ニュースのポイント
会社説明会やセミナーに参加したり、集団面接、グループディスカッションを受けたりしたとき、とてもかないそうにない優秀な学生がいて気後れしてしまった――。そんな経験をしたことがある人、いると思います。たしかに、頭脳明晰(めいせき)で人柄もよいリーダータイプの人っていますよね。でも、そんな人ばっかりでも会社は困ります。多くの会社が「多様な人材がほしい」と言うのはこのためです。誰にも、輝ける場所は必ずあります。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、オピニオン面(15面)の「耕論・スキマから輝く」のうち、元プロ野球選手・宮本慎也さんのインタビュー「特性生かせる場所で仕事」です。
宮本さんインタビューの概要は――ヤクルトに入団したが、レギュラーで活躍する将来像は描けず真っ暗だった。そんなとき野村克也監督に「一流の脇役になれ」と言われた。プロ選手は主役の座に向かって頑張ると思われがちだが、僕は4番を打てるなんて思えず、2番を打てる選手にならなきゃと思っていた。ホームラン打者ではないので、どの打順になっても役割を考えて臨んだ。チームが勝つにはどう動くべきかを考えてきた。スーパースターを求めていたら、たぶん5年くらいでプロをやめていた。一般の社会でも立場や役割は必ずあると思う。自分自身を理解して、特性を生かせる場所で一生懸命に仕事に向かい合える。ノルマをこなすだけではなくプラスアルファができる。そういう人間が多いほど強い組織になる。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
「人事のホンネ」で朝日新聞社の岡本峰子・採用担当部長はこう言っています。
「勉強ができる優等生タイプがほしいという会社もあるかもしれませんが、朝日新聞社は多様な人材を求めています。なぜなら、新聞社の仕事は多種多様で、幅広い能力が必要だからです。実際、記者部門でいうと、まじめ、やんちゃ、体育会系、粘着質系、一見ネクラな人など、いろんなタイプがいます。取材する相手も、追いかけるテーマもさまざまですから、多彩なバックグラウンドを持った人に来てほしいのです」
エースや4番バッターばかりを求める企業はありません。どの会社もいろんなタイプの人が必要なんです。
サークルやゼミでも、メンバーそれぞれに役回りがありますよね。代表や幹事長として全体を引っ張るリーダー役、リーダーを支えて作戦や計画を練るのが得意の補佐役、会計など細かい実務にたけた人、平部員だけれど誰よりも積極的に動く人、グループのムードメーカー……自分にはどんな役回りが向いているのか、力を発揮できるのか、どんな形で組織の役に立っているときにやりがいを感じるのか、自分の適性を見極めることが大切です。
一方で、みなさんが目指す会社にはそれぞれ「求める人材」があって、採用ホームページに掲げている企業もあります。チャレンジ精神、リーダーシップ、タフネス、アグレッシブ、誠実……などいろいろでしょうし、業界、企業によって傾向や社風もあります。会社説明会やセミナー、面談などで会った社員から直接、雰囲気や社風を感じ取り、自分に合う会社を探してください。フィーリングも大事です。粘り強く活動を続ければ、あなたに合う会社が必ず見つかります!
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