2015年07月23日

「この場で他社断って」…オワハラにはこう対処しよう!

テーマ:就活

ニュースのポイント

 オワハラが広がっています。企業が内定(内々定)を出す際に就活を終えるよう迫る「就活終われハラスメント」のこと。就活時期が後ろ倒しされた影響で、急増しているようです。オワハラへの対処法を伝授します。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、社会面(37面)の「就活オワレハラスメント/内定引き換えに『この場で他社断って』/日程長期化、悪質囲い込み懸念/企業『入社人数読めない』」です。
 記事の内容は――都内の男子学生はリース会社の採用担当者に「内定を出すから、就活ナビサイトの登録をキャンセルして」と言われた。「わかりました」と答えたが、就活は続けた。労働問題に詳しい弁護士によると「就活終了のかわりに内定を出す」「ナビサイトの登録をキャンセルしろと言う」「目の前で他社に断りの電話を入れろと求める」といった行為は「学生の職業選択の自由を侵害する」としてオワハラになる。就職情報会社の6月上旬の調査では、内定を得た学生の12.9%がオワハラを経験していた。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 オワハラは今に始まったことではありません。私が朝日新聞社の採用担当部長をしていた7~8年前、選考中の学生から電話があり「『朝日の最終面接に行かなければ内定を出す』と他社に言われた」と暗い声で相談してきました。しばらく話しているうちに、彼は第1志望は朝日という強い決意を改めて固め直して迷いを振り切り、自信をもって臨んだ最終面接で見事に内定を得ました。

 「オワハラ」という呼び方が定着したのは今年から。経団連指針で就活スケジュールが後ろ倒しされたのが原因です。昨年までは、大手の内々定出しが終わった5月中旬ごろから中堅・中小企業の選考が本格化し、10月1日の内定式までには決着する「大手→中堅・中小」という順番でした。今年は経団連加盟の大手企業は8月以降でないと内々定を出せなくなりましたが、10月1日の内定解禁日は変わりません。中堅・中小は大手の選考終了を待っていたら間に合わないため先に選考を進め、「中堅・中小→大手」の順に変わりました。後から内々定を出す大手に逃げられないようオワハラをする企業が増えた、という構図です。さらに、大手企業の中にも経団連指針に反してすでに事実上の内々定を出している企業が多くあります。この中にも、オワハラをしている会社があると言われています。

 ただ、どんな会社も内々定を出した学生には入社してほしいのであの手この手で説得しますし、内定承諾書も多くの会社が書かせます。これをオワハラと受け止めた学生もいますから、オワハラ体験「12.9%」は少し大げさな数字かもしれません。今日の記事には「オワハラで無理やり入社させても、すぐやめられて誰も得しない」と話す西日本の物流業界の採用担当者が登場します。学生には他社も知ったうえで考えてと伝えているとも。このような対応をする会社はたくさんあります。実際には、「目の前で断りの電話を入れろ」といった悪質なオワハラをする会社は少数だと思います。他社の選考について正直に言って配慮してくれる会社かどうかは、それまでの対応で判断しましょう。

 では、オワハラを受けたらどうすればいいか。まずは上の表を見てください。
①学生には職業選択の自由があり、内定後でも辞退できる
②多くの企業が内定承諾書や誓約書を書かせるが、法的な拘束力はない
 この2点を知っていることが大事です。

 さらに、私からのアドバイスは次の二つです。
◆少しでも働く気がある会社なら、もらえる内定はもらうべし
◆志望度や選考スケジュールを考え、内定を持っておく企業は最小限に。入社の意思がない企業の内定は速やかに辞退。辞退するときは担当者に会って、丁寧にきっぱりと断る(会社から「電話でいい」と言われれば別)。

 個別の対応はケース・バイ・ケースですが、「就活を終えたら内定」と言われたら、了承しつつ就活を続けて構いません。記事の冒頭に登場する男子学生のケースですね。「この場で他社に断りの電話を」と言われてやむなく電話した場合もあきらめず、極力早くかけ直して事情を説明してみてください。会社によりますが、選考に復帰できることもあります。オワハラに備えて自分のスマホに内定した会社名を友人の電話番号で登録しておいて、断りの電話をかけるふりをしてくぐり抜けた、という逸話も聞きました。

 最後に、以下は記事に出てくる学習院大キャリアセンターの星野昌輝部長の言葉です。
 「企業に失礼のないようにしつつ、自分の人生を第一に考えてもらいたい。一人で考え込まずに相談してほしい」
 大学のキャリアセンターは、きっと力になってくれます。

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