ニュースのポイント
資生堂の変革を追う朝日新聞の連載記事「資生堂のリメイク」が始まりました。連載では、美容部門世界5位の人気ブランドが国内のシェア半減などの課題に直面し、さまざまな社内改革に取り組む姿を描きます。業界や企業を取り上げた新聞の連載記事は、最新の会社の状況を知り、社風や体質も含めて企業への理解を深めるのにとても役立ちます。過去の記事もぜひ活用してください。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、経済面(8面)の「けいざい新話/資生堂のリメイク①改革迫られた美の老舗/時代の変化見逃し シェア半減」です。
記事の内容は――話題の動画「High School Girl? メーク女子高生のヒミツ」は、教室でほほえむ女子高校生12人が、映像を巻き戻すと実はみんな男子高校生だった、という内容。ユーチューブでの再生回数は880万回を超えた。つくったのは資生堂。違う性別に見せるほどメイクには力があることを若い人に伝えたい。企画した社員は「会社の課題は若者を振り向かせられるか。『お母さんのブランド』というイメージを破りたい」と話す。最新業績をまとめたレポートでは“現実を直視する。”と危機感をあらわにした。企業好感度は1990年代半ば以降も上昇基調だが、悩ましい実態を抱える。経済産業省によると国内の化粧品出荷額はこの20年、1兆4000億円ほどで横ばいだが、資生堂の国内売上高は1997年度の5286億円がピークで2014年度は3656億円に。シェアは30年で半減し、花王が2006年にカネボウ化粧品を買収してからは国内2位が続く。1872(明治5)年の創業から成長を続け、CMなどで時代もつくってきた。しかし1980年代から量販店やドラッグストアなどのチェーン店が台頭し美白や低価格などに特化した競合相手が増えたが、そうした変化にあまり目を向けなかった。役員は「自分たちのやりたいことがお客さまのため、という思いがあった」「流行をつくってきた成功体験が、過剰な自信につながっていた」と振り返る。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
資生堂は、あさがくナビの就職人気企業ランキングで昨年は6位。トップ10常連の押しも押されもせぬ大人気企業ですが、課題や悩みも抱えています。2年前に資生堂と一緒に女子大生向けの就活セミナーを開いたことがあります。私が面接やESなどの話をしたあと、資生堂のBC(ビューティーコンサルタント)がお化粧の基本を一人ひとりに実践指導する内容。記事に「お母さんのブランドのイメージ」という表現が出てきますが、このセミナーもこれから社会に出る若い世代に資生堂ブランドを浸透させたいという狙いでした。その後も、若者対策を続けているわけですね。
連載は明日以降、資生堂が外部から社長を招き、現場やマーケティング重視に変革したり海外展開に取り組んだりする様子を、残り3回で伝えます。「けいざいSHINWA(新話、深話、真話、神話)」は2013年4月にスタートした企画です。経済ニュースの背景をより深く掘り下げる読み物で、みなさんが目指すような企業も多く登場し、経営者や社員がなぜその決断や行動をとったのか、内面の葛藤や喜怒哀楽も伝えています(「中島隆の輝く中小企業を探して」でおなじみの中島編集委員もたびたび書いています)。企業を取り上げた新聞の連載記事は担当記者が時間をかけて深く取材しますから、採用ホームページなどには書かれていない社内の実情や雰囲気がわかることがあります。ESや面接で使える格好のネタが詰まっているんです。志望企業の過去の連載記事は必読です。朝日新聞デジタル(有料会員)なら1年分、大学図書館などにある朝日新聞記事データベース「聞蔵(きくぞう)」ならすべての過去記事を検索して読むことができます。
「けいざいSHINWA」でこれまでに取り上げた主な企業や業界を、最近のものから順に紹介します。記事検索の参考にしてください。
【2015年】エドウィン、ウォルマート、ソフトバンク、リクルート、大塚家具、岩手県宮古市の水産会社4社、ダイエー、自動運転に関わる自動車メーカー、水素社会に関わるエネルギー企業やプラントメーカー、スカイマークと全日空(ANA)、伊藤忠商事
【2014年】レベルファイブ、地方銀行、ソニー、電力ベンチャー、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)、東京電力、森ビル、日産・ルノー、トヨタ自動車、マツダ、東日本大震災被災地の中小企業、宇宙ベンチャー・アクセルスペースと気象会社ウェザーニューズ、スズキ、ロイヤルホスト、江崎グリコ
【2013年】大塚製薬、不二製油、太子食品工業、NTTドコモ、ソフトバンク、JR九州、テラモーターズ、シャープ、ホンダ、日本取引所グループ(JPX)、ケーズデンキ、西武ホールディングス、楽天、ユーグレナ、東芝、LINE、日本銀行
資生堂の採用担当者は、「人事のホンネ」で「お客さんにどう喜んでもらえるかという顧客志向が高い人がいい。ブランドイメージが強いので、ギャップが生じがちですが、『好き』や『憧れ』だけではなく、自分が何をやりたいのかきちんと考えてほしい」と語っています。こうした記事で企業研究を深め、その会社で自分がやりたいことを考える手がかりにしてください。
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