2013年06月06日

アベノミクス成長戦略の評価と影響は

テーマ:政治

ニュースのポイント

 アベノミクスの3本目の矢、成長戦略がまとまりました。医療、エネルギー、インフラ整備などの規制改革が柱で、安倍首相は「停滞の20年から再生の10年へ」と意気込んでいます。成否はこれからですが、みなさんが目指す業界にも大きなインパクトがありそうです。

 今日取り上げるのは、1面トップの「民間活力 成長の柱に/高い目標、実現不透明/安倍政権 戦略第3弾」と、2面の関連記事「成長の矢 株安の洗礼」です。
 記事の内容は――安倍首相が、経済政策「アベノミクス」の中核に位置づける成長戦略素案の第3弾を公表した。規制改革で民間活力を高めて成長を促す方針で、2020年に病気予防の健康関連市場を現在の4.5倍の9兆円、エネルギー関連市場を3倍以上の26兆円、など多くの数値目標を設定。国民生活の豊かさの指標「1人あたりの国民総所得」を10年後に150万円以上増やす目標も打ち出した。首相は「医療、エネルギー、インフラ整備など、規制を背景に民間の投資が制約されている世界を大胆に開放する」と強調するが、具体的な道筋は不透明で実現へのハードルは高い。東京株式市場でも「中身が乏しい」(大手証券)と失望が広がり、株価は急落した。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 アベノミクスは、①大胆な金融緩和 ②機動的な財政出動 ③成長戦略が「3本の矢」で、安倍首相も成長戦略を「本丸」と位置づけます。その成長戦略が3段階に分けて公表され、今回の発表は、第1弾「女性の活躍」、第2弾「世界で勝つ」に次ぐ第3弾で、「民間活力の爆発」がキーワードです。表題は威勢がいいのですが、第1・第2の矢で上がってきた株価は、首相が成長戦略を発表している最中に急落しました。「メニューが小粒」との評価に加え、目標達成への具体的な政策が十分示されず、実現に疑問符がついた形です。株価は政治への期待感を反映します。経済にプラスの政策なら上がり、逆なら下がります。2面で紹介したエコノミスト6人も40点から最高でも70点と厳しい評価でした。7月の参院選を前に、農業、医療、労働など業界団体が強い分野の改革に踏み込んでいないことや、法人税減税が盛り込まれない点を指摘しています。

 それでも素案には、市販薬のインターネット販売の原則解禁が盛り込まれたほか、医薬品・医療機器市場拡大、電力システムの改革、再生エネルギー導入のための規制改革、浮体式洋上風力発電商業化、蓄電池開発と国際標準化、次世代自動車普及支援、外国人観光客3000万人、インフラ輸出3倍増、クールジャパン推進など、多くの目標が掲げられました。今回の規制改革が進めば、医療、エネルギー、インフラを軸に、さまざまな業界で新たな市場が生まれたり、市場が拡大したりする可能性があります。さらに、成長戦略の成否は日本経済の行く末を決定づけ、みなさんが飛び込む就職戦線をも左右します。目が離せません。

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