2015年09月11日

酒、たばこ、ギャンブルは就活に不利? 考えよう(一色清の「今日の朝刊ウィークエンド」)

テーマ:就活

ニュースのポイント

 酒、たばこ、公営ギャンブルを、18歳から認めるかどうかの議論が始まっています。「成人年齢を20歳から18歳に引き下げるので、これらも18歳からでいいのではないか」という意見が自民党の中で出ているのです。反対論も強いので最終的にどうなるかは分かりませんが、大学生にとって酒、たばこ、ギャンブルをするかどうかはその後の仕事とも無関係ではありませんので、この機会に考えてみてはどうでしょう。(朝日新聞社教育コーディネーター・一色清)

 今日取り上げるのは、4面の「公営ギャンブルも見送り/18歳から酒・たばこ 自民案両論併記」です。
 記事の内容は――飲酒や喫煙を18歳から認めることを検討していた自民党「成年年齢に関する特命委員会」(委員長=今津寛衆院議員)は10日、解禁を容認する当初案を撤回し、両論併記にとどめる提言案をまとめた。党内外から猛反発を受け、公営ギャンブルができる年齢の引き下げも見送った。月内に政府へ提出する。提言案は、飲酒や喫煙を18歳から認めるかどうかについて委員から出た賛否両論を併記。「引き続き社会的なコンセンサスが得られるよう、国民にも広く意見を聞きつつ、医学的見地や社会的影響について慎重な検討を加える」としている。競馬や競艇などの公営ギャンブルについても、18歳からできることを「妥当」としていたが、これも撤回。酒・たばこと同様、引き続き検討を続けることになった。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 就活の面接で、「酒飲みますか」「たばこ吸いますか」「ギャンブルやりますか」などと直接聞かれることはあまりないでしょうが、「絶対ない」とは言えません。星野リゾートのように、喫煙者を採用しない方針を明確に打ち出している会社もあります。仮に正式な面接で聞かれなくても、リクルーターとの雑談や会食などの際、聞かれたり観察されていたり、あるいは、ツイッターやフェイスブックでチェックされていたりする可能性も否定できません。企業は、どういう人物かをつねに見ようとしているわけですから、その一つの要素として、酒、たばこ、ギャンブルの情報があればメモしておきたいはずです。

 ただ、企業は一概に「酒、たばこ、ギャンブルはマイナス」と評価するわけではないと思います。この3つの評価には濃淡があります。

 まず酒ですが、これは必ずしもマイナスにはなりません。職種によって違いますが、日本の会社では、まだまだ酒を飲む機会はたくさんあります。特に営業や人事など人間同士の信頼関係を結ぶ必要のある職場では、仕事としての酒席があるはずです。「毎日深酒しています」などというのはダメですが、単に「酒は飲みます」と言ってマイナスになる会社はほとんどないでしょう。体質的に飲めない人はもちろん飲まなくてもいいですし、また飲めると飲めないとにかかわらず酒席の場を楽しく盛り上げられるスキルがあれば、仕事はうまく進むと思います。

 たばこは30年前ならどちらでも良かったのでしょうが、今は前述の星野リゾートなど、マイナスととらえる会社も増えていると思います。オフィスは全面禁煙になり、たばこを吸う人は外の喫煙所で吸うというふうになっている会社が一般的です。中には「たばこを吸っている時間は就業時間から引け」とか「喫煙者はとるな」などと主張する社長がいる会社もあります。「喫煙所での会話が仕事に役立つ」などと言う人もいますが、喫煙者の強弁にしか聞こえません。いずれにしても喫煙者が棲みにくい社会に急速になっています。
就活の間だけ「たばこは吸いません」などとウソをつくのもよくないと思います。内定までの間にばれるとたちまち「さようなら」でしょうし、入社にこぎつけても採用担当者はウソを忘れないでしょう。喫煙者は、志望する会社が喫煙に厳しいかどうかを調べて、厳しいようなら禁煙することですね。

 ギャンブルは微妙なところです。私は適度なギャンブルは仕事にプラスに働くことがあると思います。よく「人生はギャンブルだ」と言いますが、もっとギャンブルの実感があるのは仕事です。商社とか証券会社とかの仕事はギャンブル的な側面が強いかもしれません。「安く買って高く売る」ためにさまざまな不確定要素を織り込みながら最後はエイヤッと買ったり売ったりして儲けたり損をしたりする仕事です。仕事とは突き詰めれば、こうした不確定要素を確定要素に変えながら、どうしても残る不確定要素はエイヤッと賭けることです。営業でも経理でも人事でも開発でも、どういう仕事でもそうです。

 ということで、適度な賭け事は勝負勘を鍛えるという意味で仕事に役立つと思うわけです。おそらく、採用担当者も適度なギャンブルならマイナス評価はしないのではないでしょうか。ただ、やりすぎは禁物です。ギャンブルで身を滅ぼすサラリーマンはたくさんいます。そんなサラリーマンの姿が採用担当者の頭をよぎるのは、マイナスでしかありません。「時々、お小遣いの範囲内で競馬やサッカーくじをやります」くらいのところがいいように思います。

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