ニュースのポイント
横浜で開かれていた「第5回アフリカ開発会議(TICAD5)」が閉幕しました。そのアフリカで「BOPビジネス」に乗り出す日本企業が増えています。BOPビジネス(事業)は、社会貢献とビジネスの両立をめざす活動です。社会貢献や途上国支援に関心のあるみなさんは、ぜひ押さえておきましょう。
今日取り上げるのは、経済面(6面)の「アフリカはいま/低所得層向け商品に力/日本企業、相次ぎBOP事業」です。
記事の内容は――アフリカで、劣悪な衛生環境や栄養状態の改善につながる商品を安く売って普及させる「BOPビジネス」に乗り出す日本企業が増えてきた。せっけんや消毒剤メーカーのサラヤ(大阪市)はウガンダで今夏、消毒剤の現地生産・販売をはじめる。衛生環境の改善という社会貢献活動と、せっけん液販売事業の両立をめざす。味の素は西アフリカのガーナで、現地の離乳食に加える栄養強化食品を試験的に売り出している。現地の女性に販売員になってもらうことで女性の自立支援にもつなげる。ほかにも、マラリア予防の蚊帳をアフリカで製造・販売する住友化学など、BOPビジネスで事業を伸ばす企業も出てきた。
就活アドバイス
BOPは、Base of the Economic Pyramid(経済ピラミッドの底)の略。BOP層は世界人口の7割にあたる40億人いるとされます。低所得層を対象に、貧困による社会的な課題の解決とビジネスの両立をめざすのがBOPビジネスです。欧米が中心でしたが、日本企業でもユニクロを展開するファーストリテイリング、ユニリーバ、ヤマハ発動機、日本ポリグル、雪国まいたけなどが、アフリカ、インド、バングラデシュで事業展開しています。
企業の社会貢献活動は近年、大変注目されるようになり、CSR(企業の社会的責任)という言葉も定着しました。就活生にとっても「社会貢献」はキーワードの一つで、エントリーシートに「貴社で社会のために貢献したい」と書く学生が多くいます。ただ、企業の本分は利益の追求であり、ボランティアのために存在する訳ではありません。社会の役に立ちたいという気持ち、意欲を前面に出すのは素晴らしいことですが、「社会貢献」だけを強調する学生を採用する企業はほとんどないでしょう。
そんな中でBOPビジネスは注目すべき取り組みです。サラヤは当初、ユニセフの呼びかけに応じて手洗い習慣とせっけん液の普及活動、水道設備の整備に取り組みました。ところが、援助を始めた結果、低価格の消毒剤の販売も必要なことがわかり、現地の企業と組んで量産することにしたといいます。社会貢献がビジネスにつながることに気づいたのです。記事の中で、味の素の現地パートナー企業の最高経営責任者は「BOP層はアフリカの人口の8割を占め、ビジネスチャンスになる」と話しています。社会貢献を息長く続けるためには、ビジネスとして成立することも大切なのです。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
※朝日新聞デジタルの無料会員は1日3本の記事全文を、有料会員になればすべての記事を読むことができます。ぜひ登録してください。