人事のホンネ

全日本空輸株式会社

2017シーズン 【第4回 ANA】
華やかさと地道さが同居する会社 誠実さ+グローバル志向も歓迎

全日本空輸(ANA) 人財戦略室ANA人財大学マネジャー 松村宏二郎(まつむら・こうじろう)さん

2015年12月28日

■採用数、エントリー数
 ――2016年春の入社予定の内定者数を教えてください。
 総合職の事務系が37(男性19、女性18)名、技術系が50(男性46、女性4)名です。キャビンアテンダント(CA)が約600名、パイロットは航空大学校からの採用もあり継続して採用活動を実施しています。

 ――総エントリー数の傾向を教えてください。
 各職種ともに毎年多少の増減はありますが、大きく変化するものではありません。

 ――CAをすべて正社員採用するようになってかなり増えたのでは?
 2014年度の新卒採用から正社員としての採用を再開しましたが、前年より2割ほど応募が増えました。契約社員としての採用の場合も3年勤務した後に正社員に転換する制度でしたが、やはり正社員としての採用になり安心して応募してくれる方の数が増えたのではないかと考えています。

■スケジュール
 ――2016年卒採用のスケジュールを教えてください。
 総合職はエントリーシート(ES)の締め切りを4、5、6月の3回に分けて設定しました。また併せてWEB適性検査を受検してもらい、その結果を踏まえ書類選考を実施しました。その後、計4回の面接で選考しました。

――今年はリクルーター制度をとる会社が多いようですが。
 例年、リクルーターによる採用活動は実施していません。選考の過程は職種により違いがありますが、可能な限り選考スケジュールや選考内容を事前に開示し、透明性の高い選考を実施するように心掛けています。今年度は経団連の指針を遵守し8月から選考を実施しました。

 ――内々定を出したのはいつごろでしたか。
 総合職は8月中には選考を終えました。CAは採用数の関係で9月まで選考を続けました。

 ――後ろ倒しされた今年の採用選考は学生も大変でしたが、採用する側もご苦労が多かったと思います。
 暑い中での選考になり、学生の皆さんは大変だったと思いますが、例年通り学生の皆さんには熱意をもって選考に臨んでいただきました。

 ――2017年卒の採用選考は、6月スタートに前倒しになります。3月の広報解禁からの期間が3カ月と短くなりますが、どう対応されますか。
 限られた時間の中で、正確かつ分かりやすくANAについてお伝えできるよう、インターンシップやWEBを活用して広報していく予定です。

■ES
 ――ESに「語学力」「海外経験」の項目がありますが、どの程度重視するのですか。
 ANAは現在急ピッチで事業のグローバル化を図っており、従来以上に「語学力」や「海外経験」を生かせる環境が広がってきているので、そのような能力や経験が入社の段階であるに越したことはありません。ただし、あくまでも人物重視の採用を行っていますので、入社する全員に語学力があって全員が留学経験者かといえば、そうではありません。

 ――TOEIC何点以上などの基準はありますか。
 明確な選考基準は設けていません。ただし、前述の通り各職種ともに入社後は業務上英語をはじめとする語学力が必須となるので、継続して自己研鑚を積んでもらうことになります。

 ――「あなたらしい写真を貼付して理由を書いてください」という欄の狙いは?
 総合職のESではスナップ写真を貼ってもらうことにしていますが、写真から得られる情報量は非常に大きいと考えています。
 学生の人物像を正確に把握する情報源の一つとして捉え、活字だけでは分からないその人のもつ雰囲気や仲間との関係性、普段どんなことに興味を持っているのか、等を知ることができると考えています。ここ何年も継続して実施していますが、一度始めたらやめられません(笑)。

 ――どんな写真を貼ってくる学生が多いのですか。
 本当に様々な写真があり、楽しみながら拝見しています。ゼミやクラブ・部活の写真が多いのですが、最近では留学する人が増えているので、海外の仲間たちとの写真を送ってくれる人も増えています。

 ――みんな似たような写真で差がつかない、ということはありませんか。
 写真はどれも興味深く、それぞれ場所も、やっていることも違いますし、本当に信頼関係を築いた人と撮ったのか、存在感があるかなど、その場の空気感が伝わってくるのが面白いです。

 ――これは厳しい、という写真は?
 ありません。写真そのものの良し悪しを評価する訳ではなく、あくまでも正確な人物把握のための一情報であると考えています。

 ――ESは全部手書きですか。
 氏名や学歴などの基本情報はWEBに入力してもらった情報が自動で転記されるようになっていますが、それ以外の自由記述欄は手書きでお願いしています。

 ――「あなたが目指す社会人像」「総合職にエントリーする理由」。ここは、いわゆる志望動機ですね?
 その通りです。併せて「あなたは何の『NO.1』だと思いますか?」として、学生時代に何をやったか、何に自信があると自己評価しているのかを問う質問もしました。わりとオーソドックスです。

 ――見るポイントは?
 結果論になりますが、その人を理解するために必要な情報が過不足なく書かれているかどうかが重要だと思います。持ち味が伝わり切らないものは印象に残りづらいですし、評価しづらいことにもなります。「この人には是非会ってみたい」と企業が思うかどうかですが、「こういうことが書いてあるESがいい」、ということではないと思います。

 ――会いたくなる人とそうでない人の違いは何でしょう?
 ESは文字でのコミュニケーションですので、そもそもの文章の意味が分かり難ければ人柄も伝わりづらいですね。内容ももちろん大切ですが、分かりやすい文章であるか、という点は大変大事だと思います。
 そういった意味でも自分を端的に表現できる「キラーワード」のようなものをもっている人は強いと思います。「あなたは何のNO.1ですか?」と聞かれたときに、まずは自身のことをズバッと言い切れるほうがメッセージは伝わりやすいですね。

志望動機はあまり聞かない 最新の情報収集で熱意もわかる

■マッチするのは
 ――どんな学生が全日空にマッチしますか。
 ANAが採用で大切にしているのは「多様性」です。性格や価値観、経験してきたことなどを含めて様々なバックグラウンドをもった人に入社してほしいと考えています。ただし、航空事業はお客様からの信頼の上に初めて成り立つ事業ですので、人としての正直さ、誠実さは大変大切です。お客様との接点では華やかさを演出させていただくことも私たちの役割ですが、安全で快適なフライトを日々ご提供し続けることは、ある意味泥臭い地道な仕事の積み重ねでもあります。自分が何を担当するとしても、その役割の意味を理解して責任を持って全力で取り組んでもらえるような人に是非仲間に加わってほしいと思います。

 ――「世界を股にかけて活躍したい」というタイプの学生は?
 高い志や夢をもつことは大変大切なことだと思います。またANAの中には世界を股にかける仕事も数多くあります。一方で申し上げているような航空事業の本質をしっかり理解してもらうことも大切です。

 ――羽田の国際化、LCC(Low Cost Carrier=格安航空会社)の台頭など航空業界は大きな変革期にあります。求める人材に変化はありますか。
 あらゆる面においてグローバル化が進んでおり、これから入社される学生が経験するビジネス環境は、我々や我々の先輩が経験してきた環境とは全く違うものになります。一方で学生時代に留学をはじめとしてグローバルな経験を積む環境も整備されており、実際に学生時代にそのような経験をしている学生は、自然に増えているように感じます。
 当社が航空事業において更なる成長を図るカギは、日本マーケットを基盤としつつ、いかに海外マーケットの成長を取り込んでいけるかにあります。外国人の訪日需要と、外国間での渡航時に日本を経由する三国間需要の取り込みには海外マーケットでのブランディングを強化し販路を確立することが重要になっています。国際線事業を成長エンジンにするという当社の事業戦略が、海外志向を持った学生に志望してもらうきっかけになっていると思います。

 ――入社後にグローバル人材を育てる仕組みは?
 総合職事務職として入社される方は全員が入社10年目までに海外実務研修員として最低1年間の海外勤務を経験します。教育・研修プログラムも含め、グローバルに活躍できる人材を育成する体系が組まれています。

 ――航空会社は「憧れ受験」も多いと聞きますが。
 近年はそのような人は少なくなっていると思います。具体的な仕事内容やキャリアパスをセミナーやWEBを通じて正確に学生に伝えることが私たちの仕事ですが、もしも憧れ受験が多いとしたらそれは私たちの責任です。今はメディアやツールも増え、就職活動で学生の皆さんが得られる情報量も多くなっているので、企業や仕事について十分伝えられないと学生の皆さんにもエントリーしてもらえないと理解しています。エントリーしてくれる学生の皆さんは等しく熱意を持ってアプローチしてきてくれていると感じています。

 ――CAの採用ではどんな人材を求めていますか。
 CAも同様にいろいろな個性をもった方に入社してほしいと考えていますが、ANAの顔としてフロントラインを担う職種ですので、「誰かのために何かしたい」「人の笑顔が好き」と心から思える方には、大きなやりがいを感じてもらえると思います。

■面接
 ――総合職採用の4回の面接はどんな形式ですか。
 1次面接では面接官2名対学生4名のグループ面接、2次面接から最終面接までの3回は面接官2名対学生1名の個人面接を実施しています。それぞれ20分から30分程度です。

 ――それぞれ、どこを見ますか?
 基本的には面接官に任せていますが、学歴や語学力、所属クラブといったESの基礎情報だけでは分からない人柄や価値観を重点的に見極めていきます。多様性を重視しているので基本的には「こういう人を探すぞ」と面接に臨むことはありません。
 面接の際には具体的な仕事の領域やキャリアパスをイメージしながら、そこでどのようなパフォーマンスができそうか、また将来的なポテンシャルはどの程度ありそうか、などをイメージしながら人物把握に努めています。

 ――どうやって把握するのですか。
 挨拶の仕方やコミュニケーションの取り方ひとつから、例えば成長してきた環境やコンピテンシー(能力、行動特性)など様々なことが理解できたりします。

 ――面接で必ず聞く質問はありますか。
 私の場合ありません。会話のキャッチボールをしながら、相手が伝えたい内容にあわせて掘り下げることを心がけています。

 ――志望動機は「初めて飛行機に乗ったときのサービスが忘れられない」といった内容が多いのでは?
 そうですね。志望動機はその人のものですからいいも悪いもないのですが、実際に搭乗体験を持つ方も多いので小さいころの記憶が強く影響している人も多くいます。志望動機は必ずあるわけですが、その内容について良し悪しを判断するのはフェアではないと考えていて、あえて志望動機を聞かないこともあります。面接官に「志望動機は聞かなくていい」と言ったことが実際にあります。

 ――え⁈ 志望動機は重要じゃない?
 志望動機を聞かれるとどうしても立派なことを言わなければいけないと構えてしまいがちですが、実際には小さい頃の印象が志望に結びついているような人もいて、それで善し悪しははかれないとの考え方です。ただし会社をしっかり理解してくれているのか、やりたいことはあるのか、といった点は大変重要なことですので、必ず確認します。
 
 ――憧れプラスアルファが大切ということですか。
 学生のやりたいことと、ANAが求めることがずれていないことが大切です。
 また繰り返しになりますが航空事業の本質は地道な仕事をいかに正確に、誠実に積み重ねていけるかにあります。その点をしっかり理解してもらうことが大変重要だと考えています。

 ――ESから外れた想定外質問もしますか。
 ESは必ず事前に確認し、会う方のイメージをある程度持って面接に臨むので、納得して正確な人物把握をするために必要なことは可能な限り様々な切り口から質問するようにしています。

 ――時事的なテーマは?
 特定のニュースについて質問することはあまりありませんが、日頃からどのように情報と接しているか、といった点には興味があります。情報感度が高くて魅力的な人は、新聞も含めて様々な情報の取り方をしていると思います。

 ――面接で航空業界のニュースが話題に出ることはありますか。
 もちろんあると思います。学生には最低限の情報はインプットしてきてほしいとは思いますが、その際にも知識を持っているか否かが重要なのではなく、その質問を通じて熱意をはかっていたりすることが多いと思います。熱意がある人は自然と最新の情報にも敏感になりますよね。

あらゆる業界との併願あり インターンで仕事を見て感じて

■競合
 ――競合する業界は?
 航空会社の特徴だと思いますが、非常に多様な業界と併願する方が多いです。広告やメーカー、コンサルや金融業界と併願される人もいますし、同じ運輸であれば海運や鉄道業界と併願される人もいます。
 もう一つの特徴は、学生が会社と接点をもつ機会が他業界に比べて非常に早いという点です。小さいころから飛行機に乗る機会がある人も増えているので、もの心ついた時には航空会社が身近な存在としてあり、いざ就職を意識した時に非常に強い動機をもってANAを受けてくれる学生が毎年います。いつも大変ありがたいことだと感じています。

 ――いいと思った学生に多い併願の業界は?
 それは特にありませんが、併願する業界や会社は、ANAがどのような会社であると理解されているかを測るバロメーターになります。たとえば以前はサービス志向の強い学生のエントリーが多かったのですが、事業がグローバル化していく中で仕事の環境も一変しているので、金融やコンサルティングといったビジネス色の強い業界やグローバルメーカーとの併願も増えています。一見航空会社とは全然違う業界に興味のある人でもANAの中の多様な仕事を正確に理解してくれていると感じることもあります。
 グローバルという意味では昔から商社と併願する人は多いです。価値と価値を結びつけて新しい何かを生み出していくことをANAも求めているので、そういう志向を持っている学生もウェルカムです。

■インターンシップ
 ――インターンシップは重視していますか。
 ここ2年ほど実施していますが、本当にいいですね。必要だと思います。以前は空港の旅客サービス部門でのインターンシップのみ実施していましたが、2014年度からは総合職事務職、技術職、CAと職種別にコースを設けて実施しています。会社説明会などで伝えられることには限界があるので、百聞は一見にしかず、仕事内容は見て感じてもらうことが一番だと考えています。

 ――仕事への理解が深まる?
 学生の皆さんに仕事を正確に理解してもらうために努力することは企業の責任と考えています。そのために入社前の段階で見聞きしてもらえることは可能な限りプログラムに入れるようにしています。インターンシップに参加してもらい、実際の仕事を見た上でさらにANAに興味を持ってもらうことがプロセスとしてはベストであると考えています。
 2015年度は総合職事務職で60名程度、技術職で30名程度、CAで200名程度の人に参加してもらいましたが、今後より多くの学生に参加してもらえるような仕組みづくりをしていくことが課題です。

■やりがいと厳しさ
 ――全日空で働くやりがいと厳しさとは?
 社会インフラとして、多くの方に必要としていただき、また高い期待をかけていただける会社で働くことにやりがいがあると思います。また人命をお預かりする責任ある事業でもあり、その使命感をもって働くことが求められます。

 ――裏方の仕事ですね。
 総合職が担当する仕事には、経営や事業運営に関わるコーポレート系の仕事や、マーケティングなどエアラインビジネスに関わる仕事、更には航空機の運航に関わるオペレーション系の仕事など、多種多様な仕事がありますが、その全てが日々の安全で快適な航空サービスのご提供に繋がっています。

 ――営業の仕事は?
 マーケティング&セールスはエアラインビジネスの中核を成す重要な領域です。お客様に航空券を購入していただくチャネルはその多くがWEBにシフトしていますが、併せて旅行会社や企業をはじめとする法人も重要なチャネルです。

 ――総合職の社員も現場に出るんですか。
 近年は1年目には空港をはじめとするフロントラインを最低1年は経験してもらうようにしています。

空港の現場であらゆるタイプの人に会った 緊張感と自由ある社風

■松村さんの就活
 ――松村さんご自身の就活を振り返ってください。
 入社は1996年です。入社するからには長く働ける会社がいいと考え、そういうつもりで会社を選んでいました。自分の人生を振り返って何をしてきたかと問われたとき、たとえば「エアラインパーソンだったよ」とひと言で言えるような骨太な事業に関われれば、充実した社会人人生を生きていけると考えて、この業界を選びました。そのような意味で海運などにも興味を持ちましたが縁あってANAに入社することになりました。

 ――どんな仕事をしてきたのでしょう?
 名古屋支店の営業部に5年、羽田空港の旅客部に4年。福岡空港のグループ会社に3年9カ月出向して総務の仕事に就き、そこで研修や採用を担当するようになりました。2009年から「ANA人財大学」という研修と採用を担当する現在の部署に移り、2010年から新卒採用を担当しています。

 ――一番印象深い仕事は?
 6~10年目までの空港の現場のとき、航空会社で働いている実感が一番ありました。
入社以来5年間は外回りの営業や運賃設定、キャンペーン企画などのプロモーション全般を担当しましたが、航空会社の原点である空港や航空機のオペレーションを知らないことがコンプレックスでもありました。そこで希望を出したところ、6年目にして羽田空港の旅客サービス部門に異動することになりました。全く違う環境や仕事内容ですので、ある程度経験を積んできて高くなっていた鼻をへし折られましたね(笑)。
 ――やはり現場の経験は大事なんですね?
 オペレーションの現場は専門職なので、経験を積まないとできない仕事がほとんどです。新入社員と一緒に研修を受け現場に立ちましたが、フロントラインで働くスタッフの思いやお客様のこと、オペレーションのことをしっかり経験できて、すごく自信になりました。空港では、ふつうの人が一生に会うくらいのありとあらゆるお客様に接することができたので、人について大変理解が深まったと思います。ビジネスでもサービスでも、現場での経験から考えられるようにもなり、一生ものの経験だと思っています。

 ――具体的にはどんな仕事を?
 いわゆる旅客サービススタッフとして接客を担当しました。空港では日々本当に様々なことが起きますが、イレギュラーな事象が発生したときにこそ、「これはいい経験が積めるぞ」と真っ先に飛び込んでいくことを心掛けていました。
 お客様に一番ご不快の念をお掛けするのは、出発便がいつ発つかわからず遅延している状態なのですが、ある日遅延便の対応で300名程のお客様の対応を私ともう一人の2名で担当したことがありました。人生でそういう経験ってなかなかないですよね。オペレーションの重要性、お客様に寄り添うことの大切さを、身をもって知ることができました。

 ――トラブルがあると積極的に駆けつけたんですか?
 命をとられるわけではありませんから(笑)。女性社員が矢面に立つより、まだ20代でしたがこれは先輩たる自分の仕事だろうと割り切っていました。すると感謝されて、自分が困ったときには逆に周りのスタッフが助けてくれるようになりました。

■社風
 ――どんな社風ですか。
 オペレーションの現場は決して間違いがあってはいけない世界なのできわめて緊張感がありますが、スタッフ部門については、仕事をする環境としては比較的自由なほうだと思います。営業、空港、人事とやって感じるのは、ANAはホウレンソウ(ビジネスの基本といわれる社内の「報告・連絡・相談」のこと)を含めコミュニケーションはみんな意識していますが、手続きにはあまりこだわらない会社です。印鑑をいくつ集めないと話が進まないなんてことはなくて、いいことはすぐやれという気風があり、すごく仕事はやりやすい。いい意味で「責任を伴う自由」があって、任せてもらえる会社だと感じます。
 全員で「使命の共有」ができていることも大きいですね。多種多様な仕事があり役割分担していますが、普段は自由にやりつつ、いざというときはみんなで真剣に一つの使命に取り組める。その両面が生み出す独特の風土、緊張感とあたたかさのある雰囲気がANAのもつ社風だと思います。

 ――航空会社の使命とは?
 世界が物理的にも時間的にも狭くなり、航空がない世界はもう想像できません。我々は、そういうインフラを担っている、ということだと思います。LCCが新しい価値観を提供する中、ANAのようなフルサービスキャリアも安全に快適に楽しく、驚きも感動もある人の移動を提供していきたい。
 人の営みの中で航空業界はずっと続いていきます。クオリティーを高めながら、新しいことを生み出していきたいですね。

みなさんに一言!

 就活は限られた時間内で自分を伝える作業ですから、準備はしっかりしたほうがいいと思います。今は会社に関するいろんな情報が流れるだけに、あまり惑わされず、自分を見失わないよう自分としっかり向き合って、悔いのない就活をしてほしいと思います。その中で自分を受け止めてくれた会社こそ、求めていた会社、縁のある会社ということにつきると思っています。自分を見失わずに就活を続けてください。

全日本空輸株式会社

【運輸】

 第2次世界大戦により壊滅した日本の定期航空事業を再興することを目的に、1952年、ANAの前身となる日本ヘリコプター輸送株式会社は設立されました。当時、世界では国主導の航空会社経営が多くを占める中、役員12名、社員16名、ヘリコプター2機という小さな“純民間航空会社”としてのスタートは世界的にも珍しく、まったくゼロからの挑戦でした。そして、創業時に掲げられた「高潔な企業」「権威に屈することのない、主体性を持つ企業」「独立独歩できる企業」という経営理念に込められた創業者の想いは、現在もANAに“努力と挑戦のDNA”として息づいています。  国内線からスタートしたANAは、1986年に定期国際線に進出、また1999年には世界最大の航空連合「スターアライアンス」にいち早く加盟するなどグローバルネットワークを拡充し、現在では旅客数で世界トップ20に入るアジアを代表するエアラインの一社に数えられるまでに成長を遂げてきました。ただし、これはあくまでも日本マーケットを中心とする事業展開の結果であり、世界ではまだまだ知られていないというのが正しいポジション認識です。だからこそANAは、日本のエアラインだからこそ実現できる「高いお客様満足」と「価値創造」の追求により世界でも競争力のある「品質が高く強い、真のグローバルエアライン」を目指し、新しい挑戦をスタートさせています。