2016年01月26日

オバマ演説SNS発信で考える メディア新時代

テーマ:メディア

ニュースのポイント

 オバマ大統領の演説がフェイスブックなど様々なソーシャルメディアで流され、たくさんの人が見ました。情報を伝える手段は、新聞、ラジオ、テレビから、インターネット、SNSとどんどん広がっています。週刊誌の苦戦と電子書籍の急増も伝えられました。移り変わるメディアのあり方を考えます。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、オピニオン面(17面)の「ネット点描/米大統領とSNS/一般教書でも徹底活用」です。
 記事の内容は――12日夜(現地時間)に行われたオバマ米大統領の最後の一般教書演説は、本番前にネットのブログサイト「ミディアム」で全文が公開されていた。ホワイトハウス(米大統領官邸)はホームページの他に550万人超の読者を抱えるフェイスブック、880万人超の読者のツイッターに、演説中から動画や抄録を掲載。本番終了後に公開した1時間の動画は、フェイスブックでの視聴だけで90万回を超えた。1930年代のルーズベルト大統領はラジオ、60年代のケネディ大統領はテレビ、21世紀のオバマ大統領はソーシャルメディアの活用で知られる。米国でスマホを持つ若者の6割以上が使うという「スナップチャット」のほか、ユーチューブ、インスタグラムなど、ホワイトハウスが情報発信に使うサービスの多彩さは「ソーシャルメディア電撃戦」とも称される。ホワイトハウスの担当者はその狙いを「(ネット上の)人々がいる場所で、人々に出会う」とブログに書いた。演説のテレビ中継の視聴者数は、2009年の就任時の5240万人からは大きく減らしたものの3130万人と、なおネットとは桁違いの多さだ。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
(写真はホワイトハウスのフェイスブックページで公開されたオバマ米大統領演説の動画=フェイスブックより)

就活アドバイス

 私はフェイスブックやラインは使っていますしツイッターやユーチューブも見ますが、スナップチャットやインスタグラムは知っていても活用まではしていません。この数年、次々に生まれるソーシャルメディアの新たな展開のスピードには本当に驚かされます。

 日本のマスメディアの歴史をざっと振り返ります。
【朝日新聞の創刊】1879年(136年前)
【NHKラジオ放送開始】1925年(91年前)
【NHKテレビ放送開始】1953年(63年前)
【インターネットの普及】1990代から(二十数年前)
【フェイスブック日本語版スタート】2008年(8年前)

加速度的に速まっていることがわかります。その後も毎年のように新たなメディアが生まれ、若い世代を中心に広まっています。これからの時代、情報はホワイトハウスのように多様なメディアに同時に発信しなければ広い世代に届かなくなるのでしょう。

 今日の社会面(37面)には「出版物の販売額下げ幅最大」という記事が載っています。全国出版協会の出版科学研究所によると、2015年の出版物(書籍と雑誌の合計)の販売額は1兆5220億円でした。前年比5.3%減で、2年連続で過去最大の下げ幅を記録し、前年を下回るのは11年連続。雑誌は7801億円で同8.4%減。週刊誌の落ち込みが激しく13.6%も減りました。紙の出版市場は1996年のピーク時の6割の規模に落ち込みました。一方、電子書籍の市場規模は1502億円で、前年より31.3%も伸びました。ただ、紙の落ち込みを補うほどには伸びていません。

 新聞も同じで、電子新聞の読者は伸びているものの紙の新聞の部数減を補うまでには至っていません。テレビ、ラジオ、新聞、出版といった伝統的なマスメディアは、視聴者や読者の数は減少傾向にありますが、まだまだ多くの人々に届いていますし、今後も数十年単位ではなくなることはないでしょう。ただし、若い世代にも届け続けるには新たな情報発信も同時に目指さなければならないという同じ課題を抱えているわけです。

 若い世代のみなさんにも紙の新聞を開いてほしいと思いますが、これから初めて新聞に接する人には朝日新聞デジタルをスマホで見るほうがなじみやすいかもしれません。朝日新聞社も、ニュースサイト「ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン」との提携、みなさんが気になることを記者が深掘り取材する「withnews(ウィズニュース=ウニュ)」など新たなメディア展開を進めています。この「就活ニュースペーパー」もその一つですし、フェイスブックやツイッターでも発信しています。マスコミやIT業界を目指す人は、若い世代に向けた新しいメディアのあり方を考えてみてください。

※「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。お申し込みはこちらから。

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