2016年07月28日

都市開発って?「世界の東京」つくる細かい仕事

テーマ:経済

ニュースのポイント

 西武ホールディングス(HD)の「東京ガーデンテラス紀尾井町」がオープンしました。ホテル、オフィス、飲食店街、マンションの複合施設です。いま東京の都心では、あちこちで再開発が進んでいます。「都市開発」ってどんな仕事なんでしょうか。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、経済面(8面)の「赤プリ跡 新装/複合施設が開業/『収益力5倍』新戦略/西武HD」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版)です。

なんと、収益力「5倍」!

 記事によると、新たな複合施設は、ホテル、オフィス、飲食店街が入る36階建て「タワー」(写真)、21階建てマンションと、2階建て宴会場からなります。再開発したのは「グランドプリンスホテル赤坂」の跡地。「赤プリ」と呼ばれる人気スポットでしたが、西武は1000億円超を投じて建て替えました。老朽化に加え、ホテル単体事業から脱却するためでした。ホテル事業は見た目は派手ですが、景気や国際情勢の影響をもろに受けます。オフィスやマンションも備える複合施設とすることで、「5倍の収益力に」(後藤高志社長)高まるのだとか。西武HDはグランドプリンスホテル新高輪、東京プリンスホテルでも同様の再開発を検討しています。

計画続々「世界の東京」つくる

 都心の再開発は、商業地の容積率容積率緩和など規制改革で高層ビルが建てやすくなった2000年代から盛んになりました。三菱地所の「丸ビル」「新丸ビル」、森ビルの「六本木ヒルズ」、三井不動産の「東京ミッドタウン」「COREDO(コレド)日本橋」「COREDO室町」などがすでに完成。今も以下の大規模開発が進んでいます。
三菱地所など 大手町のJR東京駅北に日本一の超高層ビルを含む4棟を建てる。2027年度完成予定
JR東日本など 2027年のリニア新幹線開業を見越して、品川~田町駅間の車両基地跡に新駅をつくりホテルなどの高層ビルを建てる計画
三井不動産など オフィスと映画館などの商業施設が入る「新日比谷プロジェクト(仮称)」。2018年完成予定
東急電鉄、JR東日本、東京メトロなど 渋谷駅周辺再開発。駅ビルは東棟が2019年度中、中央棟と西棟は2027年完成予定

 都市開発では政府や自治体が、手続きを簡単にしたり税制上の特例を設けたりして後押ししています。グローバル化の時代に多くの企業に進出してもらうために、世界の都市と競争しているのです。東京都の担当者は「東京の街の機能を上げなければ、世界の他の都市に負けてしまう。都市機能を上げ、国内に投資を呼び込みたい」と語っています。

木や部材まで一つひとつ選ぶ

 都市開発って具体的にはどんな仕事なのか。7月18日の朝日新聞朝刊「at work」のコーナーで、「新日比谷プロジェクト」を担当する三井不動産のプロジェクトマネジャーの仕事を紹介しています。
 6人のチームで決めることは数千にのぼるそうです。たとえば、ビルのコンセプト▽建物の全体像▽行政と規制への対応協議▽建築コストを計算してゼネコンに発注▽広場に植える植木選び(木の種類、枝の張りなど)▽ビルの仕様(ひさしの裏のアルミの模様、エレベーターの扉に使う部材など)▽区道の位置変更で千代田区と協議▽地下鉄駅と直結させるため東京メトロと協議――。
 こうして具体的に分かると、どんな仕事か、どんな業界が関わるのか、少しイメージできると思います。一つひとつ細かい作業の積み重ねが「世界の東京」につながるんですね。

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