2015年10月15日

あなたは何なら人と共有できますか? 広がるシェアビジネス

テーマ:経済

ニュースのポイント

 「シェアビジネス」の先駆けといえば、車を不特定多数で共有する「カーシェアリング」や、一軒家に他人同士で住む「シェアハウス」などですね。これらはすでに社会に定着していますが、最近はさらに進化。個人や企業が所有していて、「空いている」「余っている」モノやインフラをシェアする仕組みがどんどん広がっています。米国のベンチャー企業が始めた、自分の部屋を旅行客らに貸すネット上の仲介サービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」を利用する人は日本でも増えています。自分は何を「所有」「独占」したくて、何なら他人と「共有」できるか、そんな視点を持てば、新たなビジネスの種が見つかるかもしれません。(副編集長・奥村 晶)

 今日取り上げるのは、総合面(3面)の「民泊・相乗り 特区で普及/「シェアビジネス」政府が後押しへ」です。
 記事の内容は――自宅の空き部屋を人に貸したり、自家用車に人を相乗りさせて運んだりする「シェアリング・エコノミー(共有型経済)」と呼ばれる新しいビジネスについて、政府が普及の後押しを始めた。ホテルやタクシーを使うより割安で利便性も高まるが、課題も多い。14日、地域を限って規制を緩める「国家戦略特区」の会議で、自宅やマンションなどの空き部屋をホテルとして提供する「民泊」の事業化を、東京都大田区で2016年1月から認めることを決めた。旅館業法の規制を特区に限って緩める。「相乗り」についても、特区に限り、「道路運送法」の規制を緩める考えだ。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 子育て中の私は、帰宅が遅くなるとき、自治体のファミリーサポートというシステムを利用しています。夕方、学童保育が終わった後、サポート会員が自宅で娘を預かり、夕飯も食べさせてくれます。有償ですが、ベビーシッターの費用に比べると割安ですし、しかも、その家庭には同世代のお子さんが2人いるので娘も喜んで遊んで待っています。これはビジネスではありませんが、サポート会員の皆さんの子育ての“余力”をありがたくシェアさせていただいている、「シェアリング・エコノミー」の一種といえるかもしれません。

 Airbnbなどの「民泊」や自家用車の「相乗り」……。それぞれ新しいビジネスは法規制の対象外で、衛生面や悪用など、不安材料もあります。また、そのサービスによって自分の“なわばり”が荒らされる、ホテル業界やタクシー業界には反発もあります。それでも政府が普及を後押しするのは、2020年の東京五輪に向け大量のホテル不足が見込まれることや、公共交通が不便な地域では高齢者や外国人観光客のための安価な移動手段がないためです。特に羽田空港のある大田区は現時点でもホテル稼働率は90%超。対応が急がれています。
 今回のニュースには出てきませんが、訪日客の増加ですでにホテル不足が深刻な大阪府と大阪市でも、賃貸マンションなどの空き部屋をホテルに活用できるようにする条例案をそれぞれの9月議会に提案しています。 
 海外などでは、プライベートジェットを操縦士つきでシェアしたり、自宅の屋根や庭だけを貸したり、医師が空き時間に医療相談に答えて、対価をもらう、というサービスもあります。サンフランシスコやボストンなどでは、自宅や事務所のトイレを1ドル程度で見知らぬ人に「貸す」というAirpnp(エアピーアンドピー)なるサービスも定着しているそうです。「ピー」はおしっこの俗語。私はとても貸主にはなれそうにありませんが、まさに可能性は無限ですね。
 
 観光業界に限らず、さまざまな業界に「空いている」「余っている」モノは必ずあります。それをどうお金に換えていくか。志望企業の業界で考えるもよし、「あったらいいな」という個人的な利便性で考えるもよし。もしだれにとっても利用しやすいシェアリングシステムを作ることができれば、一攫千金も夢ではありません。業界研究の合間に、そんな頭の体操をしてみるのもいいですよ。

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