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米国の株価暴落が「世界同時株安」を引き起こしました。日本の株価も急落し、きょう午前も値を下げました。米国では好景気が続いているはずなのに、いったい何が起きたのでしょうか。過去には、米国の株暴落が世界同時不況につながった例があります。今回の株安は、みなさんの就活にどう影響するのでしょうか。(編集長・木之本敬介)
(米国株価の急落を受けて日経平均株価は一時1600円超下落した=6日午後、東京都中央区)
(米国株価の急落を受けて日経平均株価は一時1600円超下落した=6日午後、東京都中央区)
二つの暴落要因
米国の株価急落のきっかけは、雇用統計で賃金が予想以上に上がっているという発表でした。景気が良いから賃金が上がったという「良い数字」なのに、なぜ株価は下がったのでしょうか。米国の経済は、景気は良いが過熱しすぎない「適温経済」といわれる状況が続いてきました。景気が一気に良くなりすぎると、中央銀行は金利を高くして流通するお金の量を減らして過熱を抑えようとしますが、適度な好景気だったため、米国の中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げのペースは緩やかでした。企業は低い金利で資金調達できますから好業績が続き、ニューヨーク・ダウ工業株平均は最高値を何度も更新していました。
ところが、今回の発表で予想以上の数字が出たことで、FRBが景気の過熱を抑えようと利上げのペースを上げるのではないかとの見方から長期金利が上昇。賃金上昇は企業にとってはコストでもあります。この二つが企業活動にマイナス要因になるとの警戒感から株価が暴落。5日には一日で1175.21ドル(4.60%)下がって、2008年のリーマン・ショック時を抜いて史上最大の下げ幅となりました。
先行きを心配
米国の株価の影響は瞬時に世界中に波及します。日本では6日、1月に26年ぶりの2万4000円台の高値を記録してした日経平均株価が前日より1071円84銭(4.73%)安い2万1610円24銭に急落しました。この日は香港市場で5%、上海市場でも3%など軒並み下落。英国やドイツにも連鎖しました。7日にはいったん収まりましたが、9日午前、日経平均はまた急落しました。米国の景気はリーマン・ショック後の2009年から拡大し、株価も上昇を続けてきました。失業率は歴史的に低い水準です。そこにトランプ大統領が大型減税やインフラ投資を打ち出したため、景気の「過熱感」から「バブル」を警戒する見方も出ていました。そんなところに予想以上の良い数字が出て、「思ったより景気が良すぎる。この先悪くなるかもしれない」と先行きを心配して株が一気に売られたわけです。
一時的?転機?
歴史を振り返ると、1929年から始まった大恐慌(世界恐慌)、1987年のブラックマンデー(暗黒の月曜日)、2008年のリーマン・ショックなど、米国の株価暴落が世界同時不況のきっっかけとなった例があります。今回の世界同時株安は、一時的なことでまた上がり始めるのか、それとも世界不況への転換点なのでしょうか。結論は、まだわかりません。米国をはじめ世界の経済は良い状態が続いており、日本企業の輸出や生産も好調。企業収益も「過去最高」の発表が相次いでいます。「今回の急落はこれまでの急上昇の反動で一時的」「世界経済の堅調さは続く。リーマン・ショックの時などとは異なる」との見方が多いようです。米市場の1日の下げ幅は1100ドル以上で金額では過去最大でしたが、下落率は4.60%ですから、1日で22%下げたブラックマンデーに比べればたいしたことはない、と言う専門家もいます。一方で、米国の株価下落は消費に大きく影響することを懸念する意見や、バブル崩壊への転換点になる可能性を指摘する声もあります。
2020卒に影響?
日本の好況は米国の好景気のおかげの面が強いので、米国の経済が悪くなれば、日本も一気に暗転するでしょう。業績が悪化すれば、多くの企業が採用人数を減らします。米国の株価急落は、日本の就活を直撃するかもしれないのです。
2019年卒予定者の就活はあと半月ほどでスタートします。今から業績が悪化してもすぐに採用予定数を減らすようなことはないと思います。ただ、2020年卒以降のみなさんの就活には大きく影響するかもしれません。世界はつながっています。株価のニュースも関心を持ってフォローしてください。
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