ニュースのポイント
全日本空輸(ANA)の平子裕志社長(59)=写真=が朝日新聞のインタビューに答え、世界で伸びる格安航空会社(LCC)への対抗策を語りました。激しくなる日本航空(JAL)との競争については自信をにじませました。社長インタビューから航空業界の最新事情を学びましょう。面接でのアピールポイントにもなりますよ。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、金融・経済面(12面)の「聞きたい・LCCにどう対抗?/全日本空輸社長 平子裕志氏/国際線の利便性・接客で勝負」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。
LCCとの役割分担
世界中でLCCが台頭し、大手航空会社が苦しんでいます。まず、日本のLCCを整理します。
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バニラ・エア ANAの100%子会社
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ピーチ・アビエーション ANA系のLCC、関西空港が拠点
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ジェットスター・ジャパン JALとオーストラリアのカンタス航空による合弁のLCC
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春秋航空日本 上海拠点の春秋航空系でJTBも出資
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エアアジア・ジャパン マレーシアのエアアジア系
平子社長は、「一つの解は、親会社のANAホールディングスによるピーチ・アビエーションの子会社化」と話しました。ピーチとバニラ・エアの2社で「台頭するほかのLCCに対抗する」と言います。「LCCにはLCCで」ということですが、ANAとLCC2社の役割分担をはっきりさせ、LCCは短・中距離の旅行客、ANAはビジネス客を主なターゲットにする考えです。
(写真は、関西空港の駐機場に並ぶピーチ・アビエーションの機体)
国際線と地方路線
人口が減る国内線の需要については、訪日外国人客への期待を語りました。今は国内線利用者のうち3%の外国人客を、「5%や10%に増やせると思う」と言っています。
さらに、「ANAは国際線で成長する戦略」と明言。LCC2社が国内の地方路線に力を入れることになれば、将来「ANAは国際線、LCCは地方路線」という役割分担の可能性についても語りました。
(写真は、ANAグループ入社式=4月1日)
ANA対JAL
ライバルのJALは経営破綻(はたん)後に公的な支援を受けたため、新事業を制限されてきました。その制限が4月に解除され、新たな路線開設や他社への出資などがほぼ自由にできるようになったためJALとの競争が激しくなるのは確実です。平子氏は「最後は人。接客サービスの勝負になる。客室乗務員のしぐさ一つとっても、なかなか模倣されないという自負がある。日航よりも進んでいると思う。人材育成には経営資源を最大限、投入する。まずは採用活動に力を入れる。仕事のしやすい環境づくりも大事で、残業時間は極力減らす」と語りました。
接客サービスでJALには負けないという自信がうかがえます。具体的にどう違うのかは社員に直接聞くしかありません。JALの社員にも「いやいや、うちは……」という反論を聞いてみたいものです。こうしたサービスに社の個性が表れます。
ANA対JALについては、業界研究ニュース「
ANAが『空飛ぶホテル』をハワイに…JALと“空中戦”?」でも取り上げました。こちらも読んで見てください。
(写真は、日本航空グループ入社式=4月3日)
「就職人気ランキング」3年連続トップ
3月末に発表した2018年卒学生を対象にした、あさがくナビの「
就職人気企業ランキング」では、総合ランク1位がANA、2位がJALで、2年連続で航空ライバル2社がトップ2を占めました。ANAの1位は3年連続です。訪日客の増加などで業績が好調なうえ、この数年、人気職の客室乗務員(CA)の採用を契約社員から正社員に切り替えたことなども影響していると思います。
そんな人気企業でアピールするポイントを一つ。以前インタビューした「
人事のホンネ」で、ANAの採用担当者に面接で航空業界のニュースが話題に出ることはあるかと聞いたところ、「もちろんあると思います。学生には最低限の情報はインプットしてきてほしいとは思いますが、その際にも知識を持っているか否かが重要なのではなく、その質問を通じて熱意をはかっていたりすることが多いと思います。熱意がある人は自然と最新の情報にも敏感になりますよね」と答えました。
今日の記事にあるような業界ニュースに精通していなければ通らないというわけではありませんが、知ったうえでしっかり語れると、それだけで「熱意」が伝わるんですね。ぜひ、業界ニュースでリードしましょう。
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