■採用数、エントリー数
――2016年春の入社予定の内定者数を教えてください。
総合職の事務系が37(男性19、女性18)名、技術系が50(男性46、女性4)名です。キャビンアテンダント(CA)が約600名、パイロットは航空大学校からの採用もあり継続して採用活動を実施しています。
――総エントリー数の傾向を教えてください。
各職種ともに毎年多少の増減はありますが、大きく変化するものではありません。
――CAをすべて正社員採用するようになってかなり増えたのでは?
2014年度の新卒採用から正社員としての採用を再開しましたが、前年より2割ほど応募が増えました。契約社員としての採用の場合も3年勤務した後に正社員に転換する制度でしたが、やはり正社員としての採用になり安心して応募してくれる方の数が増えたのではないかと考えています。
■スケジュール
――2016年卒採用のスケジュールを教えてください。
総合職はエントリーシート(ES)の締め切りを4、5、6月の3回に分けて設定しました。また併せてWEB適性検査を受検してもらい、その結果を踏まえ書類選考を実施しました。その後、計4回の面接で選考しました。
――今年はリクルーター制度をとる会社が多いようですが。
例年、リクルーターによる採用活動は実施していません。選考の過程は職種により違いがありますが、可能な限り選考スケジュールや選考内容を事前に開示し、透明性の高い選考を実施するように心掛けています。今年度は経団連の指針を遵守し8月から選考を実施しました。
――内々定を出したのはいつごろでしたか。
総合職は8月中には選考を終えました。CAは採用数の関係で9月まで選考を続けました。
――後ろ倒しされた今年の採用選考は学生も大変でしたが、採用する側もご苦労が多かったと思います。
暑い中での選考になり、学生の皆さんは大変だったと思いますが、例年通り学生の皆さんには熱意をもって選考に臨んでいただきました。
――2017年卒の採用選考は、6月スタートに前倒しになります。3月の広報解禁からの期間が3カ月と短くなりますが、どう対応されますか。
限られた時間の中で、正確かつ分かりやすくANAについてお伝えできるよう、インターンシップやWEBを活用して広報していく予定です。
■ES
――ESに「語学力」「海外経験」の項目がありますが、どの程度重視するのですか。
ANAは現在急ピッチで事業のグローバル化を図っており、従来以上に「語学力」や「海外経験」を生かせる環境が広がってきているので、そのような能力や経験が入社の段階であるに越したことはありません。ただし、あくまでも人物重視の採用を行っていますので、入社する全員に語学力があって全員が留学経験者かといえば、そうではありません。
――TOEIC何点以上などの基準はありますか。
明確な選考基準は設けていません。ただし、前述の通り各職種ともに入社後は業務上英語をはじめとする語学力が必須となるので、継続して自己研鑚を積んでもらうことになります。
――「あなたらしい写真を貼付して理由を書いてください」という欄の狙いは?
総合職のESではスナップ写真を貼ってもらうことにしていますが、写真から得られる情報量は非常に大きいと考えています。
学生の人物像を正確に把握する情報源の一つとして捉え、活字だけでは分からないその人のもつ雰囲気や仲間との関係性、普段どんなことに興味を持っているのか、等を知ることができると考えています。ここ何年も継続して実施していますが、一度始めたらやめられません(笑)。
――どんな写真を貼ってくる学生が多いのですか。
本当に様々な写真があり、楽しみながら拝見しています。ゼミやクラブ・部活の写真が多いのですが、最近では留学する人が増えているので、海外の仲間たちとの写真を送ってくれる人も増えています。
――みんな似たような写真で差がつかない、ということはありませんか。
写真はどれも興味深く、それぞれ場所も、やっていることも違いますし、本当に信頼関係を築いた人と撮ったのか、存在感があるかなど、その場の空気感が伝わってくるのが面白いです。
――これは厳しい、という写真は?
ありません。写真そのものの良し悪しを評価する訳ではなく、あくまでも正確な人物把握のための一情報であると考えています。
――ESは全部手書きですか。
氏名や学歴などの基本情報はWEBに入力してもらった情報が自動で転記されるようになっていますが、それ以外の自由記述欄は手書きでお願いしています。
――「あなたが目指す社会人像」「総合職にエントリーする理由」。ここは、いわゆる志望動機ですね?
その通りです。併せて「あなたは何の『NO.1』だと思いますか?」として、学生時代に何をやったか、何に自信があると自己評価しているのかを問う質問もしました。わりとオーソドックスです。
――見るポイントは?
結果論になりますが、その人を理解するために必要な情報が過不足なく書かれているかどうかが重要だと思います。持ち味が伝わり切らないものは印象に残りづらいですし、評価しづらいことにもなります。「この人には是非会ってみたい」と企業が思うかどうかですが、「こういうことが書いてあるESがいい」、ということではないと思います。
――会いたくなる人とそうでない人の違いは何でしょう?
ESは文字でのコミュニケーションですので、そもそもの文章の意味が分かり難ければ人柄も伝わりづらいですね。内容ももちろん大切ですが、分かりやすい文章であるか、という点は大変大事だと思います。
そういった意味でも自分を端的に表現できる「キラーワード」のようなものをもっている人は強いと思います。「あなたは何のNO.1ですか?」と聞かれたときに、まずは自身のことをズバッと言い切れるほうがメッセージは伝わりやすいですね。
全日本空輸株式会社
2017シーズン 【第4回 ANA】
華やかさと地道さが同居する会社 誠実さ+グローバル志向も歓迎
全日本空輸(ANA) 人財戦略室ANA人財大学マネジャー 松村宏二郎(まつむら・こうじろう)さん
2015年12月28日
志望動機はあまり聞かない 最新の情報収集で熱意もわかる
■マッチするのは
――どんな学生が全日空にマッチしますか。
ANAが採用で大切にしているのは「多様性」です。性格や価値観、経験してきたことなどを含めて様々なバックグラウンドをもった人に入社してほしいと考えています。ただし、航空事業はお客様からの信頼の上に初めて成り立つ事業ですので、人としての正直さ、誠実さは大変大切です。お客様との接点では華やかさを演出させていただくことも私たちの役割ですが、安全で快適なフライトを日々ご提供し続けることは、ある意味泥臭い地道な仕事の積み重ねでもあります。自分が何を担当するとしても、その役割の意味を理解して責任を持って全力で取り組んでもらえるような人に是非仲間に加わってほしいと思います。
――「世界を股にかけて活躍したい」というタイプの学生は?
高い志や夢をもつことは大変大切なことだと思います。またANAの中には世界を股にかける仕事も数多くあります。一方で申し上げているような航空事業の本質をしっかり理解してもらうことも大切です。
――羽田の国際化、LCC(Low Cost Carrier=格安航空会社)の台頭など航空業界は大きな変革期にあります。求める人材に変化はありますか。
あらゆる面においてグローバル化が進んでおり、これから入社される学生が経験するビジネス環境は、我々や我々の先輩が経験してきた環境とは全く違うものになります。一方で学生時代に留学をはじめとしてグローバルな経験を積む環境も整備されており、実際に学生時代にそのような経験をしている学生は、自然に増えているように感じます。
当社が航空事業において更なる成長を図るカギは、日本マーケットを基盤としつつ、いかに海外マーケットの成長を取り込んでいけるかにあります。外国人の訪日需要と、外国間での渡航時に日本を経由する三国間需要の取り込みには海外マーケットでのブランディングを強化し販路を確立することが重要になっています。国際線事業を成長エンジンにするという当社の事業戦略が、海外志向を持った学生に志望してもらうきっかけになっていると思います。
――入社後にグローバル人材を育てる仕組みは?
総合職事務職として入社される方は全員が入社10年目までに海外実務研修員として最低1年間の海外勤務を経験します。教育・研修プログラムも含め、グローバルに活躍できる人材を育成する体系が組まれています。
――航空会社は「憧れ受験」も多いと聞きますが。
近年はそのような人は少なくなっていると思います。具体的な仕事内容やキャリアパスをセミナーやWEBを通じて正確に学生に伝えることが私たちの仕事ですが、もしも憧れ受験が多いとしたらそれは私たちの責任です。今はメディアやツールも増え、就職活動で学生の皆さんが得られる情報量も多くなっているので、企業や仕事について十分伝えられないと学生の皆さんにもエントリーしてもらえないと理解しています。エントリーしてくれる学生の皆さんは等しく熱意を持ってアプローチしてきてくれていると感じています。
――CAの採用ではどんな人材を求めていますか。
CAも同様にいろいろな個性をもった方に入社してほしいと考えていますが、ANAの顔としてフロントラインを担う職種ですので、「誰かのために何かしたい」「人の笑顔が好き」と心から思える方には、大きなやりがいを感じてもらえると思います。
■面接
――総合職採用の4回の面接はどんな形式ですか。
1次面接では面接官2名対学生4名のグループ面接、2次面接から最終面接までの3回は面接官2名対学生1名の個人面接を実施しています。それぞれ20分から30分程度です。
――それぞれ、どこを見ますか?
基本的には面接官に任せていますが、学歴や語学力、所属クラブといったESの基礎情報だけでは分からない人柄や価値観を重点的に見極めていきます。多様性を重視しているので基本的には「こういう人を探すぞ」と面接に臨むことはありません。
面接の際には具体的な仕事の領域やキャリアパスをイメージしながら、そこでどのようなパフォーマンスができそうか、また将来的なポテンシャルはどの程度ありそうか、などをイメージしながら人物把握に努めています。
――どうやって把握するのですか。
挨拶の仕方やコミュニケーションの取り方ひとつから、例えば成長してきた環境やコンピテンシー(能力、行動特性)など様々なことが理解できたりします。
――面接で必ず聞く質問はありますか。
私の場合ありません。会話のキャッチボールをしながら、相手が伝えたい内容にあわせて掘り下げることを心がけています。
――志望動機は「初めて飛行機に乗ったときのサービスが忘れられない」といった内容が多いのでは?
そうですね。志望動機はその人のものですからいいも悪いもないのですが、実際に搭乗体験を持つ方も多いので小さいころの記憶が強く影響している人も多くいます。志望動機は必ずあるわけですが、その内容について良し悪しを判断するのはフェアではないと考えていて、あえて志望動機を聞かないこともあります。面接官に「志望動機は聞かなくていい」と言ったことが実際にあります。
――え⁈ 志望動機は重要じゃない?
志望動機を聞かれるとどうしても立派なことを言わなければいけないと構えてしまいがちですが、実際には小さい頃の印象が志望に結びついているような人もいて、それで善し悪しははかれないとの考え方です。ただし会社をしっかり理解してくれているのか、やりたいことはあるのか、といった点は大変重要なことですので、必ず確認します。
――憧れプラスアルファが大切ということですか。
学生のやりたいことと、ANAが求めることがずれていないことが大切です。
また繰り返しになりますが航空事業の本質は地道な仕事をいかに正確に、誠実に積み重ねていけるかにあります。その点をしっかり理解してもらうことが大変重要だと考えています。
――ESから外れた想定外質問もしますか。
ESは必ず事前に確認し、会う方のイメージをある程度持って面接に臨むので、納得して正確な人物把握をするために必要なことは可能な限り様々な切り口から質問するようにしています。
――時事的なテーマは?
特定のニュースについて質問することはあまりありませんが、日頃からどのように情報と接しているか、といった点には興味があります。情報感度が高くて魅力的な人は、新聞も含めて様々な情報の取り方をしていると思います。
――面接で航空業界のニュースが話題に出ることはありますか。
もちろんあると思います。学生には最低限の情報はインプットしてきてほしいとは思いますが、その際にも知識を持っているか否かが重要なのではなく、その質問を通じて熱意をはかっていたりすることが多いと思います。熱意がある人は自然と最新の情報にも敏感になりますよね。
――どんな学生が全日空にマッチしますか。
ANAが採用で大切にしているのは「多様性」です。性格や価値観、経験してきたことなどを含めて様々なバックグラウンドをもった人に入社してほしいと考えています。ただし、航空事業はお客様からの信頼の上に初めて成り立つ事業ですので、人としての正直さ、誠実さは大変大切です。お客様との接点では華やかさを演出させていただくことも私たちの役割ですが、安全で快適なフライトを日々ご提供し続けることは、ある意味泥臭い地道な仕事の積み重ねでもあります。自分が何を担当するとしても、その役割の意味を理解して責任を持って全力で取り組んでもらえるような人に是非仲間に加わってほしいと思います。
――「世界を股にかけて活躍したい」というタイプの学生は?
高い志や夢をもつことは大変大切なことだと思います。またANAの中には世界を股にかける仕事も数多くあります。一方で申し上げているような航空事業の本質をしっかり理解してもらうことも大切です。
――羽田の国際化、LCC(Low Cost Carrier=格安航空会社)の台頭など航空業界は大きな変革期にあります。求める人材に変化はありますか。
あらゆる面においてグローバル化が進んでおり、これから入社される学生が経験するビジネス環境は、我々や我々の先輩が経験してきた環境とは全く違うものになります。一方で学生時代に留学をはじめとしてグローバルな経験を積む環境も整備されており、実際に学生時代にそのような経験をしている学生は、自然に増えているように感じます。
当社が航空事業において更なる成長を図るカギは、日本マーケットを基盤としつつ、いかに海外マーケットの成長を取り込んでいけるかにあります。外国人の訪日需要と、外国間での渡航時に日本を経由する三国間需要の取り込みには海外マーケットでのブランディングを強化し販路を確立することが重要になっています。国際線事業を成長エンジンにするという当社の事業戦略が、海外志向を持った学生に志望してもらうきっかけになっていると思います。
――入社後にグローバル人材を育てる仕組みは?
総合職事務職として入社される方は全員が入社10年目までに海外実務研修員として最低1年間の海外勤務を経験します。教育・研修プログラムも含め、グローバルに活躍できる人材を育成する体系が組まれています。
――航空会社は「憧れ受験」も多いと聞きますが。
近年はそのような人は少なくなっていると思います。具体的な仕事内容やキャリアパスをセミナーやWEBを通じて正確に学生に伝えることが私たちの仕事ですが、もしも憧れ受験が多いとしたらそれは私たちの責任です。今はメディアやツールも増え、就職活動で学生の皆さんが得られる情報量も多くなっているので、企業や仕事について十分伝えられないと学生の皆さんにもエントリーしてもらえないと理解しています。エントリーしてくれる学生の皆さんは等しく熱意を持ってアプローチしてきてくれていると感じています。
――CAの採用ではどんな人材を求めていますか。
CAも同様にいろいろな個性をもった方に入社してほしいと考えていますが、ANAの顔としてフロントラインを担う職種ですので、「誰かのために何かしたい」「人の笑顔が好き」と心から思える方には、大きなやりがいを感じてもらえると思います。
■面接
――総合職採用の4回の面接はどんな形式ですか。
1次面接では面接官2名対学生4名のグループ面接、2次面接から最終面接までの3回は面接官2名対学生1名の個人面接を実施しています。それぞれ20分から30分程度です。
――それぞれ、どこを見ますか?
基本的には面接官に任せていますが、学歴や語学力、所属クラブといったESの基礎情報だけでは分からない人柄や価値観を重点的に見極めていきます。多様性を重視しているので基本的には「こういう人を探すぞ」と面接に臨むことはありません。
面接の際には具体的な仕事の領域やキャリアパスをイメージしながら、そこでどのようなパフォーマンスができそうか、また将来的なポテンシャルはどの程度ありそうか、などをイメージしながら人物把握に努めています。
――どうやって把握するのですか。
挨拶の仕方やコミュニケーションの取り方ひとつから、例えば成長してきた環境やコンピテンシー(能力、行動特性)など様々なことが理解できたりします。
――面接で必ず聞く質問はありますか。
私の場合ありません。会話のキャッチボールをしながら、相手が伝えたい内容にあわせて掘り下げることを心がけています。
――志望動機は「初めて飛行機に乗ったときのサービスが忘れられない」といった内容が多いのでは?
そうですね。志望動機はその人のものですからいいも悪いもないのですが、実際に搭乗体験を持つ方も多いので小さいころの記憶が強く影響している人も多くいます。志望動機は必ずあるわけですが、その内容について良し悪しを判断するのはフェアではないと考えていて、あえて志望動機を聞かないこともあります。面接官に「志望動機は聞かなくていい」と言ったことが実際にあります。
――え⁈ 志望動機は重要じゃない?
志望動機を聞かれるとどうしても立派なことを言わなければいけないと構えてしまいがちですが、実際には小さい頃の印象が志望に結びついているような人もいて、それで善し悪しははかれないとの考え方です。ただし会社をしっかり理解してくれているのか、やりたいことはあるのか、といった点は大変重要なことですので、必ず確認します。
――憧れプラスアルファが大切ということですか。
学生のやりたいことと、ANAが求めることがずれていないことが大切です。
また繰り返しになりますが航空事業の本質は地道な仕事をいかに正確に、誠実に積み重ねていけるかにあります。その点をしっかり理解してもらうことが大変重要だと考えています。
――ESから外れた想定外質問もしますか。
ESは必ず事前に確認し、会う方のイメージをある程度持って面接に臨むので、納得して正確な人物把握をするために必要なことは可能な限り様々な切り口から質問するようにしています。
――時事的なテーマは?
特定のニュースについて質問することはあまりありませんが、日頃からどのように情報と接しているか、といった点には興味があります。情報感度が高くて魅力的な人は、新聞も含めて様々な情報の取り方をしていると思います。
――面接で航空業界のニュースが話題に出ることはありますか。
もちろんあると思います。学生には最低限の情報はインプットしてきてほしいとは思いますが、その際にも知識を持っているか否かが重要なのではなく、その質問を通じて熱意をはかっていたりすることが多いと思います。熱意がある人は自然と最新の情報にも敏感になりますよね。
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