2016年07月27日

グンゼは「郡是」、キヤノンは「観音」? 社名のルーツが面白い!

テーマ:経済

ニュースのポイント

 インナーウェアなどの繊維メーカー、グンゼの社名はもともと「郡是製絲(ぐんぜせいし)」でした。創業の地、京都府何鹿(いかるが)郡(現在の綾部市)の「正しい方針」という意味です。社名には、意外な歴史的な経緯が隠れていたり、創業者の思いが込められていたりします。ちょっと意外な社名の起源を集めてみました。これも立派な企業研究ですよ。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、経済面(7面)の「けいざい+新話/前田正名と地方創生㊤ 地域振興『まず是から』」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版)です。

花王は「顔を洗う」、ワコールは「和江留」~語呂合わせなど

 グンゼ創業前年の1895年に、この地で元官僚の前田正名(まさな)が「今日の急務は国是・県是・郡是を定むるにあり」と演説しました。グンゼの児玉和(のどか)社長は「演説は郡民に大きな感動を与え、創業者(波多野鶴吉)も共鳴した。人間尊重、優良品の生産、共存共栄が創業の精神で、そのもとになったのが何鹿郡の郡是です」と語っています。
 朝日新聞の土曜別刷り「be」に3月まで連載していた「キミの名は」では、社名や商品名の由来を紹介していました。そこから抜粋して紹介します。ブランド名やヒットした商品名が社名になったケースが多くあります。

◆江崎グリコ エネルギーの貯蔵、供給源となる栄養素のグリコーゲンから
◆オムロン 仏僧の住まい「室(むろ)」の中でも、特に高貴な人が住まうのが「御室(おむろ)」。一般に御室といえば宇多天皇が出家後に住んだ仁和寺(京都市右京区)とその周辺の地域を指す。かつてこの地にあり、「御室」に「運」の「ん」を加えて語呂を整え「オムロン」に
◆花王 1990年に発売した洗顔用の化粧石鹸は「顔洗い」と呼ばれていたが、洗濯石鹸と区別し、皮膚を刺激しない高品質の「顔を洗う石鹸」であることを強調するため、「顔」に発音が通じる「花王石鹸」と命名。製品名が社名に
◆キッコーマン 千葉県の香取神宮の山号である「亀甲」に、「亀は万年」という故事にちなんで「萬」の文字を入れて「亀甲萬」に
◆キヤノン ルーツは「観音(カンノン)様」。創業者の一人が現世利益を施すとされる観音様の熱心な信者でカメラに「KWANON(カンノン)1号」と名付けた。後に、この音を引き継ぎ、英語で「判断の基準」という意味をもつ「CANON」に
◆コクヨ 創業者が19歳で郷里の富山を離れ大阪に向かうとき、「国(郷里)の誉れにならなければならない」と決意した「国誉(こくよ)」が由来
◆サントリー ワインのラベルに使われた太陽(sun)と創業者、鳥井信治郎の名前を組み合わせた
◆サンリオ 創業者の出身地、山梨の音読み「サンリ」に「エイエイ、オー」のかけ声の「オ」をつけ、意味を調べてみたら、「SANRIO」はスペイン語で「聖なる河」だと分かり決めたという。新しい文化産業を興したい思いが込められている
◆ダイハツ工業 「大阪の発動機」と呼ばれたが、「大」と「発」を抜き出して「ダイハツ」に
◆ダイキン工業 「大阪金属工業所」だったが、空調装置や化学製品へと主力が変化。社名と実態がかけ離れたことからダイキンに
◆TOTO 「東洋陶器」の商標「TOTO」を社名に
◆ニッカウヰスキー もとの大日本果汁株式会社の「日」と「果」でニッカ
◆リコー もとは「理研光学工業」で、「理」と「光」を合わせ「リコー」に
◆リンナイ 漢字にすれば「林内」。2代目社長林兼吉と初代の内藤秀次郎の姓を合わせた
◆ワコール 江州(ごうしゅう)とも呼ばれる滋賀にちなみ「和江商事」で創業。「江州に和す」の意。「和江の名を永遠に留める(=和江留)」の意味を込めて「ワコール」に

ダスキンはぞうきん?~外国語から

◆アステラス製薬 アステラスは「星」を意味する「stella」(ラテン語)、「aster」(ギリシャ語)、「stellar」(英語)から「大志の星」「先進の星」を表す造語。日本語の「明日を照らす」もかけている
◆イオン イオンはラテン語で「永遠」を意味する。お客への貢献を永遠の使命とするという企業理念に、グループが永遠に発展と繁栄を続けるという願いも込めた
◆オリックス もとは「オリエント・リース」。「ORIX」は「ORIGINAL-X」の略。旧社名の響きを残しつつ、「X」(無限の可能性)で独創性と柔軟性を表した
◆NTTドコモ ドコモは、「DO COmmunications over the MObile network」の略。「携帯ネットワークを通じてコミュニケーションを」の意
◆カルピス 仏教に造詣(ぞうけい)が深かった創業者が、カルシウムの「カル」と、サンスクリット語で、よい味を意味する「サルピス」を合わせて名づけた
◆セコム セキュリティコミュニケーション(security communication)から
◆ソニー 「音」を意味する英語「SOUND」の語源であるラテン語「SONUS」と、「坊や」の意味の「SONNY」を掛け合わせた。「小さいが、はつらつとした若者が集まる会社」との意味も込めた
◆ダスキン ぞうきんは英語で「ダストクロス」「ダステックス」と頭に「ダス」がつき、日本語では「ぞうきん」「ふきん」と末尾に「キン」がつく。合わせて「ダスキン」
◆パナソニック 「Pan」+「Sonic」。「音をあまねく世界中に伝える」という意味が込められている。家電ブランド名が社名に
◆ファンケル FANCY(愛らしい)とFINE CHEMICAL(精密化学)の複合語
◆ベネッセコーポレーション ラテン語の「bene」(よい、正しい)と「esse」(生きる)を合体させた造語で、人間味豊かな生き方を表現した
◆ヤクルト エスペラント語でヨーグルトを意味する「ヤフルト(Jahurto)」をもとにした造語
◆ルミネ 「光」を意味する仏語「lumière(ルミエール)」と、英語の「ilumination(イルミネーション)」が語源
◆ロッテ 創業者の重光武雄氏が最も感銘を受けた作品、ゲーテの「若きウェルテルの悩み」のヒロイン、シャルロッテの愛称から

バンダイは「萬代屋」~中国の故事から

◆三省堂 三省は中国の「論語」にある「吾日三省吾身」から。「日に三度反省し、日々わが身を省みる」の意味
◆資生堂 中国の古典『易経』の一節「至哉坤元 万物資生」(いたれるかなこんげん ばんぶつとりてしょうず)から。「大地の徳はなんとすばらしいものか。すべてのものは、ここから生まれる」の意味
◆バンダイ 「萬代屋」として設立。「萬代」は中国・周の時代の兵法書「六韜(りくとう)」にある「萬代不易」からとった言葉で、永遠に変わらないことを意味する
◆和光堂 「老子」に由来する言葉「和光同塵(わこうどうじん)」にちなむ。自分の才知を隠して、えらぶらず、世間一般の人々の間にとけこんで、まじっているという意味

大同についた「大同生命」~合併を機に

◆コニカミノルタ 「小西六写真工業」の小西とカメラを合わせた「コニカ」と、旧ミノルタが経営統合。ミノルタは、「実るほど頭を垂れる稲穂のように謙虚であれ」の「みのる田」からの連想
◆双日 総合商社の旧日商岩井と旧ニチメンが合併。「双」は、会社と顧客(社会)、それと二つの会社が連携していく意。「日」は太陽のようなエネルギーに満ちていることを表す
◆大同生命 3社合併の際、「小異を捨てて(または残して)大同につく」の故事にちなんだ

 各社のホームページの沿革(歴史)のコーナーなどを見ると、もっと詳しく載っていますよ。

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