ニュースのポイント
作家・村上龍さんのベストセラー「13歳のハローワーク」を読んだことがありますか? 子ども向けのキャリア教育の本ですが、これから就活をするみなさんにとっても、仕事探しの入り口、きっかけになるかもしれません。公式サイトもあります。一度のぞいてみてください。仕事を考えるヒントが見つかると思います。
今日取り上げるのは、教育面(34面)の「学びを語る/子どものキャリア教育/「継続力を育ててこそ」です。教育担当記者が「13歳のハローワーク」公式サイト編集長・松尾和祥さんにキャリア教育について聞きました。
記事の内容は――日本の教育は社会から隔離されたところで知識だけを詰め込むスタイルが中心だった。職業について十分学んでいないから、若い人が社会に出たときに「やりたいことがわかない」と戸惑うのは当然。「ゆとり教育」は、社会の一員であることを意識させ、将来につながる学習をする理念もあったが実践できなかった。「キャリア教育」として、学校と社会の溝を埋める作業を明確化する方がわかりやすい。「13歳のハローワーク」では、自分の「好き」なことから職業を探すことができ、公式サイトでは1035の職業を紹介。各業界で働く大人たち約5600人が質問に答えるページもある。「好き」を「仕事に」と言うのは、嫌なことはしなくていいという意味ではない。どんな仕事でも厳しいときはある。そこで負けずに努力を続けると仕事に楽しみが見つかる。これが「好きを仕事に」の本質だ。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
「13歳のハローワーク」は、「子どもが、好奇心を大切にして、好きな学問や技術、職業などをできるだけ早い時期に選ぶことができれば、アドバンテージ(有利性)が生まれる」と考えた村上龍さんが、仕事選びの基準として「好きなこと」にこだわって書いた本です。10年前に出た本ですから、「昔読んだ」「本棚にある」という人もいるかもしれません。今は公式サイトがあるので、誰でも見ることができます。
仕事発見のサイト(書籍)なので、中にはマタギ、海女など、みなさんの就活にはあまり関係のないものもありますが、さまざまな職業人が具体的な仕事内容、仕事に就いたきっかけ、魅力などを書き込んでいるコーナーがあります。ここでヒントを得て、業界・企業研究に進みましょう。この就活ニュースペーパーの「業界MAP」もお薦めです。
もうすぐ社会に出るみなさんが仕事を選ぶ基準は、やりがい、社会的影響力、適性、企業イメージ、社風、会った人の影響など、いろいろあるでしょう。「好き」を仕事にできたら幸せですが、どんなに好きな仕事でも、楽しいことばかりなんてことはあり得ません。むしろ大半は大変です。逆に、望んだ仕事でなくても、きっと面白さはあるはずです。面白いと思えるかどうか、面白さを見つけられるかどうかは、その人の姿勢次第。一生懸命に取り組まなければ見つけられません。僕も、そんなことを学生のみなさんによく伝えています。
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