2016年03月17日

就活は「プラス選考」 不利なことは言わなくて大丈夫!

テーマ:就活

ニュースのポイント

 最近、グローバル人材がひっぱりだこ、とよく耳にします。「でも、英語は苦手だしなあ」という人もいるでしょう。そういう人はわざわざエントリーシート(ES)に「英語が苦手です」とは書きませんよね。就職活動で自分にとって「不利」に思える情報をどこまで開示すればいいのか、迷っている人はいませんか。今日は20歳でがんと診断された男性の新卒での就職活動、その後の社会人生活を取り上げます。(副編集長・奥村 晶)

 今日取り上げるのは、生活面(30面)の「患者を生きる/「がん」20歳の試練③/就活 話せなかった闘病」です。
 記事の内容は――20歳で精巣がんと診断され手術を受けた、愛知県の病院職員の男性(33・写真は就活当時)。体調が回復して就職活動を始めたが、エントリーシート(ES)に闘病経験を書き込んで書類選考に落ちたのを機に、がんの経験を積極的に伝えるのをやめた。最終面接で健康状態について聞かれ、病気のことを伝えるべきか一瞬考え、でも言わなかった。その結果、三重県内の団体職員として採用されたが、後ろめたさが残った。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 選考で、採用する側がもっとも知りたいのは、その学生に自社の職務をこなす能力があるかどうか、自社にどう貢献してくれるかです。冒頭でも取り上げた話ですが、応募した企業がグローバル企業で、業務に必ず英語が必要であれば、ESにTOEICなど英語力を書く欄があったり、選考時に英語力を確かめるテストがあったりするはずです。採用するにあたって、ポイントとなる事項、絶対に必要な能力などであれば、採用する側がきちんとチェックするはずですから、みなさんのほうが先回りして、あまり考えすぎないことです。
 
 とはいえ、重い荷物を常時運搬しなくてはいけないような職種に応募しているのに、それができない腰痛やヘルニアの持病を持っているとしたら、黙っているのはよくありません。まぎれもないミスマッチですから、お互いにとって不幸です。てんかんの持病を持つ人がそれを黙って、公共交通機関の運転手として採用されるなどは、「就労に影響する重大な事実を偽った」と会社側に判断され、最悪の場合、懲戒処分となる可能性もあります。

 でも、病気のために頻繁に通院しなくてはいけない、とか薬の副作用で業務に支障がある、といったことがないのであれば、あえて伝える必要はありません。最終選考などで健康診断などを実施する企業も多々ありますが、業務に支障をきたさない持病等であれば、選考に影響はないケースがほとんどです。仕事の遂行能力と無関係なら、面接などで過去の病歴を質問することは不適切とされています。

 ただ、がんの場合は、経過観察という期間が長く、治療は受けていないけれど通院が必要なこともありますし、再発となったら当然、職場には多少の影響を与えます。「なんで選考時に言わなかった」と責められるのが怖い、という人もいるでしょう。でも、入社後にがんを発症したとしても、同じです。現時点で特段の配慮が必要でなければ、気にしすぎないことです。記事に登場する男性のように、いざというとき孤立しないよう、信頼できる同僚にだけ伝えておくのも一つの手です。連載ですので、気になる人は明日以降も読んでください。

 最近はダイバーシティー(多様性)に理解がある企業など、自分では弱みと思っていた病歴や障がいをポジティブに受け止めてくれるところも増えています。伝えるかどうか、各自で判断するしかありませんが、病歴を伝えて選考に落ちると、本当は別の部分で評価されなかっただけなのに、原因を病歴に求めてしまって、次の選考への反省材料につながらないかもしれません。
 ネガティブに受け取られるかも、と少しでも不安に思う情報なら、無理に言う必要はありません。安心してください。

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