2016年04月20日

熊本地震で考えるインフラ支える企業の意義

テーマ:経済

ニュースのポイント

 熊本地震の被害で休業が相次いでいたコンビニエンスストアですが、熊本県内では約97%が営業を再開し、被災者に喜ばれています。コンビニは今や社会に欠かせないインフラです。インフラ関係の仕事をめざす人は、それぞれの企業の取り組みを調べ、存在意義を考えてみてください。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、総合面(3面)の「熊本 コンビニ97%再開/食糧・水を優先出荷・営業時間短縮」です。
 記事の内容は――大手コンビニ3社の店舗は19日午後6時現在で、熊本県内では全体の約97%が影響を再開した。飲料水や食料品を優先的に出荷し、全国から応援社員を集めるなど、過去の震災で培ったノウハウを生かした。ただ、飲料水などの売り切れは相次いでおり、従業員も不足していて、営業を短縮している店がかなりある。通常の品ぞろえで24時間の営業ができるまでには、なお時間がかかりそうだ。一方、規模が大きいスーパーでは、再開できない店も目立つ。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 昨日に続いて熊本地震の話題です。3日前の17日の朝刊には「ガソリンスタンド・コンビニ/滞る物流 休業相次ぐ」という記事が載っていました。「16日午後5時時点でローソンは熊本県内の83店、大分県内の3店、セブン-イレブン・ジャパンは熊本県内で3店、ファミリーマートも同日正午時点で熊本県内の66店が休業している」とありましたから、各社、各店ごとに懸命に努力して再開にこぎ着けたのでしょう。

 今日の記事で紹介している大手3社の対応です。
ローソン 本部から約120人を熊本県に派遣し、18日には玉塚元一社長も現地入りした。少ないトラックでも効率よく運べるように、配送する商品を飲料水や食料品などに絞り込んだ。20日はパンを東京から空路で熊本に届ける予定。東日本大震災などの事例をもとに緊急時の対策を準備してきた。

セブン-イレブン・ジャパン 建物が大きな被害を受けた1店を除き288店が営業。熊本県内に4カ所ある食料品の工場が被災したため、福岡県でも代わりに生産して商品を確保。設備の改修などで24時間営業できないケースもあるが「各店長の判断によって、できるだけ開店する方針にしている」という。

ファミリーマート 弁当などをつくる工場が被害を受け、長崎県や福岡県などからも商品を送っている。宮崎県産の自社ブランドのミネラルウォーターを集中的に届けている。

 スーパーは規模が大きい分、営業再開に時間がかかる傾向があるようですが、コンビニは一店一店が小さいため、物流さえ確保できればすぐに再開できます。機動的に対応できるわけですね。

 ローソンの玉塚社長は週刊誌アエラに連載しているコラムで、東日本大震災のときの対応とコンビニの意義についてこう書きました(3月28日号「キャプテンのテイクノート コンビニエンスストアの社会的役割を考える」)。
 「なかなか商品が行き届かない地域もありましたが、現地のオーナーの方々は被災地に明かりをともそうと、お店を開け続けてくれました。停電で電気がつかなくても、懐中電灯などを使って営業を続けたというところもあった。その明かりに、『ほっとした』という被災者の方々の声をたくさん頂きました」
 「震災は本当に痛ましい出来事で、傷痕も大きかったけれど、大切にしていくべき教訓も残してくれました。それは、コンビニは単に『便利なお店』という存在を超えて、地域の皆さんに頼られる社会のインフラとして機能しなければならない、ということです。社員、オーナー、クルー一同、このことを常に心に留めて、店舗作りをしています。24時間明かりを絶やさないこと。警察の要請があれば防犯カメラ映像を提供すること。徘徊が疑われる高齢者へのお声掛けなど、マチのためになることは率先して行うよう、全店で心がけています」

 ほかにも、電気、ガスなどのエネルギー、物流、交通機関など、生活に絶対に欠かせないインフラはたくさんあります。ふだんは当たり前に使っていますが、こうした災害のときには、改めてありがたみを感じますね。存在意義を考える機会でもあります。ただ、就活でインフラ関連の業界を目指す人は、消費者や利用者の目線だけでなく、企業側の目線を意識して各企業の取り組みに注目してくだい。

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