2015年03月06日

18歳選挙権 大人?子ども?…あなたの考えは?

テーマ:社会

ニュースのポイント

 選挙権の年齢が18歳に引き下げられることになりました。来年夏の参院選から、18、19歳の若者が投票できるようになりそうです。じゃあ、18歳から「大人」になるのでしょうか。民法上の「成人」や少年法の適用年齢は20歳のまま。これをどうするかの議論はこれからです。大人と子どもの境目にいる20歳前後のみなさんにこそ、考えてほしいテーマです。

 今日取り上げるのは、1面トップの「18歳投票 来夏参院選から/適用へ6党法案提出」です。総合面(2面)に「時時刻刻・政治変える?10代の一票」、社会面(39面)に「18歳投票『行きたい』/関心温度差『ダルい』派も」が載っています。
 記事の内容は――自民、民主など与野党6党は、選挙権年齢を現在の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる公職選挙法改正案を衆院に提出した。今国会での成立は確実な情勢で、早ければ来年夏の参院選から適用される見通し。約240万人の18、19歳が新たに有権者となる。一方で、民法上の「成人」年齢や少年法の適用年齢を選挙権に合わせるかといった課題も残る。成立すれば、選挙権年齢引き下げは70年ぶり。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

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 昨年末の衆院選で生まれて初めて投票した人が多いと思います。誰に一票を投じるか、新聞や選挙公報を読んで一生懸命考えた人も、あまり考えず投票所で決めた人もいるでしょう。投票する権利があるからこそ自覚が芽生え、社会や政治についてもっと考えてみようと思う人が増えるのだと思います。来年からは、そこに18、19歳のさらに若い人たちが加わるわけです。

 きっかけは昨年6月、憲法改正の投票権年齢を「18歳以上」とする改正国民投票法が成立したこと。憲法を改正するなら、将来を担う若い世代の意見も幅広く反映させるべきだと引き下げが決まりました。あわせて成人や選挙権年齢も世界標準の18歳にして社会や政治への参加を促そうという意見があり、まず選挙権年齢が引き下げられることに。成人年齢については法相の諮問機関・法制審議会の「18歳への引き下げ」答申もかつてありましたが、こちらは議論が進みませんでした。これからは少年法も含めた改正の是非が論議になりそうです。

【民法改正】海外では18歳成人が圧倒的です。法務省によるとデータがある世界187の国・地域のうち、7割以上が18歳以下。国際的な子どもの権利条約の「子ども」も18歳未満のことです。ただ、国内では、18歳成人に国民的合意があるとは言えない状況です。「いまの若者は未熟」という考えは根強く、2008年の国の世論調査では、8割近い人が18歳への引き下げに反対、18~19歳の若者でも賛成は2割でした。2013年の世論調査でも成人年齢を引き下げて親の同意なしで契約を可能とすることに8割が「反対」と答えました。

【少年法改正】川崎市の中1殺害事件を機に、今は20歳未満としている少年法の対象年齢引き下げも論点に急浮上しています。自民党の稲田朋美政調会長は「権利を伴うことは義務も伴う。少年法の年齢引き下げは考えていかなければならない」と話しました。これに対し、日本弁護士連合会は「立ち直りや再犯防止を阻害する」として少年法の対象年齢引き下げには反対しています。

 この間まで18歳だったみなさんはどう考えますか。ほかにも年齢が関係する法令は300以上。いま20歳以上でないとできないことには、たとえば、親の同意なく結婚▽親の同意なくクレジット契約▽飲酒・喫煙▽公営ギャンブル(競馬、競輪、競艇、オートレース)の券購入▽狩猟免許の取得▽中型自動車免許の取得――などがあります。飲酒や喫煙の解禁については、仮に成人が18歳になっても「直ちに引き下げることは考えていない」(警察庁)そうです。

 これからさらに話題になるでしょう。面接で聞かれたり、グループディスカッションのお題になったりするかもしれません。賛成でも反対でも構いませんが、自分や友人などの身近な体験や具体例を交えるなど、自分に引きつけて考えることがポイントです。

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