに足を引っ張っています。
産育休からの復帰ほぼ100%
朝日新聞社が2月に開いたシンポジウム「女性活躍を加速する経営者と大学の挑戦」の模様を今週、記事で紹介しました。3社のトップの発言から、女性の力を生かす先進的な取り組みを紹介します。◆みずほフィナンシャルグループ・佐藤康博社長(写真)
・女性のライフステージに応じた様々なプログラムがあり、施策は手厚い
・新卒の総合職に占める女性の割合は30%以上。育児との両立支援も充実し、産育休からの復帰者の割合はほぼ100%
・産育休中の社員や短時間勤務制度利用の社員がいる職場に対しても、支える社員が過度な負担を感じないよう状況に応じたサポート体制を整備
・係長および課長相当職に占める女性割合はそれぞれ47.7%、18.9%と着実に進む一方、部長相当以上は4.1%。まだ圧倒的に足りない。経営層候補育成のためリーダーシップ研修その他の取り組みを進める
テレワーク充実
◆三井住友海上火災保険・柄沢康喜会長(写真)・女性が柔軟に働ける環境を以前から整備。最近では、社外でも社内と同じセキュリティーレベルを持つパソコンを全社員に配備し、時間や場所に制限されない多様な働き方が出来るように。今年度のテレワーク利用者は2000人を超える
・役職に応じたキャリア研修も多く実施。中堅社員を対象にした「女性リーダースクール」、管理職向けのプログラム「女性アカデミー」も新設
・こうした活動で女性の管理職は増え、2013年に90人だったのが、2017年には262人に。出産後の就業継続率も2014年の92.90%から2016年の97.80%と着実に増えた
「短日数勤務」も
◆全日本空輸・平子裕志社長(写真)・約1万6300人の社員のうち6割が女性。ANAは女性社員の活躍によって発展してきた会社であり、女性の力なしに今後の発展もありえない
・女性活躍を経営戦略の一つに位置づけ、2014年に三つの目標「女性役員2人以上を登用」「女性管理職比率15%以上」「総合職事務・客室乗務職における女性管理職比率30%」を立てた。現在の役員は4人で目標を達成。管理職比率は24.9%、もう少しで届く
・女性管理職が学び合える場「女性管理職ネットワーク ANA-WINDS」を毎年開催し、職種を超えた人脈作りの機会としている
・出産・育児との両立という点でも特徴的な制度が。短時間勤務だけでなく「短日数勤務」制度の導入。女性社員の約8割を占める客室乗務員の勤務形態に合わせ、一日の労働時間は他の社員と同じにしながらも年間労働日数を減らせる制度。社内保育園を4月に羽田空港に、来年度中に那覇空港に開設
東京海上日動、ジョンソン・エンド・ジョンソン、味の素の取り組み
3月8日の「国際女性デー」にも、企業の取り組みを紹介する記事があったので、一部を紹介します。「男性のほうがリーダー向き」「育児は女性がすべきだ」といった「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」をなくそうと、社員研修に取り組む企業です。◆東京海上日動火災保険は2017年11月からアンコンシャス・バイアス研修を始めた。2004年、転居を伴う転勤のない「エリアコース」の社員も管理職になれるように仕組みを変更。女性管理職は10年前の5倍の約250人に増えましたが比率は1割に満たない。人事企画部の小瀬村幸子さんは「子育て中だから出張は難しいよね、といった上司の『配慮』が積み重なるとキャリアに大きな差がつく」と言う。研修には約2000人が参加した。
◆ジョンソン・エンド・ジョンソンは、女性の意識の変化を期待する。2013年に社員に実施した管理職志向の調査で「管理職になりたくない」と答えた女性は男性の3倍との結果を受け、2014年にアンコンシャス・バイアス研修を開始。約4500人の全社員にeラーニングも義務づけた。取り組みのリーダーの荒川朋子さんは「新しい仕事を打診され、『私なんて』と一歩引いてしまうのは自分自身への偏見」と話す。
◆味の素は、社長ら6役員向けの研修を3月に開く。「学歴の高い人ほど、自分に偏見はないと思い込むと言われている」(担当者)。
こうした記事から「女性活躍」に取り組む企業を知ることができます。2月のシンポジウムには女子学生を中心に約350人が参加し、熱心に話に聴き入っていました。いま各社が開いている会社説明会やセミナーでも、積極的に質問してみましょう。
(写真は、東京海上日動火災保険のアンコンシャス・バイアス研修=東京都千代田区)
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