2017年05月24日

「働き方の変化」でコーヒーも?!商品開発物語を読もう

テーマ:経済

ニュースのポイント

 サントリー食品インターナショナルが、デスクワーク中心のビジネスパーソンをターゲットにしたペットボトルの新しいコーヒーを発売しました。背景には、工場や工事現場で働く「ガテン系」の仕事が減り、「ITワーカー」のように長時間デスクワークをする人が増えた「働き方の変化」があります。働き方が変わると、コーヒーの飲み方が変わり、それに合わせて味も工夫する――。ヒット商品を生み出すには、社会のトレンドや底流を的確につかまなければならないんですね。あらゆる業界の商品やサービスに通用しそうです。新商品の開発ストーリーには、面接で使えるネタが詰まっていますよ。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、金融・経済面(10面)の「ヒット!予感実感・デスクで『ちびだら飲み』」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。

伸び悩む缶コーヒー

 サントリーの新製品は「CRAFT BOSS(クラフトボス)」(写真)です。おなじみの缶コーヒー「BOSS」が誕生したのは1992年。当時の主な想定客層は、製造工場や工事現場で働くブルーカラーの労働者でした。短い休憩時間の気分転換にぐいっと飲むコーヒーをめざし、缶コーヒーは定番超品になりました。しかし、最近はコンビニコーヒーなどの人気でコーヒーを飲む人は増える一方、缶コーヒー市場は伸び悩んでいます。

ITワーカーは「ちびだら飲み」

 新商品の開発が始まったのは2014年の夏ごろ。長い時間をかけて議論したのは、どんな客を想定し、どんな味わいを目指すかの方向性です。開発チームが注目したのは「働き方の変化」でした。
 サントリーの推計では、製造業・建設業で働く人は、1990年には2000万人を超えていましたが、2015年には1350万人に減少。一方で、情報・サービス業は2000万人弱から2991万人に増えました。そこで、これまで缶コーヒーをあまり飲まなかったこの層をターゲットに据えます。「ITワーカー」を研究すると、缶コーヒーを飲む頻度は多くはないが、長時間のデスクワークの間にカップに入ったコーヒーを、ちびちび、だらだら飲む傾向がわかったそうです。これを「ちびだら飲み」と名付け、少しずつゆっくり飲んでもおいしさが続くコーヒーを目指しました。

こだわりの200工程

 目標は「コクがあるのに後引きするような苦みや雑味がない“澄みわたるコク”」。ブラジル産やエチオピア産など5種類の豆で、焙煎(ばいせん)や抽出の仕方を工夫して五つのコーヒーをつくりブレンドします。工程は200以上というこだわりようです。

 「CRAFT BOSS」の商品サイトには、こうした働き方の変化のグラフと、職種別のコーヒー飲用率、新商品開発の狙いなどが載っています。今日の記事はヒットの「予感」のコーナーですから、本当に売れるかはまだこれからのことですが、今後「大ヒット商品」になるかどうか注目してください。

「ヒット!予感実感」で企業研究を

 「ヒット!予感実感」は2013年に朝日新聞デジタルでスタートした人気コーナーで、今年4月からは紙面にも掲載するようになりました。同じ商品の紹介ですが、朝デジのほうが詳しい記事が載っています。
 
 4月以降に登場した企業名と朝デジの見出しを紹介します。
サントリー食品インターナショナル=「ちびだら飲み」用コーヒー開発
トリンプ・インターナショナル・ジャパン=運動中もシルエットが美しいスポーツブラ(写真は、スポーツブラを身につけたモデル=同社提供)
ユニ・チャーム=オーガニックコットンを使った紙おむつ
サエラ=暴風雨に負けない、曲がるプラスチック傘
ヤマハ発動機=子どもをすっぽり包む電動アシスト自転車
日清食品=ヘルシーなのにこってり、日清のカップヌードル
湖池屋=湖池屋のプライドかけたポテチ
ネスレ日本=ネスレ日本、栄養素がとれる抹茶
 「ヒット!予感実感 記事一覧」から、過去1年分の記事を読むことができます(全記事・全文読むには、朝デジの有料会員になる必要があります)。   
 それぞれの新商品に、それぞれの秘められた開発ストーリーがあります。企業研究に活用してください。


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