ニュースのポイント
(朝日新聞社教育コーディネーター 一色清)
今日取り上げる記事は、3面の「企業主導型保育所 出足は好調」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版)です。
(写真は、待機児童の解消を求めて東京都内を練り歩く保護者ら)
「企業主導型保育所」は、企業、病院、大学などが、事業所の中や駅の近くなどにつくる保育所です。従業員の子ども以外も受け入れる「地域枠」も認められます。また、認可保育所では保育をする人全員が持っていないといけない保育士の資格は、職員の半数以上が持てばよいルールになっています。内閣府に申請して認められると、整備費や運営費の助成金がもらえます。
安倍政権は「一億総活躍社会」を掲げ、女性が働くことを促していますが、子どもを預ける保育所が足りないこと、いわゆる「待機児童問題」が深刻になっています。2016年4月現在、全国の待機児童数は2万3553人ですが、都道府県別で圧倒的に多いのは東京都。全体の36%を占めています。
もう少し待機児童の範囲を広げ、「認可保育施設に入れなかった子どもの数」を市町村別に見ると、1位は横浜市、2位は川崎市と、神奈川県の2大都市が上位にきます。つまり、待機児童問題は大都市問題だと言えます。政府が考えた新しい保育所のイメージも、ビジネス街にある大きな会社の社員が、自分の勤めるビル内にある保育所に子どもを預けて仕事をする、というものです。
ただ、今回の1次募集の結果からは、こうしたイメージは見えません。助成の決まった150施設のうち東京は6施設、神奈川は5施設にすぎません。しかも、東京ではビジネス街といえる立地は1件だけ。神奈川も、横浜と川崎は1件ずつだけです。
私が推測するに、ビジネス街に拠点を構える大企業には、保育所が高い地価に見合う施設かどうか、ためらいがあるのでしょう。社員の側にも、社内に保育所があると「子連れ通勤は大変そう」「かえって長時間労働につながるかも?」という思いがありそうです。
就活生のみなさん、とりわけ女性にとっては、保育所問題は気になるところです。これまでは自分たちの手が届きにくい国や自治体の問題でしたが、今年度からは企業の問題にもなってきました。まだ始まったばかりの制度ですので、これから検討している企業は多いと思います。保育所のあるなしで会社を選ぶ時代が来るかもしれません。就活のこれからの注目点ですね。
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2025/04/20 更新
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